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THE MAD CAPSULE MARKET'S 音源の件

前回に引き続きMADの話です。
今回はHUMANITYからPARKまでの音源レビューです。
サブスクにない(と思います)、中古市場にもあまり見かけない、なかなか出会う機会が少なくなってきてるデジコア化前のMAD。
どうしても聴きたければ貸しますので、ご連絡ください。

1.HUMANITY(1990.10.1 発売)
MADとして初のフルレングスは業界を騒然とさせたと噂されるほどののハイクオリティな作品。初期の代表曲は全て網羅している。
パンク的初期衝動、変則的な楽曲に文学的な歌詞はスターリンやINU、あぶらだこなどの影響も想起させ、全国のパンク少年少女を熱くさせた。
『三秒間の自殺』は後に新海誠監督の『秒速5センチメートル』に影響を与えたという噂はない。今でっち上げました。
そのままの曲順でライブをやっても成立するくらい完璧な34分32秒。ボーナストラックである20秒のノンタイトルをライブで聴いた時は感動した。

HUMANITY

2.P・O・P(1991.11.21 発売)
メジャーデビューとなるフルレングス。当時タイトルが何の略なのか論争があり、今のようにネットがなかった時代の為、未だに真偽は不明のまま。自分の周辺では『Push On Pussy』ではないかという説があった。
POPというタイトルに相反し、かなりノイジーで攻撃的なサウンドで、放送禁止用語も多発。自主規制の所謂『ピー音』をサイレンやマシンガンの音などにして遊んでいる。ライブではちゃんと歌詞を唄っているので一生懸命聴き取って、ライブ後に友だちと答え合わせをしてたのは良い思い出。
11曲で26分51秒。ほとんどの曲が2分以下という潔さ。無限にリピートできる中毒性は日本中にMAD中毒者を生み出した。

P・O・P このジャケットは棄ててくださいの注意書きあり

3.CAPSULE SOUP(1992.7.22発売)
MAD的にも日本のパンクシーン、音楽シーン的にも革命的な1枚といって過言ではないミニ・アルバム。プロデューサーと大揉めして実質セルフ・プロデュースとなった本作でやりたい放題やっている印象。
1曲目からバッハのカバー!相変わらず歪みまくったベースが唸っている。
打ち込み=デジタルサウンドの導入も本作からで、ただそれだけではなくアコースティックな歌ものあり、ロック的な『JESUS IS DEAD』で締めるというMADの可能性を見せつけた意欲作。
1曲目以外は全て3分超えと、曲は長くなったが勢いだけでない『聴かせるサウンド』でパンクの殻を自ら破って見せた。

カプセル・スープ

4.SPEAK!!!!(1992.11.21 発売)
前作からたった4ヶ月で3rdフルレングスをドロップ。バンドの勢いを感じる。(実際はレコードレーベルとの契約だった模様)
デジタル・サウンドの導入が一層進み、人間とデジタルの融合が試みられている。YMOのカバー『SOLID STATE SUVIVOR』収録。
本作からギターISHIGAKI作詞・作曲の楽曲もあり、更なる多面性が加速された。
歌詞は反ファシズム、政治批判が中心となり、鬱屈とした世の中に一撃食らわしてやろうという気概が伝わってくる。メンバーのヴィジュアル面も小綺麗になりバンドとして次のステップへ進んだ1枚。
インディーズ時代にシングルでリリースした名曲『GOVERNMENT WALL』も再録にて収録。

SPEAK!!!!

5.MIX-ISM(1994.1.21 発売)
前作から1年以上のスパンで待望の4thフルレングスは初の海外(ロンドン)レコーディング。より洗練されサウンド的にはパンク色がロック色が濃くなった。
オープニングを飾る『MIX-ISM』では歌詞が「M・I・X・I・S・M」と連呼するのみという後に繋がる試みが見られた。
サウンド面の進化も勿論だが、特筆すべきは歌詞だと思う。前作までのパンク的な歌詞からより文学的、物語的なものが増えた。特にボーカルのKYONOが作る歌詞はその傾向が強くなっている。
溜め込んだものを吐き出すような全16曲は、確実に変わりつつあるバンドの状況と、あらゆるものを飲み込んでしまおうという貪欲さに溢れた怪作となっている。
個人的には『BE SILENT FUCKIN' SYSTEM』をライブで初めて聴いた時の衝撃が音源で聴いても色褪せなかったことが嬉しかった。


MIX-ISM

6.PARK(1994.10.21 発売)
『MIX-ISM』からわずか9ヶ月という短期間でリリースされた5thフルレングス。個人的にはこの作品までが初期~中期MADと思っている。そして本作が『HUMANITY』と並ぶMADの最高傑作だと思っている。
ラップスタイルを取り入れたオープニングの『HI-SIDE』は日本のラウドミュージックの夜明けである。
2曲目以降も1曲の中にラウドと美メロが入り乱れ、音楽的にも歌詞の表現も全てが高レベルで名曲のオンパレード。
三拍子の『公園へあと少し』、ボーナストラックではレゲエ調の『太陽の下』を披露し、その世界観の広さに圧倒された。
メンバーも久々に満足の出来と公言するくらい、ひとつの頂点に達した1枚であることは疑いようのない事実だ。
このアルバムを軸にしたMV集があるのだけれど、それが最高すぎるのでどこかで目にするチャンスがあったら見てもらいたい。『1990-1996 VIDEO』というDVDに収録されています。勿論持っています!

PARK

デジコア時代しかしらない若者も興味があったら是非触れてみて欲しい。
パンクにこだわりながらもパンクの枠を破戒し続けた伝説のバンドTHE MAD CAPSULE MARKET'Sの残したものは時代を超えて共鳴すると信じている。

From AleJJandro Hiderowsky 



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