ドラマーで在り続ける
昨日は、はじめて叩くことになったメタルバンドの練習でした。
大好きなヘビーメタルバンド「人間椅子」のコピーです。
わたしはここ20数年、バカほどアマチュアバンドライブを観る人間です。
楽器自体は小さい頃からのピアノ、アコギなどやっていましたが、ドラムは30手前くらいによくある大人の教室で始めました。
当時は結婚していて子供が小さく、しかししょっぱなからの家庭不和で、何をどうしたらいいかわからないような時期。
大人のドラムスクールはただただ楽しく、それ以来つかず離れずといった感じで、ドラムが友達になりました。
はじめてなんとかして組んだバンドで、当時あった小さなライブ処にいくようになり、そこからいろんなところでアマチュアバンドライブを観続けています。
社交的なタイプではなく、お酒も外では飲まないし、はしゃいで盛り上げることもない、といって話の受け手として楽しいわけでもないわたしが、なぜずっと界隈にいられるのか、自分でもなんだか不思議です。
ただただ、観てきました。
ひとつひとつのバンドの人たちが鳴らす音を聴いて、姿を観て、演奏された曲がコピーであればそのルーツを聴き、知らない音楽が自分の世界に入ってくるのが楽しかったです。今も楽しい。
その最たるものが、ヘビーメタルです。
はじめて観たときの衝撃は凄かったです。
なにより音がものすごく大きく、静かだった人が振りきれたようにギターをドドドドと鳴らし、ドラムは信じられない動きで、信じられない音を繰り出しているのです。
これがメタルですかみたいなところから、たくさんのライブに脚を運ぶうちに、演奏している人たちに親近感を覚えるようになりました。
比較的もの静かな、考えるタイプの人が多く、自分の一部であるメタルを鳴らし続けることで世界が保たれているような。
モノは違えど、何かと折り合いのつかないわたしと、違う方向から同じものを大事にしているような。
だから、その人たちが大事にしているヘビーメタルを、ひとつまたひとつと聴いていきました。
今も、正直どの曲がどのバンドのナンなのか、いわゆる定番みたいなものはさっぱり把握していないと思います。
わたしにとっては、あのときあのライブハウスであの人が弾いていた、あの曲、なのです。
そんな中、何度も何度もコピーバンドを観るうちに、ホンモノを観るようになり、アルバムを聴き込み、ファンクラブに入り、と、ちゃんとドはまりしたバンドが、「人間椅子」でした。
昨日バンド練に至ったのは、その、何度も何度も観てきたコピーバンドの人たちです。
こんなことってあるでしょうか。
そのコピーバンドの活動が停滞しているのをずっと眺めていたわたしは、勝手にこっそり練習を重ねて、遊びで十分だから一回一緒にやってもらえないか、お願いしました。
自分としては一世一代くらいのお願い。
すると、ずっとライブを観てきた成果でしょうか、予想外の快諾をいただき、一緒に演奏できただけでも夢がひとつ叶った感じでした。
わたしは、自分が好きな曲を自分からやりたいといってバンドをはじめた経験がなかったのです。いつも、誰かがやりたい曲のドラムを「叩かせてもらえて楽しい」。
それも本当に楽しいのですが、全部自分がやりたい曲だったらどんなに幸せだろうと長年思っていたのも事実だったので。
以来、月に一度くらい、わたしが自分なりにひとつハードルを越えると練習に誘う感じでお付き合いいただいていたのですが、
そのバンドでライブに出てみようかと、言ってもらえたのが先月でした。
いろんな意味で、夢が叶っています。
56歳になる年に夢が叶ったと思えるだけ、頑張って生きてきてよかったなあと思っています。
「夢を叶える」話は、昨今ネット上でいろんな人が書いたり、書かれたり、だまされたりしているのを見かけます。
夢を叶える方法に夢みたいな方法は無いんだけれども、唯一確実にいえることは、”やめないこと”だと、今ならはっきり云えます。
多くのひとがホントは夢が叶ったといえるのに、そういうまでの道のりで、何かの邪魔が入る。
例えば「人間関係」とかが代表的です。人間関係の悪化でダメになる夢がどれだけあることか。
ひとりで行うことであっても、対・他人との関係が頭にあるとロクなことになりません。
考えてみると、人間関係と叶えたい夢には本当は、なんの関係もないハズなのに。
人間関係って、自分とは違う層にありませんか?
たとえ悪化しても、それはそれ。やめる理由にはしなくていいことだと思います。
叶えたい夢の純度は低くていいからプラス思考で飛び込め、みたいなことを言う一派もいます。
わたしはそうは全然思いません。
夢を叶える行動、とは気分の上げ下げの問題ではなく、その一点を注視する力だと思います。
逆にいえば、気分なんか上がってても下がってても関係ない。
”それ以外は全部雑音でいい環境”に自分が身を置く必要があるのでそれを叶える努力をする、それを阻む事態があったらそれを解消する。
純度が低くても飛び込むことを”夢を叶える行動”と勘違いして、続けるための努力や解消を放棄するのは、もったいないですね。
それ自体が、今しかない道のりですから。
次回の練習までに、ああでもないこうでもないと一人で悶絶を続けている「ツインペダル」について、自分のモノになったかも?という一瞬を3回くらいは得たい。
「ノブさんにならなきゃ!って気負うことはない。力まず、楽しくやろう」と言ってくれる優しいメンバーに感謝しつつも、
あの重たくうねるサウンドをリスペクトを持って出来る限り再現したい。
毎日好きなドラムを叩いて、他人にはドラマーだと言い張りたい。
今の夢は、そこです。