わたしのおそろしい顔色
3月17日 金曜日の日記
仕事終わりに会社の先輩ふたりとチェンソーマンのコラボカフェに行った。
時間を指定して予約するタイプの形式だったのだが、早めに着いたためカフェのある建物をぶらぶらして時間をつぶすことになった。
コラボカフェがある階とひとつ下の階はたくさんの飲食店が軒を連ねており、おなかがぺこぺこの状態で見る食品サンプルたちは、かぶりつきたくなるほど魅力的だ。中華料理屋さんの前を通れば中華の口になり、海鮮居酒屋の前を通れば酒と刺身の口になる。あれもおいしそう、これもおいしそうと胸を躍らせる。しかしこの後わたしたちの口に運ばれるであろうコラボカフェのメニューはおしゃれなランチのような食べ物ばかりで、膨れ上がっていくジャンクな欲望を満たすものはない。酒も出ない。
つい口からこぼれた「お酒が飲みたい」というわたしの言葉を、先輩が「またこの前みたいになったらあかんやろ」と制す。先輩の言う「この前」とは、以前会社の飲み会で緊張とストレスと流れに身をまかせた結果飲みすぎてしまい、次の日あまりの体調不良により会社を早退したという社会人にあるまじき最低行為を指す。先輩が、早退した日の私の顔色が真っ赤だったと続けたが、上司には顔色が真っ青だし帰ったほうがいいと言われた記憶がある。真っ赤とも真っ青ともとらえられる世にもおそろしい顔色。見る人によって色が違うドレスのような現象が、私の顔の上で起きていたらしい。
この時のことは今でもお風呂で思い出し唸り声をあげてしまうほど反省している。そして明日も仕事だ。痛いところを突かれ黙ることしかできなくなったわたしはジャンクな欲望にお別れを告げ、コラボカフェに想いを馳せることに集中した。
コラボカフェの店内ではアニメの主題歌とエンディングたちが流れていて、12話しか放映されていないのにこんな曲数のメドレーが組めるなんてとんでもないなあとあらためて思ったり、なぜか南国に生えている木のような葉がトッピングされていたり、パンがメインのメニューを見てどこの食パン使ってるんだろうと話したりして、とても楽しかった。
先輩たちとさんにんきりで出かけるのはこれがはじめてで、とても仲のいいふたりの間を邪魔したりしてないだろうかとうだうだしたりしたけど、そんな気持ちにならないくらい、仲良くなっていけたらなと思う。
飲食店を見て時間をつぶしているとき小籠包食べ放題のお店を見つけ、メニューの前に駆け寄ってはしゃいだが、制限時間内にあつあつの小籠包をたくさん口に含むことは可能なのだろうか。あつあつの小籠包で元を取ろうとすることは可能なのだろうか。先輩たちを誘って、小籠包食べ放題に立ち向かうのも楽しそうだなとわくわくしながら帰路についた。
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