あの人はひとりが好きそうだ
恋愛というものがわからない。誰かを好きになったとき、自分はその人とどう接するべきか。
僕にはいま、片思いをしている女性がいる。
その女性は、どうやら恋愛だとか結婚だとかにあまり興味がないらしい。
彼女はおそらく、「誰かの妻」とか、「誰かの母親」とか、「誰かの恋人」とか、そういう「他人の付属品」としてラベリングされることを好まないのだろう。
自分は自分。誰に頼るでも媚びるでもなく、自分の面倒は自分で見られる。
彼女のそういう、自立していて好きなように生きているところに僕は惹かれている。
誰のものでもない彼女が僕は好きだ。
でも、それってなんだか矛盾している気がする。
僕は彼女とどういう関係になりたいんだろう?
恋人になりたい? 結婚したい? セックスしたい?
どれも正しいけど、どれも違う気がする。
僕は誰のものでもない彼女が好きなのに、彼女を自分のものにしたがっている。
それって、なんだか彼女の魅力を損ねる・・・・・・というより、彼女が大切にしている何かに対する冒涜なのではないか、という気がする。
自分が持っている独占欲というか、あの人が欲しい、自分のものにしたいという気持ちがあまり好きになれない。
自分が恋愛だと思っているものが、実際はもっと浅ましくて身勝手で醜いものなんじゃないかという怖さがある。潔癖がすぎるのだろうか。
彼女が求めていないものを、一方的に押し付けるようなことをしたくない。
けれど、そもそも恋愛というのは自分の都合を相手に押し付け合うゲームのようなものらしい。そう、誰かが言っているのを聞いた。
彼女が誰かのものになるのは嫌だ。その「誰か」のなかに、僕自信も含まれている。
面倒だ。本当に面倒だ。勘弁してほしい。
恋愛を楽しんでいる人は、こんなことをいちいち考えたりしないんだろう。決められたルールに従ってゲームができる人だ。
そういう人のことを羨ましいと思ういっぽうで、自分はああいう人たちとは違うんだ、という気持ちもある。
こんなこと書いてから、うっかり彼女が僕以外の誰かのものになることを自ら選んだりしたら僕は立ち直れなくなるかもしれない。
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