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稲川淳二のTwitterが面白い


 日本の夏の風物詩といば?

 そう、怪談だ。

 これまでに幾度かの怪談ブームがあり、そして今また幾度めかの怪談ブームが広がりを見せている。最近は怪談バーなんかもあちこちで見かけるし、YouTubeの動画やPodcastでも怖い話をするチャンネルがたくさんある。


 そんな我が国の怪談ブームを牽引してきたリビングレジェンドこと稲川淳二が実はTwitterをやっているということは意外と知られていない気がする。

 僕は稲川淳二のTwitterアカウントをけっこう前からフォローしているのだが、とにかく彼のツイートはインパクトがすごいのでまず実物を見てほしい。百聞は一見にしかずってやつだ。


なんて聞こえたんだ。


 タイムラインにいきなりコレだけが流れてきてもどうしようもないでしょう。



 あと、コレとかもすごい。

???

 誰が???


 真相を突き止めるべく、取材班は稲川淳二のアカウントへと飛んだ。

ひとつなぎの怪談の一節だった。いちおう言っておくと、下から上に向かって読むやつです。

 彼が不定期に行なっている“つぶやき怪談”という取り組みらしい。


 僕は初めてコレを見たとき、「この人はツリーを知らないのか?」と思った。普通、長い文章をTwitterに書くときはリプライで繋げるだろう。


 しかし、考えるうちに「これはけっこう高度な計算に基づいてるんではなかろうか」と思えるようになってきた。


 稲川淳二のツイートの主な特徴はふたつ。

・文章をめっちゃ細かく区切る

・ツイートをツリーで繋げない


なぜそんなことをするのか?

 まず、一般的に長いツイートというのはあまり読まれないらしい。たいていの人は「なんか長い文章があるなぁ」と思った時点で“斜め読みモード”に突入してしまうという。現代人は堪え性がないのだ。

 また怪談というのは語り口、もっと言うとテンポが肝心である。ツイートを区切る手法には、読み手が文章を受け取るペースをコントロールすることでひとつひとつの言葉が“長い文章”というひとつの塊に埋没してしまわないようにする効果もあるように思う(個人の感想)。



 また、ツイートをツリーにしないのはおそらく多くの人の目に入りやすくする効果を狙っているのではないだろうか。


 以下のツイートを見てほしい。

例として取り上げるのは僕の過去ツイート。
ツリーの2段目以降は1段目に比べて閲覧数がかなり落ちていることが見てとれる。


いいねやリツイートの数も2段目でかなり落ち着く。


 先述の「長いツイートは読まれない」理論とも関連してくるが、基本的にツリーというのは後半になるにつれて読まれなくなっていくのだ。最後までちゃんと読んでくれる人なんてヘタすりゃ全体の1〜2割程度ということも全然ありうる。

 

 それを踏まえて稲川淳二のツイートをもう一度よく見てみると、多少のバラつきはあれどおよそ一定の閲覧数をキープしていることがわかる。

 そもそも、ツリーって省略されたりしてタイムラインにきちんと表示されない場合が多いので、あえてツリーにしないことでタイムラインへの出現率を高めているのだろう。

 そういう細かいツイートの中にときおり目を惹くようなパワーワードを仕込むことでバズりを狙い、アカウントへの流入を増やしていると思われる。

 僕も初見のときにまんまと彼の策略(?)にハマりアカウントをフォローしてしまったのだ。


 本人が全部計算してやっているのか優秀なスタッフがいるのかはわからないが、彼が自身の強みとTwitterの使い方を熟知していることは明らかだ。


 

 この記事を読んだあなたもぜひ稲川淳二のTwitterアカウントをフォローしてみてほしい。

 そんでもって、こういうわけのわからないツイートがTLに流れてきたら彼のアカウントを覗いてみてほしい。意味不明だったツイートが物語の一部として意味を持ち始める、アハ体験のような感覚が味わえるぞ!


 あとこれは余談だが、稲川淳二は自分のファンを「マブダチ」と呼んでいるらしいことをTwitterで初めて知った。この世にまた無駄な知識がひとつ。

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