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わたしたちは長く続くトンネルに入ったところなのか、もしくは知らずに留まっていたトンネルからようやく脱出するところなのか


2020年4月12日

緊急事態宣言を受けてさらなる自粛をお願いされているわたし達。

ひととの接触8割減を目標に掲げられ、尚も出勤の必要ある者たちは通勤電車に乗り、会いたいひとには会えないのに自分にとって何ら関係のない多数の他者とは遭遇し続けねばならないいびつな現実をせめてその時間だけは直視せずにいよう、と石のような無表情(もとよりマスクなので表情は分からないけれど)でイヤホン越しの音楽に「わたしの世界」を委ねている人がいつにも増して多くなっている東京です。


「前の暮らしには戻れないでしょう」

という言葉をとある方とのやりとりの中に見たとき、わたしは大層ドキリとしました。それは一瞬冷や水をかけられたような胸騒ぎを覚える言葉に思えました。ですがそのあとに「それは絶望を意味しない」と続いていて、今度は「???」と混乱を覚えました。

つまりわたしはおそらく数ヶ月もすれば事態は収束し、そしてその後は再び今までのような生活が戻ってくるのだと、その時までなんの疑問もなく思っていたのです。

わたしが戻ってくると思っていた「今まで」とはどういうもので、そしていざそれが失われたとしても絶望を意味しないものとは何なのか。


ETV特集「緊急対談 パンデミックが変える世界~海外の知性が語る展望~」
https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/trailer.html?i=22983


そんな折、こちらの番組を観ました。あまりテレビは観ないのですがTwitterでちょうどこちらを観るところだ、という方の呟きを見つけたのが幸いしました。


現代を生きる知性の最高峰とも言える三人に問う、この世界で今まさに進行中のパンデミックが世界にもたらすものの予測を語ってもらうものでした。

いま、この地上で生きる全てのひとが当事者である内容です。無関係でいられるひとはひとりもいない、ジャストナウなホットトピック。


知性の権化たるお三人とも、パンデミックがもたらす世界の変化(特にそれは政治と経済における)は苛烈なものとなることを冷静に予測していました。特に民主主義がこの試練に耐えきれないのではないか、ということに警鐘を強く鳴らしていました。それはつまり自由を奪われるということです。そして快適さや利便性において今まで享受できていたものが淡く消え去り、後退を迫られるということです。


わたし達はそれに耐えられるのでしょうか。


あったはずのものが奪われる、というのはどんなシチュエーションにおいても辛いものです。

『悟れというの?』

あらゆる現実を幻と看破して、価値観という縛りそのものからも自由になって、いままで世界が自分が「良し」としていたものにすら別れを告げなくてはいけないの?

つい、そのように反抗の尖りを見せそうになる自分がいました。

ですが番組では、特にジャック・アタリ氏がですが、

『楽観は出来ないがポジティブであろう』

『最も合理的で自己中心的ですらある利他主義を』

との、これからを生きる人類が持つに値する心の姿勢を示してくれました。最高の知性を持つゆえの天にも通ずるかのような光を宿した温かみある眼差しでした。


彼らもまた、この試練は世界をまったく変えてしまうだろうけれどそれは即ち絶望に直結するのではない、と言っているのでした。


翻ってわたしは、世界は生まれたときから与えられているもので、わたし自身はその与えられたカタチからはみ出さないように“上手い具合に”自分を嵌め込めばOK、とばかりに、世界とはそのように関係していたことに気づきました。

獲得すべきものではなく与えられたもののなかでうまく組み立てていくもの。たとえパズルピースの入った箱の中に欲しいものが全然なかったとしてもはじめに提示された絵を完成させるべく粛々と正解のピースを繋げていくもの。

……と、これがコロナ以前の世界だとしたら、いまわたし達はあるはずだった完成図を失った状態と言えるのかもしれません。

これからは、完成図を描くと同時にピースのひとつひとつも並行して作り直さなくてはいけないのでしょうか。

するとそれは日常のひとつひとつ、例えば“誰と会うか”や“何を買うか”の選択ひとつひとつがひとひとりの人生や世界のこれからといったあらゆるスケールに反映されていくような、「フラクタルな今」「ホログラフィックなわたし」を意識する訓練となるのかもしれません。


それを自覚し世界を再構築すべくわたしが本当にわたしの求めを知って為していく、という意味において「絶望を意味しない」のだとしたら。


そうだといいな、と思ういまです。

たった数週間の不自由で割と分かりやすくへこたれてしまいそうな自分の変化への耐性の低さに呆れます。でも今は先への展望を、とくに希望に繋がる展望をなんとか自分なりに見つけ出さなくては。

知性の権化だけに頼ってはいられません。

ハラリ氏やアタリ氏が欲っするものとわたしが欲っするものは……、それはやっぱり各々違いますしね。(まず見ている視座や広さが違い過ぎます)


そんなこんなで急にとってつけたように宣伝を致しますが、4/12の20時からzoomで「スナックあかり」を開催致します。わたしがzoom初心者のため、ほぼほぼzoomの練習のような、いわゆるオンライン飲み会です。

ですが、このような折ですので是非とも各自の希望に繋がるような展望を少しでも模索できたらいいな、と思っています。すぐに解決策を見出せるとは言えないけれど、思っていることや思ってもみなかったことを口に出すことで何かが生まれるかもしれないですものね?(参加ご希望の方は@akalichitまでDMをお送り下さいませ/参加費無料/zoom上で顔出しOKの方のみ)














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