明日には明日の風が吹く ブルーアーカイブ『0068 オペラより愛をこめて!』感想
ブルアカのイベント読みました。今回もぼちぼち書いていきます。
毎回かなり長い記事になってしまうのですが、今回はさっくり書いていきたいなと思います。
いつものように公式では存在しない行間についておれが幻覚を見ていたり、イベントのネタバレがあるのでご注意ください。
陸八魔アルという人間的深みのある女
以前の記事でも「アルちゃんはNPOとかやったほうがいい」とか前々から言ってきたんですけどこの人本当に悪党向いてないですね。絶対ボランティアやったほうがいい。
今回はいつにも増してアルちゃんの善性というか、根っこのところにある人間的成熟が掘り下げられていてよかったなあと思います。
陸八魔アルという人は名実ともにコメディリリーフ、めちゃめちゃおもろい何やっても笑いの神が宿るギャグ担当の女なのですが、結構人間としては安定しているし成熟している人なんですよね。
そもそも便利屋68のメンバーは前からアルちゃんと馴染みのムツキを除けば過去いじめに遭っていたハルカ、目付きから誤解されがちなカヨコと少々ワケアリで、アルちゃんによって精神的に救われているところがあります。どうもアルちゃんが便利屋に固執しているのも「仲間の居場所を作ってあげたいんじゃないか?」と見えるフシがありますしね。
アルちゃんはたしかに見栄っ張りでテンパリストなのですが、部下のメンタルケアをこまかくやっていたり褒めたり、柔軟に他者のアイデアを受け入れたりとリーダーの素質がものすごくある。最近話題の他作品で言えばダンジョン飯のライオスがあんな奇人なのにパーティーリーダーとしては結構優秀でムードメーカーだとわかるワンシーンがありますが、それにも近いですね。
よく考えてみればアルちゃん、まだ高校生ですよ?この歳で他人のことまで気を回すってことができるのはなかなか稀有な才能だと思います。何事もなければ人の上に立つ人としてはかなり優れてますよね。まあ毎回なんかあるのですが………。
今回で言えば、あれだけテンパっていたのに一般人が巻き込まれるリスクが発覚した瞬間パチンとスイッチが入って大事故の予防に動き出しています。考えてることすごくまともなんですよね。自由奔放でやりたいようにやるゲヘナの生徒のなかでは倫理観ダントツなんじゃないでしょうか。
このシーンでおれは結構びっくりしたのですが、アルちゃんはさっきまであれだけ大騒ぎしていたのに「どうもこれは部外者に被害が出るな」と理解した直後一切動揺せず今後の方針を決めてるんですよね。普段だったら「やっちゃった~~~~~~!!!」とかうろたえまくるところ、まったくの真顔で即断している……。アルちゃんは「自分の美学に反しすぎて許せないと思ったときは静かな怒りがテンパり癖を塗りつぶす」という性質があるのかもしれません。なんだこいつ……エリートヤンキー三郎みてえだな……
会社経営が壊滅的にド下手という一点を除けば、下の者への面倒見もいいし、他人が困っていたら利益度外視で助けたりと、わりあいヒトとして成熟してるし安定した大人物ではあるんですよね、アルちゃんは。
ムツキもカヨコもハルカも、そういうところを見ているから「この人について行こう」と思っているんでしょうね。
本物のアウトローとの対比
サオリとの絡みもまた良かったですよね。
はじめのうちはアルちゃんが「本物のアウトローだわ~~!!」とサオリを見て憧れている構図なんですが、実は行動をともにするうちにアルちゃんの人間性にサオリが感心する、という逆転が起こるのがとても味わい深い。
アウトローになるってことは、本来であればあまり社会的によくはない行いですし、なりたくてなるものではないはずです。サオリはまさにその典型的な例で、選択肢がないゆえにアダルトチルドレンのような状況に陥り、そういう道に行かざるを得なくなった。その結果悪い大人に騙されて苦労したり、教養がないことに苦しみ、その日暮らしでなんとかしのいでいる。
アルちゃんが言っているアウトローはとどのつまりシネマやパルプフィクションのなかで描かれた誇張され戯画化された義侠像なのですね。本人が好きなのでアウトローを称しているのですが、アウトローと本人の善性がミックスされているためにやってることの本質的には「義賊」のほうが正しい感じ。
このすれ違いが面白いですね。サオリはリアルアウトローなのでギラギラしており、アルちゃんが尊敬する。アルちゃんは本人がまったく自覚していないながらも「仕事上の敵対は割り切り、悪であることもまた良しとしながら仁義は通す」という清濁併せのむ人物なので、サオリから人としてリスペクトされる……という構図になっているわけです。
お互いが自分の持つ長所や人間的魅力に気づかないで相手にリスペクトの矢印を向けている。自分の良いところってなかなか自分ではわからんもんですね。
そしてアルちゃんたち便利屋の長所のひとつでもある「こういう日もある」という不屈のメンタリティが、サオリを救っている……。
いままでアリウスの仲間を背負って後がないギリギリの生活をしていたサオリにとっては、この「失敗したっていいんだよ」というマインドは非常に人生を変えてくれるものだったんじゃないですかね。あのにっくき全身レッドババアから受けてきた虐待による「呪縛」がひとつ解けたと言ってもいいかもしれない。
アルちゃん、ワルぶってるくせに人が良すぎるせいで悪事を見過ごせずに行く先々で出会う人を救ってしまうという点ではまごうことなきヒーローなので、たぶん先生に次いで他人を助けてるんじゃないですか?ドクターTETSUくらいアウトロー向いてないよ。おまえもう悪党やめろ。
ちなみに、便利屋のお話で繰り返しテーマになっているのが「今まで助けてきた人に助けられる」ということなんですよね。
柴関の大将にごちそうになったことへの恩義と店を壊した詫びとして大金を渡したおかげでまたラーメンを食べられたり、アビドスに手を貸したかどで正月イベントでも窮地で手助けしてもらえるなど、結果として積んできた善行と人徳が自身のまわりに優秀な人物を引き寄せている。今回で言えばぜんぜんそのつもりがなかったのにマフィア連合を壊滅させたうえ、とんでもない戦闘力を持ったサオリに意図せず恩を売りコネを作ったので、これがあとあとどこかで効いてくる気がします。
こういう生徒同士の関係で生徒たちが救われて、ヒトとして大きくなっていく……というのはイベントストーリーの醍醐味ですね。
いろいろとその後が不安だったサオリ(アリウス)にも頼りにできる相手が見つかったり、とてもいいストーリーだったと思います。
なんか今回のイベント、ふつうにいい話だったから記事のオチが思い浮かばないな…。まぁ~久しぶりにタバコでも吸って考えるか……。
ん?なんやこのゴミ箱?おれんちの前にこんなデカいゴミ箱あったかな(ボッ)
Oh…My…
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