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S.T.A.L.K.E.R.2でZONEに足を踏み入れる


この人また積みゲー増やしてる…

 S.T.A.L.K.E.R.2を遊び始めました。

 はじめついでに配信もやったりしました。Stalkerのあらましを喋ったり冒頭部分のプレイをしたのでヒマだったら見てください。三時間もあるので作業用に流すのもいいんじゃないでしょうか。いやよくねえな。銃とか撃ちまくってるし…


 今日はそんなわけでまだ遊び始めたばかりですがぼんやりとインプレッションを書いていきます。


S.T.A.L.K.E.R.って何

 多分知らない人も多いであろうゲームなのでちょっと説明から入りますが、ひとことで言えば伝説のゲームです。

 ドマイナーもドマイナー、発売当初から知る人ぞ知るコアなゲームだったうえに、中身についてもバグは多いし旧ソビエト圏内が舞台という遊ぶ人を選びまくるタイトルだったのですが、現代のゲームに計り知れない影響を与えてきました。
 Escape From Tarkovなどはモロにこれの影響を受けていますし、少し前で言えばMetro2033ですとか、Chernobyliteなんかは言わずもがな、スラヴ圏の文化という点ではAtomic Heartの先輩にも当たるゲームかもしれません。ゲームに限らず映画ではザ・ウォーカーもこれに影響を受けていると思います。人間に理解できない不思議なオブジェクトが転がっているという意味ではSCP Foundationにもうっすら精神性が受け継がれていそうですね。

 いま流行っているゲームのリスペクト元のリスペクト元、くらいの若干遠いところで関わっているゲームですかね。
 漫画で言えばジョジョみたいな立ち位置かな…。いちばん読まれてるドラゴンボールほどではないけど二番手くらいにいて、読んでる人は結構多いというか。それでいて能力バトルものとして革命を起こした超重要な開祖でもある、あの感じですね。人を選ぶところがあるけどこれがなかったらハンターハンターもワンピも呪術廻戦も無かったかもしれねえな……ってポジションだと思います。

 世界観設定や廃墟を探索するプレイ体験もそうなんですが、A-Lifeという「NPCが好き勝手に行動するシステム」も革新的でした。クエスト進行中に「アイツに話聞いてこいよ」と言われて探しに行ったらそのへんで野垂れ死んでたとか普通にあるゲームです(死体から情報端末を取るとクエストが進むなど一応詰み対策はある。サイドクエストの依頼人が死んでてフラグ潰れてる等も…ある)。
 したがってプレイヤーもプレイヤーで「コイツなかなか口を割らねえな~」「交換条件がダルいな~」とめんどくさくなってきたら撃ち殺して情報探って帰ってもいい、そういう自由度があります。2007年にここまでフリースタイルなゲームはそうそうなかったんじゃないかな…。オブリビオンくらいか?
 銃はメンテナンスしなければバンバン弾詰まりを起こすし、腹が減ったり眠らないとデバフがついたりといったステータス管理要素も当時のFPSではまずほとんどないもので、まさしくサバイバルしている緊張感がありました。振り返ってみると「この時代にすでにこんな要素があったなんて…」というオーパーツの集合体みたいなゲームだったんですね。


どういうお話?

 プリピャチで起きたチェルノブイリ原子力発電所事故。降下物や放射線により甚大な被害を出したのち、その周囲で不思議な出来事が起こり始める。物理法則を無視した怪現象"アノマリー"や、持つものに常識ではありえない効果をもたらす物体"アーティファクト"があちこちで発生、さらには動物が変異して生まれた"ミュータント"が闊歩するまさに異界となっていた…。
 当然そんなところがあれば科学者は調査に乗り出し、珍品奇品狙いの荒くれ者も集まってくる。国家もそんなところを放置するわけにもいかず軍隊を派遣する。さまざまな勢力がそれぞれの思惑で交錯するまさに闇鍋、陰謀の坩堝。人はその領域を"ZONE"と名付け、そしてそこへ足を踏み入れる命知らずの探検家を"Stalker"と呼んだ…。


 こういった設定のもとStalkerの世界観が作られています。もともとはさらに路傍のピクニックという小説からテーマが取られているのですが…ここらへんはややこしいのでここまでにしましょう。
 前作S.T.A.L.K.E.R.は初代および外伝的な作品ふたつによるトリロジーになっています。初代Stalkerは記憶を失った男 "Marked one"(印付きのヤツ、という意味。腕に入れ墨が入れられていたことから)が自分の持っている情報端末に残されたメッセージをもとに、"ストレロク"というStalkerの痕跡を追っていくお話。以降二作も他の組織の人物に立場を変えて物語が展開されていきます。


 ちなみにおれと同世代あたりの人はこの人たちの実況動画でこのゲームを知った人も多いかもしれません。メインパーソナリティのあんだーそんがZONEの荒波に揉まれながらかますボケに後ろの友人たちがチクリとツッコミを刺していくのが面白く、回によりどんどん友達が乱入しつつ話の内容をしっかり押さえていておれも好きな動画でした。だんだんポムギさんのボヤきが癖になります。


STALKER2のインプレッション

 さて、本題のSTALKER2のお話をしましょう。
 発売されたばかりのゲームなのであんまり深くストーリーに踏み込まないように感想を書いていきます。

 あらゆる面で「ああ~スタルカァだなぁ」と感じますね。
 まあまず、バグが多いですね。そもそもコントローラーに対応しているはずなのに接続しても認識しないとかそういうレベルでプレイヤーの鼻っ柱を殴ってきます。ゲームが始まる前からバグでシバいてくるとは、う~ん実にStalkerだ。仕方なくゲームパッドにキーボード入力を割り当てて無理やり使っていますが……
 何かが起きたらDIYでなんとかしろ!という根性設計が非常にゼロ年代のPCゲー臭を漂わせています。令和やぞ。おかげでいろんな意味でコミュニティや掲示板に活気がありますね、主にバグ報告とか。

 最適化不足も目立ちます。おれのマシンはi5-14500にRTX 4060 Tiを積んでるので、中~高画質設定くらいならまずスムーズに動くだろうスペックなのですがまあ重いです。配信中もボヤいてましたが、死亡時にオートセーブから読み込む際マップを一気に再生成し始めるのか異常なほどにフレームレートが落ちます。令和やぞ(二回目)
 ある程度のグラフィック要素を省いて軽くしてくれるModを導入したところだいぶマシにはなりましたが……。プレイヤーが改造して初めてまともに動くゲームってどういうことやねん!!!!!と思うかもしれませんがこれがStalkerなんです。おれはもうすでに慣れてきました。これくらいのメンタルじゃないとZONEではやっていけません。
 まあ真面目な話をするとこのゲームが砲弾やミサイルの危機と隣合わせのウクライナで開発されていた(今はチェコに拠点を移したらしい)、という事情もあるので……バグフィックスが軽いフットワークでできる状態ではない可能性もあります。そのへんはある程度ガバガバなゲームだと思って買ってるので大丈夫ですね。


 なんか悪口ばっかり言っていますがゲームとして真っ当に面白いところももちろんあります。
 やっぱりワンミスやリソースの浪費をシビアに詰められるゲームバランスはゾクゾクしますね。放射線を浴びすぎてHPがガリガリ減ってるときにウォッカが一本もない(※)とかザラにあるので肝が冷えます。
(※…Stalkerの世界ではウォッカを飲むと放射線中毒が治癒する。ウルトラバカ酒飲みのスラヴ民族は寒さにウォッカ、悲しみにウォッカ、放射線にウォッカが解決法なのだ。深く考えてはいけない)


現地の方もそうおっしゃっている



 ゴミカスみたいな装備でチマチマ進めていく立ち上がりも実にStalkerですね。えっ、防弾チョッキ?そんなもの ウチにはないよ……

 意外にも開始直後は状態の良いアサルトライフルなんかが拾えるので、一瞬「ほなS.T.A.L.K.E.R.ちゃうか…装備に恵まれとるんはS.T.A.L.K.E.R.ちゃうしな」と思ったりしましたが…。その後訳あってチンケなマカロフ一丁と弾の出る粗大ゴミ、もとい破損寸前のMP5を握って野犬に追い回される羽目になったので無事「S.T.A.L.K.E.R.やないかい!!!!」と絶叫しました。よかったね。


我々Stalkerファンには適度にリアリティに苦しめられたい辺見ちゃんみたいなところがある

 お前はスーパーヒーローではない、人間は野犬の群れに勝つのも苦労するんだぞと丁寧に教えてくれるゲームです。急速に死が近づいてくるほどに生を実感します。



 人間模様に味があるのもこのゲームのいいところ。街に来たばかりの主人公にZONEでの生き残り方を教えてくれるチュートリアルおじさんがいるんですが、彼も彼で街の顔役に借りを作っちまったせいで嫌々新入りにここでのルールを説明する苦役をさせられていることがわかったりします。かわいそう。
 スレたやつやペテン野郎、裏切り者も当然ゴロゴロいるんですが、意外と人情のある人もいたりしていいんですよね。盗賊に襲われてる人を助けたら「おまえ外から来ただろ!ここでは他人の問題に首突っ込むのはやめたほうがいいぞ!」といきなりお説教されたりする。助けてやったのになんだコイツ、と思うけどよく考えるとこう言ってくれるのも一種の親切心なんですよねぇ…。しかもこの人自身もこんなこと言いながら「孤立したオレの仲間を助けてやってくれ」とクエストを依頼してくるので人のよさが隠せていない。
 お互い打算やら利害関係で荒んでるんだけど、やっぱりダチは見捨てらんねえよ……みたいな人間らしさが垣間見える。この距離感が本当に良い…。


 各勢力のパワーバランスの拮抗、それぞれの思想の違いも興味深い。
 たとえばZONEできままに自由人をやってるローナーという陣営からすれば「死体が持ってるもんは別に盗みじゃねえし漁ってもいいだろ」と思ってるのですが、政府系組織のウォーデンからすると「何ウチの隊員から支給品パクっとんねん」とマジレスせざるを得ないなどお家柄が出ます。このへんの勢力争いなんかはTESとかFalloutっぽさがあってベセスダゲー好きにもハマりそう。


現代風に復活してなお異彩を放つゲーム

 この時代にStalkerを出すということで一体どうなるんだろうと思ったりしましたが、見事なまでにStalkerだなぁと思いました。ちょっとガバいところとか、自分で計画立てて引き際を見極めながら旅をしたりとか。
 道を歩いてたらミュータントに襲われている人と出くわしたから助けよう!とかそう簡単には言えないあたりなんかも良いんだよね。今握ってる装備でなんとかならないなら見捨てるしかない。そういう日もあるさ、というリアリティが常にある。
 この世界に生きて、計算して日々廃品漁りをして少しずつ装備を買い揃える生活がそこにあり、非常に没入感が高いですね。


 さてStalker2、他人におすすめするか……というとコアなゲームマニアでなければ少し待ったほうが良いと答えますが、自分でこねくり回せるクセのあるゲームをやりたい人には十分期待に応えてくれるゲームだと思います。
 もし試しに遊ぶならXboxゲーパス版で遊び始めるのもいいかもしれませんね。クラウドゲーミングならコンシューマ向けに移植されてるバージョンでコントローラーバグに悩まされることもないと思うので、いっそクラウドで遊ぶほうがストレスフリーかも。


 多方面に影響を与え、山ほどオマージュされたり模倣されたりしたいまなお唯一無二でオリジナルの風格を持つゲームです。傷みまくったマシンガンを頼りに廃墟に足を踏み入れ、何故か腐らない何が入ってるかわからんソーセージをかじり、ウォッカで放射線をごまかしながら糊口する…。



う~ん、最高ですね。




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