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ブルーアーカイブ『隠されし遺産を求めて ~トリニティの課外活動~』感想

 ハクナ・マタタ!

 近頃は脳を焼かれてぐるぐる巻きにされたまま頭にコーラル入れられることが決定したりとバタバタしていますがそうこうしているうちにブルアカが突如としておれの一番好きな古関ウイとトリニティで一番ヤバい変態浦和ハナコを正面衝突させる大事件を起こしてきた……。(早口)

 今日はそんな激アツ(気温的にも)イベントについて感想を書いていきます。

 まあイベントの話する以上当然ですが、本記事はイベントのネタバレを含んでいますので、読むのを避けていただくかイベントをクリアしきってから読むことを推奨します





そんなにヒナタが好きになったのか、ウイトラマン



うおっ……強火……

 

 ウイのなかでヒナタの存在がデカくなりすぎでしょ…………………………………………………………………………………………………………。

 ウイはもともと自分本位で動きたい人間なのに、ヒナタが心配だ!ヒナタを出せ!ウキーーーッ!!と暴れ始めるあたりウイはヒナタのことが相当気に入っているんだろうなと思わせますよね。あんたヒナタのこと好きすぎでしょ……。



イ、イチャイチャすな〜〜〜〜っ!!!


 ヒナタのひたむきさ、博愛精神がウイの心をどんだけ動かしてきたんやろね……。想像できひんわ。
 今回の調査も「無断複製の件の帳消し」というよりは「まあヒナタさんが行くなら行ってもいいよ」のほうが動機としてデカい気がしますね。


 そもそも、ウイは結構度胸があるというかふてぇ性格してるんですよ。
 ここがウイという人の味のあるところだと思うんですが、ただ陰気で引っ込み思案なだけではなく、気に入らないことに対してキレ散らかす爆発力があるし、裏で複製を作ったりと悪知恵も働いたりする。ひとことで言うならしたたかなんですよね。
 サクラコの呼び出しに関してもこのままキレ続けて暴れ倒し、なかったことにするくらいは平気でやれたんじゃないでしょうか。

 それをしなかったのはハナコがうまく取りまとめ、ヒナタも参加するという条件をうまく潜り込ませたからなんでしょうね。「シスターフッドなんか死ぬほどどうでもいいですけどヒナタさんには世話になってますからね…」のロジックで動いている気がします。いやウイにとってヒナタの存在デカすぎんか……?マジで


ハナコの心境

この登場は変態仮面のそれなんよね


 さて、今回も炸裂していたハナコのフィクサーっぷり。
 新水着の変態性のあまり数多くの先生のニューロンを焼きずのうしすうを著しく下げてきましたが、ハナコ本人はその頭の良さを炸裂させていますね。

 調査の最中でも、ほぼ遊んでいるか露出を楽しんでいるように見えつつもだいたい重要な事物は見逃してないし、ウイが推理して答えを出す瞬間にほぼ同じ答えにたどり着いている描写もあります。
 トリニティいちの秀才っぷりが遺憾なく発揮されているシーンですね。


気にしいで考えすぎで重荷を背負い過ぎな子供たち

 ただ、ハナコの頭の良さは悪い方向にも作用していて、いろいろ考えすぎて物事を純粋に楽しみにくいという側面もあります。
 イベント序盤で素直に遊ぶ気になれないコハルに「ではいかがわしいことがないか監視という名目でどうでしょう?」なんて言っていましたが、これはまったくそのままハナコ自身にも言える話で、ハナコだって「本当はまだ海に行っていない友達を連れて遊びたかっただけなのに、遺跡調査という理由をつけないと気が済まない」というような屈折具合が垣間見えます。コハルのことを大切に思っているのについからかってしまって素直に誘えない、そんなもどかしさが見えますね。


 最後にその気持ちを察して補習授業部をプールに集めた先生のはからいはナイスでしたね。冒険もいいけどいつもの友達で集まって……。ハナコも気が休まったのではないでしょうか。

 余談ですが、実はヒナタもシスターフッドに見送られて休暇を取ることに気後れしたりしています。「自分一人がおつとめをみんなに押し付けて楽をしてしまっていいのでしょうか?」というようなことを言っているあたり、実はこの調査に参加しているメンバーの殆どが気にしいなせいで休みを休みとしてとることがヘタクソ、という共通点があるわけですね。
 先生という上の立場の人物から「楽しむときは楽しんで良いんだよ」と肩の荷を下ろす許しを出してあげたのは、生徒にとってとても良いことでしたね。


似た者同士のふたり

 今回のイベントを通して、ハナコからウイへの評価が爆上がりしているのが見て取れます。
 理由としては単純で、つまり、このふたりは似ているんですね。このへん本当に面白くて、改めてイベントでふたりを並べて見せられたことで「なるほど」と思わされました。
 特に両者に共通するポイントとしては、

  • 訳あって他者との間に壁を作っている

  • トリニティの隠蔽体質に懐疑的である

 が挙げられるかと思います。

 ハナコはいろいろあって「本当は賢いのに頭のおかしいやつの仮面を被ることで自分に求められる重荷を避ける」という態度をとるようになってしまった生徒なんですが、それは結構ウイにも共通する特徴なんですよね。

 まだ水着ウイが出たばかりで絆ストーリーを読んでない人も多いだろうと思われるので詳しい言及を避けますが、水着ウイの絆ストーリーではウイが自覚的にわざと気難し屋のフリをして人を遠ざけていること、そしてそうなってしまった理由についても語っています。

 ただ、その点ウイは世をすねた隠者ではありつつもどこか仁義を捨てきれないところがあります。人当たりはキツいけど良い事悪い事の尺度がわかっているので、自分の行いを「いまのは嫌味な言い方に聞こえたかな…」と反省できるヤツなんすよね。前回の古書館イベントでもヒナタと先生の行動を目の当たりにして考えを改めたりしてますし。
 ヒナタに対して苦手意識があるのも、「あくまで自分の性格がひねくれているからであってヒナタは悪くない」としっかり意思表示してますし、しかも「自分の悪いところが出たら叱ってほしい」と先生に頼んだりしているあたり、人嫌いという性格に隠れがちだったウイの素の聡明さみたいなものが表に出てきてますよね。

 ハナコはそのあたりを見ていたのだと思われます。他人を信用できないひねくれた人間ながら、その理由を相手に求めず自分を良くしようと努めている。他者との関係をやや諦めかけているハナコにとっては、かなり刺激される光景だったのではと推察できます。
 そういうハナコもハナコで、気を遣いすぎだったり人目を気にして難儀な生き方をしているメンバーを理由をつけて旅行に連れ出したあたり、彼女の遠回しな優しさが感じられます。他人を遠ざけたがるものの、信用した人に対して手助けをしたり誠実であるところは両者よく似ていますね。


 また、ふたりともトリニティの政治体制や隠蔽体質を疑っており、かなり反抗的であるということも似てますよね。
 エデン条約でも大立ち回りを見せたハナコはもちろん、ウイも「おまえらコソコソと陰謀巡らせて色々やってんのなんかおかしくねェ?」とトリニティ上層部に苛立っているわけです。

 イベント中でウイがすわパラノイアの陰謀論者かというほどシスターフッドのことを秘密主義者の集団とかめちゃめちゃに罵倒して疑ってかかっているのですが、あれも実は歴史を知っているとそんなにおかしいことは言ってないんですよね。
 シスターフッドはもともとユスティナ聖徒会という組織からだんだん変化して生じた組織で、今でこそ純粋に奉仕と博愛を重んじる丸い性格になっていますが、もともとのユスティナ聖徒会は………

©平野耕太

 ざっくりこんな感じの集団だったらしい、と言われてますからね。いやマジで。
 トリニティが今の姿になる前は宗教的分派がいくつも生じており、例のアリウスも分派のひとつでした。それを第一回公会議の決定に従ってバチクソ弾圧しまくってひとつにまとめあげたのがユスティナ聖徒会であり、ガチガチの武闘派異端者狩り集団だったらしいということが示唆されています。

 同じ学生同士でケンカ程度ならともかく改宗させるために拷問までやらかしていたらしいことが匂わされているので、古文書に詳しいウイはそのあたりリアルガチの血塗られた宗教紛争を知った上でユスティナ聖徒会の後継たるシスターフッドを疑っているっぽいところがあります。ウイ自身が歴史についての考え方を教えてくれる一幕もあり、過去に生きた人々が遺した心情を先入観なくそっと見つめようと努力していることが明かされますね。
 ここもやはり、トリニティの汚いところや故事に通暁するハナコ的には「この人は信用できる」と思うポイントだったのではないでしょうか。もちろん、現在のシスターフッドのトップであるサクラコはそういったイメージを払拭するために努力している生粋の善人ですし、ウイたちも今回のイベントを通して「ユスティナ聖徒会もときには肩の力を抜きたい普通の学生だった」と認識を改めていますが、厳然たる視線で歴史を見ており盲目的になにかに従うことのない人物だということはハナコにとってかなり好感だったと思われます。

 ちなみにこのへんの歴史でいうと、我々の史実でもテオドシウス1世が某宗教の名の下にアリウス派を迫害したりアレクサンドリア図書館を破壊したりと暴れ散らかしてました。諸々の政争も関係するもののこのあたりの時代で女性学者ヒュパティアが平気で某宗教徒の手で惨殺とかされてるので、「学問・知識によって世の神秘を解き明かそうとする研究者」と「神の名のもとに神秘を神秘のままにして奇蹟を人に信じさせようとする宗教者」は死ぬほど相性が悪かった時代があります。主が創り固定したもうた地球が本当はゴロゴロ自転とかしてるぞと研究者に解き明かされると聖書と矛盾するので困るわけですね。このへんを踏まえると、司書であるウイがやたら秘密主義者に対して喧嘩腰なのも意図した設定なのかもしれません。
 そんな血みどろなところまでキ○スト教再現しなくていいから…(困惑)


最高の思い出を

 話が(大変危ない方向に)脱線し始めたので戻しますが、今回のイベントはとても爽やかな終わりでしたね。


 ウイの考え方は一風変わっていて「本や記録そのものを自分と同等のヒトとして丁重に扱う」というものなのですが、その理屈がとてもわかりやすく表現されていました。
 ウイが地図の謎を解いて明らかにした隠し場所も、複製ミメシスが執拗に妨害したとおり当時の人々は「隠しておきたい」という気持ちがあったわけですから、その思いを汲んで黙っておくことにしたのはなかなか粋でしたね。
 また、少し拡大解釈になってしまいますが、ヒナタが同伴していたということもおそらく一因としてある気がします。「シスターフッドの前身組織が私物で遊んだり訓練をサボってタイムカプセルを埋めていた」という事実がもし物証ごと出てきたなんてことがあったら、その場にシスターフッド側の責任者として付いていたヒナタにいくらか係累が及ぶことは想像に難くない。慈愛あるシスターフッド自体はともかく、周囲のトリニティ生徒のアレっぷりを考えると「シスター・ヒナタはなぜそんな(シスターフッドの立場を悪くする)ものを見つけてしまったのですか?」くらいは言うでしょうね。ウイが気を利かせてみんなの楽しい夏の思い出を守った、というのもなくはない気がします。

 かつて島に来た聖徒会がこっそりとひと夏の秘密を作っていたことを、そしてまたウイたちもひと夏の秘密にしておく……。素敵な入れ子構造だったと思います。


 つい記事の中で小難しい話を捏ねくり回してしまいましたが、こんなにキラキラして楽しそうな四人を見られただけでも、このイベントの意義はあったと思いますね……。


 きっとウイはこれから古書館の窓から空を眺めるたびに、そよぐ海風……アメリカーノとレモンジュースの味を………みんなで灯台の頂上から見た景色を思い出すんだろうな……。
 ウイ……きみはたしかに今、青春をしている……。




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