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スターフィールドをXbox Cloud Gamingで遊んでみるレポ

 長寿と繁栄を🖖

 あのベセスダが満を持して発売した最新作Starfield(スターフィールド)。おれも全力で追っかけてた生粋のベセスダファンというわけではないけど、Fallout3からちょこちょこ遊んでいたしやっぱりゲーマーとしては気になる。
 しかし、スターフィールドの抱える欠点は…


プレイ環境を作るのがクソ重たい


 ということ。
 今作はマイクロソフト独占となったことでプレステでは遊ぶことができずXbox系列かPC版にハードを限定される。しかもPC版では最低限動かすだけでもグラボはGTX1070 Tiを要求されるなどそこそこスパルタ仕様となっている…。簡単に言えば、数年前のエントリークラス~ミドルスペックPCはもう完全にスッパリ切られていると言ってもいいくらいで、ちょっと前のハイスペック・今現在のミドルスペック~ハイスペック相当のパソコンを用意してね!ということになる。

 そこで、今回はそういった環境をすぐには用意できない人向けにXbox Cloud Gamingを試してみたおれのレポートを書いておこうと思う。
 プレイ環境は人によりさまざまなので完全にアテになるかはわからないが、話半分くらいで参考にしてもらえるとちょうどいいと思う。




スターフィールドを取り巻くおれたちのPC環境

 ベセスダゲーといえば昔っから動作が重いで有名だったのでまったく予想できなかったわけではないが、今回もなかなかに高い性能を求められる。

 Steamの統計を見る限りでは、まあまあ動かせるであろうRTX3060ユーザーも多いが要件を満たせないGTX1650やGTX1060、おれも使っているRTX2060などが使用者上位を占めているのでまぁ~~結構な人口がきびしいんじゃなかろうか。
 一応はユーザーが作成したMODでDLSSを有効化したりテクスチャを改造してなんとか軽量化しながら動かすこともできるらしいが、トッドのおっちゃんが「PC版でも最新技術を駆使していますので,場合によってはPCをアップデートしてもらう必要があるかもしれません」と言っている以上できる人は素直にそうしたほうがよろしかろう。動かせるかどうか確証がないままCTD起こしたりマシンにダメージが来るかもしれないMODをアテにして買い切り版にフルプライスを出すのはちと怖い賭けだ。
 なんとかインチキできんのか!と言いたいところだが、これまでのベセスダゲーが月をニコラスケイジにされたりドラゴンをトーマスにされたりしながら長らく愛され続けたことを考えると、最初から今後の最新タイトルと張り合えるゲームとして作ったのは妥当な判断とも言える。「スターフィールドで築いたシステムをベースにFalloutやTESを制作すれば楽だろうし、今のうちに応用の利く土台を作っておこう」という意図もあるだろう。

 かといって、Xboxを新たに買うかも悩ましいところだ。シリーズSなら値段がちょっと抑えられるがゲーム機一台ってのはまあまあする。プレステ派やPC派が絶妙に「今のマシンも使えるのに新しく買うのもな~~……」となるお値段。
 だが、そういった問題を一手に解決できるかもしれない方法がある。Xbox Game passのUltimateコースに加入してCloud Gamingを使う、という手である。


かんたんな仕組み

 Xbox Game passはマイクロソフトのサブスクリプションサービスだ。俗称ゲーパス。ネットフリックスやアマプラで映画を観るのと同じように、「月々決まった額を払えばラインナップにある対応ゲームを遊べますよ」というもの。加入者は自分のパソコンにゲームをダウンロードして遊べるので、各々のゲーミングPCを活用する新しい手段として取り入れるゲーマーも多い。
 スターフィールドもこの対象に入っているので、ハイスペックPC持ちであってもゲーム本体代を安く済ませるためにこれを選ぶ人もいる。自分のパソコンでスターフィールドを快適に動かせるかとりあえず試すのにもいいかもしれない。
 ただし売り切り版とは仕様が違うというかファイルの置かれるディレクトリが違うのでMODでの改造はしづらいらしい。ゲーパス版でもいちおう非公式DLSS MODは動くらしいが、おれはそのへん詳しくないので説明できる自信はない。特に改造を施さないでバニラで遊ぶものと考えるのがいいだろう。

 でも、月額で遊び放題だとしても「結局自分のパソコンにダウンロードして遊ぶならそれ相応のハイスペックPCがいるよね?」という話になるが……


クラウドゲーミング

 ここで注目したいのは、上位プランのUltimateで使うことができるCloud Gamingだ。クラウドサーバーを通じてゲーパスで提供されるゲームを遊ぶため、遊ぶマシンのスペックがほぼ関係なくなる

 いまどきクラウドサーバーの仕組みを知っている人は多いと思うが、いちおうざっくり説明しておこう。
 実際のゲームデータ本体をダウンロードして自分のマシンをぶん回すのではなく、マイクロソフトくんがどっかに持っている超大量のサーバーでゲームを動かしてもらい、こちらからはコントローラーの操作信号だけを送ってゲーム映像を送り返してもらう、という構図だ。簡単に言うと超遠いところにあるXboxを月額で借りてインターネットという名前の超長いケーブルを繋げてモニターに映像を映して遊んでいるようなイメージになる。

 これのすごいところは、要はコントローラーインターネットに接続できる端末があればよいのでそこまでプレイするマシンの性能を問われないことだ。アプリをダウンロードすればスマホやタブレットでも動く
 さすがにYoutubeを観るのも厳しいような古代の化石パソコンとかバッテリーが死んどるスマホなどでは難しいが、ここ最近発売のスマホ・タブレットなら問題なく使うことができる。マイクロソフトのFAQに対応端末が書いてあるから見ておくといいだろう。パソコンの場合はブラウザ版とアプリ版があるのでどちらかを使えばいいが、これについては後で詳述する。
 そこそこのゲーミングPCなら動画サイト観るくらいワケないだろうし、今回のようにギリギリスペックが足りないなんて場合にはちょうどいい。

 ちなみに遊ぶときはコントローラーが必要なので、スマホやパソコンに接続できるものを用意しておこう。Xbox純正コンでもいいし安いのがほしいんだったらpowerAでもいいんじゃないかね。スマホなら無線接続できるものが使いやすい。


実際に触った感想

 おれはむかしPS VITAで死ぬほどもっさりしたPS Nowを試したりGoogleくんがStadiaをサ終する報道を見たりしてクラウドゲーミングについてあんまり信用しておらず、「どうせ遅延がものすごくてやってるうちにイライラするんだろ」と思っていた。今回も記事のネタにしたろ!と人柱のつもりで体験していた…

 のだが、思ったより実用レベルにあった。これはかなり驚く。もちろん気になるところがないわけではないが、遅延も常時激しいわけではなく回線が厳しいときだけ。
 以下、各ポイントに分けて書いていこう。


画質

 これは結構すごい。多少のノイズはあるが、そもそもが激強サーバーで動かしてるんだからテクスチャの質は高いしモーションブラーといった映像処理自体はリッチだ。ヘタなマシンでヒイヒイ言いながら画質を下げて動かすよりキレイなのかもしれない。
 クラウドゲーミングだとマイクロソフトくんが大量に用意したサーバー上で仮想Xboxを動かして映像をこっちに送っているらしいので、画質設定のオプションにはパソコンでは調整できる高~低の設定がそもそも存在しない。だいたいコンシューマ版と同じ品質で遊んでいるようなものと言えるだろう。マシンとの相性やファンの唸り具合を気にしてウンウン考える必要がないので「まあいいか!よろしくなあ!」とデンジみたいな顔して頭空っぽでゲームできるのはいいですね。

 フレームレート自体は少し低めかも。クラウドゲーミング自体がだいたい60FPS上限らしいんだけれども、スターフィールドでは特に体感では30FPSっぽいなという印象がある。
 おれはPS3などで30FPSに慣れているいにしえの民なので問題ないが、60FPS以上の映像が当たり前の世代なんかはちょっと目が疲れてしまうかもしれない。これはまあ、映像をすばやく送らなくてはいけないので仕方ないところだろう。


遅延でノイズ、コマ落ちが出ることもある

 ただ、この映像をネットを介してこっちに送るというプロセスで問題が出ることはある。情報をこっちに送ってきている以上、映像データが重すぎて満足にこっちに送ってこれなかったり、そこまでの経路でたとえば回線が混んでいるなどでフレーム落ちしたり画質が落ちることはある。いわゆる遅延の問題だ。


 お、おごごごごご……。これは極端な例だが、ここまでデカいブロックノイズが走ることもある。

 おれは当初、パソコンのXboxアプリ版でプレイしていた。そのときのチュートリアル部分の画面がこのような感じになってしまった…。
 どうも、目の細かい金網オブジェクトのような映像データにしたときかなり送信が重たいものが映るとブロックノイズが走るらしい。動画配信サイトでも高画質の動画を見るときに画面が途切れ途切れでおかしくなることがあるが、瞬間的にあれと同じことが起きていると考えるのが妥当だろう。

 ここで興味深いのが、ブラウザ版クラウドゲーミングだとここまでブロックノイズが走らないという違いだ。
 クラウドゲーミングはEdgeやChromeといったウェブブラウザからも遊ぶことができるが、こちらはこういったノイズがあまり出ないように思う。X(Twitter)での先輩クラウドゲーマーたちの情報を集めてみても、やはりブラウザ版がノイズが少なくおすすめとの声が散見される。
 そのかわり、先程の金網をアップで映すというような同じ状況ではいわゆる画面が一瞬飛ぶコマ落ち現象が起こるようだ。

 これはおれの推測だが、アプリ版では通信が悪く低画質になってしまった場合にとりあえずノイズが入ってしまっても映像を間断なく流すことを優先しており、逆にブラウザ版はコマ落ちして映像が一瞬飛んでしまっても画質はあまり落とさない、という仕様の差になっているのではないだろうか。
 どちらのほうが違和感がないかは人によるが、おれはフレームが一瞬飛ぶ方があまりおかしく感じないのでひとまずブラウザ版で遊ぶことにしている。


操作の遅延

 操作の遅延も非常に少ない範囲にとどまっている。回線の調子がよければあまり気になることはない。
 対戦FPSなどのオンライン競技ゲーだと気がつく程度の差かもしれないが、少なくともプレイし続けていてストレスがたまるほどのものではない感じ。

 当然、回線の調子が悪いと大幅に遅れることはある。ただそういうときは大抵まず操作信号よりよっぽどデータがデカい画面自体が荒れたりするので操作だけ遅れて知覚できるというようなことはないと思う(まずゲーム全体がプレイに堪えなくなる)。


加入する前にネット回線が十分か確認しておこう

 クラウドゲーミング自体は端末の縛りがゆるく色々な機器で遊べるようにはなっているが、やはりネット環境だけはアキレス腱になるのでそれなりにいいものを確保しておきたい。家にひっぱってくるネット回線はあまり混雑しないプロバイダの光回線にしておきたいところだ。パソコンだったらそこから有線接続しておくのがベストだし、Wi-Fiであれば5GHz接続にしてできるだけ他に接続して使っている機器がない状態が望ましいように思う。

 マイクロソフトから自宅までのインターネット道中が混雑していなくても、住んでいるマンションの人たちが同じ回線から引っ張っていたり家の中であなたのオカンが4Kで韓流ドラマ見てたりオトンが寝転がってYoutubeのキャンプ動画見てるとそれなりに圧迫される。電子レンジを使うとWi-Fiに干渉して通信しにくくなるのでそのあたりもよく把握しておこう。
 ひとり一台スマホを持つ時代になってもテレビのチャンネル権争いみたいなのが連綿と息づいているのだなぁ。


モバイル デバイスでは 10 Mbps、コンソール、PC とタブレットでは 20 Mbps、5Ghz の WiFi またはモバイル データ接続で最高のパフォーマンスが実現します。

公式FAQ

 とのことなので、君がいちばんゲームをする時間帯にいつも使っているWi-Fiに接続し、スピードテスターを何回か試してこのスピード以上が出るか調べてみよう。あと遅延具合がわかるPingもある程度低いほうが望ましい。これでひとまず加入のための1200円を払うべきかどうかがわかる。

 回線から見直す必要があるならちょっとめんどくさいが、もし無線LANルーターが古くて遅くなっている、とかだったらこの際Wi-Fi6のルーターにでも買い替えてしまうのもいいかもしれない。どうせXboxやゲーミングPCを新しく買うよりかは安い。


とりあえず遊んでみるのにちょうどいい

 やはりいちばん良いのは高級機をブン回して大画面で遊ぶことだが、なかなかそんな時間も金もない。そういった人にはまさにうってつけのサービスと言えるだろう。
 クラウドゲーミングサービスについてはかなり疑ってかかっていたが、画質的にもプレイ感覚的にもそこそこ回線が確保できていれば問題がなく、もっさりモタモタしていたころからは想像もできないほど時代の進歩を感じた。

 ネット回線の混雑だけは人によるのでそこはよくチェックしたほうがいいが、一ヶ月試してみるくらいならスターフィールドそのものの値段より圧倒的に安いので不満があってもすぐに解約できるしダメージも少ない。クラウドである以上MODは入れられないが、スターフィールド自体そもそもMODなんか入れなくても十分なボリュームがあるので長い間楽しめる。

 スターフィールドについてはおれ自身遊び始めたばかりだから詳しく説明できないが、プレイヤーの出自を選ぶ時点で結構ワクワクし始めている。スキルツリーを眺めているだけでも楽しい。

 かなり長い記事になってしまったが、読んだあなたが宇宙に飛び立つ一助になれば幸いだ。

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