片羽葬儀社のお仕事
俺の仕事は型嵌め業だ。
何を型に嵌めるかって言えば、死体だ。
例えば轢死体。葬式に出すにはちと見苦しいって死体もあるだろ?
そんなときは特殊な鋳型を用意して、死体をそこに押し込んでやる。
そうすりゃ、どんなにバキバキに曲がった死体だろうと、ぐちゃどろに飛び散った肉片だろうと、見た目だけは元通り。
無論、完全に元に戻せやしないが人の輪郭になってるだけで有り難いって遺族も多いのさ。
だが、今回はミスった。見積もり損ねちまった。
型にブチ込んで開けてみれば、腕一本分の骨肉が足りなかったんだ。
片腕しかない御遺体を見て新人の名護が真っ青になっている。
「よし、ナゴ。緊急事態だ」
「しゅ、主任。こう言うときはどうしたら……?」
「仕事は何があろうとやり遂げる。それが我が社のモットーだ」
「う、ウッス!」
「というわけでだ、頼むナゴ。お前の腕一本よこせ」
「……は?」
俺はナタを構えた。
【続く】