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ChatGPT Proの「Deep Research」を使って副業・起業を相談してみたら、意思決定が加速したハナシ


副業・起業したい!が、何する?

このnoteを書いている今、「子育てペナルティ」が話題になっている。「子どもを産んだ女性は、産まなかった場合と比べ、出産から10年間の賃金が46%減少した」という東大の研究グループが発表されたためだ。

わたしは若い頃から「好きなことや得意なことを活かして個人で稼ぐ。」というキャリア目標を掲げてきた。

20代は会社員として奮闘してきたつもりだ。男性中心の業界で、妊娠出産後も仕事に戻れるように、難関資格の取得にも励んできた。

出産後の30代。育児と仕事を両立するのは想像以上に大変だった。第一子のときから痛感したマミートラック、ガラスの天井、小一の壁…。さまざまな葛藤があり、会社員として「自分らしく」働くには限界を感じていた。

そこで思ったのが、「副業やスモールビジネスを本気で模索してみたい」ということ。第二子の育休中、わたしのスモールビジネス熱はますます高まるばかりだった。

けれど、いざ何かやろうと思っても、方向性がまるで定まらない。どんなテーマに絞ればいいのか。どうやって稼ぐのか。スモールビジネスの方向性を決めようにも、限られた自由時間のなかで自己分析と情報収集を繰り返す、堂々巡りする日々が続いていた。

そんなとき目にしたのが、ChatGPTに新しく搭載された「Deep Research」というリサーチ機能だ。

実際にDeep Researchを使って副業・起業を相談してみたら、まるでコンサルのように意思決定に必要なサポートを行ってくれた。そのため、スモールビジネスに向けた準備が加速化するのを実感することができた。

ChatGPT新機能「Deep Research」とは?

2025年2月にOpenAIが発表したこのDeep Research機能を使うと、信頼性の高い情報を自動収集し、引用付きでレポートをまとめてくれるらしい。

つまり、Deep Researchを使えば、「自分専用のコンサルタント」を雇う感覚が味わえる。これまでのChatGPTは、じぶんの代わりに検索や文章生成をアシストしてくれる「秘書」というイメージだった。ところが今回のDeep Researchは、「調査→検証→レポート作成」までを自律的に行うという。

2025年2月7日現在、このDeep ResearchはChatGPT Proプラン(約200ドル/月)ユーザー限定だという。しかも利用は月100回までに制限されている。

わたしは育休中にAI活用に本腰を入れたくて、最近ChatGPT Proに課金しはじめたものの、月3万円弱という出費はなかなか痛かった。ところがこのDeep Researchを試してみたら、「もう少し自己投資として継続してみよう」と思うくらいの衝撃があった。

今後はPlusやTeamなど他のプランでも順次使えるようになるそうだ。

とはいえ、AI業界は日進月歩。その頃には、まったく別の新機能や他社のサービスも出てくるかもしれない。だからこそ、「動きながら考える」「習うより慣れろ」の精神でDeep Researchを使ってみた。

Deep Researchを使ってみた

はじめ方:Deep ResearchモードをONにするだけ

ChatGPT Proユーザーの場合、チャット画面下に追加された「詳細なリサーチ」ボタンを押すと、Deep ResearchモードがONになる。あとは普段どおりにプロンプトを入れるだけ。

「詳細なリサーチ」ボタンを押すと、Deep ResearchモードがONになる

するとDeep Researchがプロンプトに必要な情報を聞き出してくれる。

今回の場合、「リサーチレポートを作るため、あなたのビジネス形態、 ターゲット層、 収益モデルについて詳しく教えてください」といった質問だ。まるでコンサルのように、ヒアリングから始めてくれる。

ChatGPTの普通のモードであれば、最初の指示(プロンプト)をもとにすぐに回答を生成しはじめる。だから、ユーザー側はプロンプトを作成する際には的確なアウトプットが得られるよう、プロンプトに注力する。的確なプロンプト作成のための「コツ」が必要なのだ。

Deep Researchモードでは、人間コンサルタントのように、「確認事項についての逆質問」をしてくれる。

だから、プロンプトが得意でなくても、AIのほうからユーザーのニーズや課題を把握しようと歩み寄ってくれているような、安心感、心強さを感じられる。

目標:スモールビジネスのテーマを絞る

今回わたしがDeep Researchでしたいことは、「スモールビジネスのテーマを絞ること」。

興味が散らかりすぎてどのテーマに絞るか決められない。どのテーマが個人でやる価値があるのか、何から始めてどう展開していくのかいいかわからない。とにかく、思考がとっ散らかっている状態だった。

そこで、まずはじめに、じぶんの興味・関心を起点に、分野の絞り込みをするための、リサーチと提案をしてもらった。

具体的には、興味・関心のあるそれぞれの分野について「市場調査」してもらい、個人ビジネス向けの領域を絞り込んでもらった。

また、「競合分析」したうえで、マーケティング戦略、ブランディング戦略を立案してもらった。 

さらに、スモールステップで目標金額まで収益を伸ばすための、「スモールビジネス展開ロードマップ」まで作成してもらった。

結果:まるでコンサルの報告書が数分で

「リサーチを始めますね」とチャットに返事があってから、約6分。

引用が8つほど付いた6000文字超のレポートが届いた。構成もしっかりしていて、要点が網羅されている。内容も深く、じっくり読んで20分くらいかかる中身の濃さがあった。

人間のコンサルに依頼したら、きっとそれなりの時間とお金がかかるであろう初期リサーチとレポートが、数分でポンと出てくる。このスピード感はかなりの衝撃だった。

レポートの構成は以下のとおりだ。

  1. 興味・関心のあるそれぞれの分野の市場調査

  2. ニッチ市場の可能性と競争優位性

  3. スモールステップのビジネス展開ロードマップ

  4. ファン獲得と収益化のためのブランディング戦略

以下、それぞれの内容と感想を詳しく説明する。

  • 興味・関心のあるそれぞれの分野の市場調査

国内外の市場規模・成長率・需要供給バランスを客観データで解説。

「ここは参入チャンス大」「ここは競合多めだけどアイデア次第で勝負できる」といった見立て。

興味・関心がある分野について、国内外のマーケティング、消費トレンド、テクノロジーによる変化などの価値観の変化などの大きな流れを捉えることができた。

趣味の世界としての内向きで超主観的な視点から、「今後伸びるビジネスはどれか?」という外向きで客観的な視点に切り替えることができた。

好きを仕事に、というと、「Like(好き)」「Can(できる)」「Need(稼げる)」が重なる場所を選ぶのがセオリーだ。ひとりでやろうとすると、この「Need(稼げる)」を見落としがちだ。Deep Researchを使えば、この「交差点」をバランスよい視点で見つけることができそうだと感じた。

  • ニッチ市場の可能性と競争優位性

大手が参入しづらい隙間を攻める戦略や、独自路線で差別化しやすい分野をピックアップ。

「個人だからこそできる、高付加価値の付け方」などの、個人ビジネスとしての戦略。

このあたりをひとりで考えようとすると、まずマーケティング、ブランディング戦略に関する知識が必要だ。さらに、じぶんの興味関心分野に落とし込む必要もある。

Deep Researchを使っていると、ビジネス経験のある人の経験則や知恵をお借りしているくらいの感覚だった。

  • スモールステップのビジネス展開ロードマップ

設定した目標(○年後に○円稼ぐ)の実現に向けたビジネス展開のロードマップ。短期(0〜6ヶ月)、中期(6ヶ月〜2年)、長期(2年〜)に区切り、どの時期にどのような行動を取ればいいのかの見立て。

スモールステップでのゴールまでの道筋を示してくれた。行動を起こしやすいよう、優先度をわかりやすく整理し、自分の行動に落とし込めるように提案してくれた。

わたしにもできるかもしれない、と思うほどにやることが分解されていた。むしろ、ここまで読むころには、「ChatGPTがここまで整理してくれるのであれば、人間であるわたしがすることは、行動しかない」と思うようになっていた。

「行動して、フィードバックして、試行錯誤のサイクルを早く回したい」。そう思うほどに、思考の変化が起きていた。

  • ファン獲得と収益化のためのブランディング戦略

SNS・ブログの活用やコミュニティづくり、差別化の切り口などが丁寧に書かれていた。

ニッチでもファンがつけば売上が安定する、という視点からのアドバイス。

この「ファンベースの稼ぎかた」については、じぶんの名前で稼ぐ経験をあまりしたことがないから、正直まだ実感が湧かなかった。

しかし、いまの時代の稼ぎかたとしてこうゆう方法があるんだな、という方向性を知るだけでも違うと思う。

リサーチ中:「AIのひとりごと」が面白い

Deep Researchモードでは、ChatGPTが回答するまでのあいだ、今どんな検索キーワードを使い、どの文献を参照し、どんな検証をしているか、いわば「AIのアタマのなか」をリアルタイムで見ることができる。

本来なら、その間にほかの作業を進めるのが時短のポイントだろう。けれど、わたしはそのAIの「ひとりごと」が興味深く、見入ってしまった。

「こんな視点で検索するのか」「参照資料はそこから引っ張ってくるのか」と感心した。

この「AIのひとりごと」も意外な学びとなっている。

加速的に思考が深まる、視界がクリアになる

ChatGTPがまとめてくれたレポートを読むと、「こっちも詳しく知りたい」「あれも調べたい」と欲が出てくる。また、興味を起点にしていても、具体的な個人ビジネスに落とし込んでみると、「こちらのテーマや方向性ではないな」と気づくこともあった。

相手がAIだから気兼ねなくどんどん要求を追加したり、方向性を調整できる。それに曖昧なリクエストでも、AIは「わかりました、こういう条件ですね?」とサクッと理解してくれるのが嬉しい。

追加で依頼すると、また別の資料やデータを参照し、新たなレポートを5〜10分で作りあげてくれる。人間コンサルに依頼したら、時間もコストも10倍以上かかるだろう。

自分の目指すべき方向性が、加速度的にクリアになってくるのを感じた。

Deep Researchの活用例

今回わたしは副業・起業のアイデアづくりで使ったが、他にもいろいろな可能性があると思う。スモールビジネスでも企業の新規事業でも、計画段階での準備や検討方法は似ているからだ。

Deep Researchのビジネス活用例

  • ビジネスアイデアの検討

  • 新規事業の市場調査

  • 競合分析やマーケティング戦略立案

  • 専門分野の学術文献や技術論文リサーチ

時間もコストもかかるリサーチ作業を、これだけ短期間でこなしてくれるなら、本業でも副業でも効率よく新規事業の検討を進められる。

月3万円という金額は安くはないけど、時間という資産を節約し、高速に検証できるメリットを思うと、むしろお得かもしれないと感じた。

「行動」の価値が高まるだろう

とはいえ、どんなに素晴らしいレポートがあっても、結局自分が行動しないと何も始まらない。むしろ、AI時代には、人間は「ひとりで考える」よりも「行動する」の価値が高まるとさえ感じる。

AIとともに考えたものは、あくまで「たたき台」であり、「仮説」や「情報」にすぎない。実際にSNSで情報発信してみる。必要な人に会いに行ってみる。そこで得たリアルな結果をまたChatGPTにフィードバックすれば、さらに新しい提案が返ってくるだろう。

試行錯誤のサイクルが圧倒的に速くなるのを実感できるので、そのスピード感が、副業・起業だけでなく、これからの働き方の鍵になる気がする。

まとめ

We’re going to kill Mckinsey.
(マッキンゼーを打ち破る)

こんな「打倒マッキンゼー」を掲げるAIベンチャーがある。

Deep ResearchはAIがコンサルティングアプローチをしてくれる、まさにコンサル潰しな機能だと感じた。

Deep Research機能まとめ

・ChatGPTの新機能「Deep Research」は、リサーチからレポート作成までをAIが自律的にこなすコンサル的なAIエージェント。

・ChatGPT Pro(月約200ドル)で利用でき、現時点では月100回制限。

・「深堀り→行動→フィードバック・相談」が高速に回せるので、試行錯誤のスピードが格段にアップする。

最終的には自分が動かなきゃ始まらないけれど、AIがその背中を強力に押してくれるというのが大きい。

わたし自身も、数分で届くレポートを読むたびに、視界がクリアになっていく感覚があった。

けれど、行動するのはあくまで自分。AIの提案を受け止めて、いかに、「実践→検証→フィードバック」のプロセスを高速で繰り返すかが、AI時代の働き方で重要なのかもしれない。

あとはやるだけ。やりたいことが多すぎて止まっていた足が、ようやく動き出す気がする。

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