ファスト&スロー~あなたの意志はどのように決まるのか

ノーベル経済学賞受賞者ダニエル・カーネマンの著作です。
上下巻にわたって、論文の文献がぎっしりの行動ファイナンス理論の名著です。
本書の一環したテーマは「認知的錯覚」です。
合理的判断を拒む錯覚を具体的事例を設けて解説しています。

1.システム1とシステム2
システム1は直観や感情を、システム2は熟慮を担っています。
システム1は素早く努力なしに、システム2は遅く意識的に努力しないと起動しません。
私たちが頻繁に誤りを犯すのは、システム2の知識や能力不足が原因だそうです。
どうしたら認知的バイアスを逃れられるかは、直観に頼らず数式で表すべきだと提案しています。

2.行動経済学
プロスペクト理論と呼ばれ、1.同じ規模の利得と損失は損失が重大に見える。
また、2.意思決定モデルの確立比重は線形ではない。
ファイナンスの理論から人は富の変化量から効用を得るという心理学の領域に踏み込んでいます。
資本主義は自信過剰や認知的錯覚から成り立っていると説いています。
行動経済学で有名な言葉にメンタルアカウンティングとサンクコストがあります。
メンタルアカウンティングで損失を避けるには、使用目的の財(不動産等)と交換目的の財(お金等)を分けて考えると良いそうです。
サンクコストは赤字で終わりたくないと思ってしまう性質が損切りをできなくします。
現状維持願望とも絡み、現在の判断に過去を考慮しないことが対策となるそうです。

3.経験する自己と記憶する自己
人は一番楽しかったことと最後に感じた感情の平均で記憶されるピークエンドの法則があるそうです。
感情の持続時間が長かろうと記憶には関係がなく、
ピークと最後がよければ最高の思い出となるそうです。
経験と記憶には差があるとのことです。
人は富の変化点から効用、幸福感を得るため、現状の参照点を意識するとマイナス感情になりずらくなると思います。

4.まとめ
行動経済学は発生確率をはじき、
自分の心理を自分で操ることで、
人生を豊かにする学問です。