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kissyou22
レモン12年
13年前、息子が結婚する年の秋、お相手の彼女が「庭に植えてくださいますか」ともって来た、高さ50センチ程のレモンの木。それまで彼女が一人暮らしのアパートで育てていたものだった。
今では2メートルを超える木になり毎年たくさんの実をつけてくれる。
それは新芽が開き始めるころに小さな花芽をつける。
花がふくらんで開き始めると濃い甘い香りが漂い、蜜蜂が忙しそうに蜜を吸いに来る。そうこうしているうちに花が落ち、小さな実をつける。落下する実もあるが、残った実は雨水を吸い、陽ざしをたくさん浴びながら膨らんでいく。暑い夏を過ごし、秋を向かえる頃には、青い、レモンの形になっている。
レモンは市販品より大きくて酸味は少ないがジューシーだ。
捥ぎごろになると友人やご近所に差し上げたり、娘や妹に送ったりする。
夫はもっぱら搾ったのを焼酎割りに入れて呑んでいる。
ポン酢を作るのは私の仕事で、冬の鍋料理のお伴だ。
それを12年余り楽しませてもらい、今年もたくさんの花芽をつけた。
レモンの木を持ってきた息子の彼女は妻になり、母になった。
花を咲かせて、実をつけるため只今奮闘中だ。