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The Last Murder at the End of the World by Stuart Turton


あらすじ

今から90年前、巨大な陥没穴が各地で現れ、そこから出てきた黒い煙によって世界は消滅した。生き残った人々が住む最後の島には 122人の村民と3人の科学者がいて、島は科学者たちの力によって煙から守られている。アポカリプス前に摂取したワクチンの効果で科学者たちは老化が遅く、100歳を超えても生きているが、村民たちは60歳で死を迎える。
ある晩、倉庫で火災が起き、科学者 Niema の遺体が見つかった。しかし、死亡の原因は火事ではなく、刺殺だった。Neima はデッドマン装置を仕掛けていたため、Neima の死により黒い煙を抑えていた装置が作動しなくなり、このままでは107時間後に島は煙に飲み込まれる。残った科学者たちは村民の Emory に殺人の真相を突きとめ、煙の侵入を止めるよう依頼する。

読みどころと感想

最近の特殊設定ミステリーと言えば、西の Stuart Turton、東の潮谷験だと個人的に思っているのですが、 今回の Turton も凝りに凝っています。3作目はポストアポカリプスSFミステリーで、あらすじを読むと真犯人探しのミステリーっぽいのですが、ほぼ SF と言っていいのでは。冒頭に登場人物の一覧表があるのですが、読み進めていくと、リストに載っていない 「わたし」(Abi)が出てきます。誰だ、これは……となるのですが、実はミトコンドリア・ネットワークを介して、人々の意識内を自由自在に移動できる AI か何からしいんですよね(一覧表を作ったのも Abi )。Abi は Neima がつくった技術らしく、村民を守るという Neima からの使命を忠実に果たしています。そのため、Abi は殺人が起きた夜の全村民の記録を消していて、誰もその夜のことを覚えていない。Abi は村民を守るためなら Neima を殺すこともあると自覚しています。ってことは、ロボット工学三原則を破って Abi が犯人ということもあり得るのか……と思いながら読んでいくと、驚愕の事実が!!ちょっと待って!いきなり大前提を崩すの??これはミステリーとして成立するんだろうか……となります。たしか40%ぐらいのところです。ここはネタバレしないので、読んだ方はぜひ驚愕してください。
ストーリーはどんどんぶっ飛んでいって、取り残されないようについていくのが大変ですが、Turton らしい性善説な結末にたどり着きます。
Turton は数年に1冊ペースで作品を発表していますが、毎回設定を大きく変えています(1作目はタイムリープ、2作目は歴史もの)。次はどんな設定で書いてくるのかな?

この本について

タイトル:The Last Murder at the End of the World
著者:Stuart Turton
出版年:2024
出版社:Bloomsbury
ページ数:328

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