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実現した不安とこれから実現しようとしている期待と

わたしのnote史上(現在のところ)一番のヒットだった「本屋大賞に思う」
昨日、ほんとに久しぶりに「スキ!」がついた。

で、懐かしくなって読み直してみたのだけれど、そのときの不安って、けっこう実現してしまっているなと…。そんなお話を書こうと思う。でも自分はハッピーエンド好き(メリバもきらいじゃないよ)なので、最後は期待で着地させる。1000字程度で…きっと…おそらく…。

「そうでもしないと売れない」というのが、上記記事であげた、自分の気付きだった。
現状どうなっているかというと、成瀬はスマッシュヒット。漫画家されたし、ライオンズコラボも果たした。ちゃんとキャラが独り立ちして、前に前に進んでいる。それはそれでよかったし、宮島さんの新作もネットや新聞で話題になっている。

でもさ、でもさ、それ以上のなにかを本屋大賞は与えたか?という話なんですよ。
この記事を書いたときの不安はそこで、本屋大賞が浪費されてあそばれて、それで終わっちゃうんじゃないか?年に一度の打ち上げ花火なのではないかという不安。本屋さんはなくなっていくし、読書する人は減っていく。もちろんそこを本屋大賞だけのせいにするのはおかしいのはわかっている。

でも、何度でも引用するよ

書店員の投票だけで選ばれる賞です。

「本屋大賞」は、新刊書の書店(オンライン書店も含みます)で働く書店員の投票で決定するものです。過去一年の間、書店員自身が自分で読んで「面白かった」、「お客様にも薦めたい」、「自分の店で売りたい」と思った本を選び投票します。 また「本屋大賞」は発掘部門も設けます。この「発掘部門」は既刊本市場の活性化を狙ったもので、過去に出版された本のなかで、時代を超えて残る本や、今読み返しても面白いと書店員が思った本を選びます。

https://www.hontai.or.jp/about/

ほんとは、この発掘部門にもっとスポットをあてる必要があるんじゃない??ホームページの下の方にちーさく「あ、今年の発掘部門のリストはこれね」って置くんじゃなくてさ!

ちなみに、この発掘部門リスト、そうとう面白いから、ぜひ見てほしい。これを上から順に読んでレビューするみたいなことをやってみたい。

なんかさ、賞レースなんだよね。たしかに賞ってわかりやすいんだよ。
1位が決まる。2位が決まる。
でもね、「それって、誰の1位なのか」ってことなのよ。芥川賞は芥川龍之介が選んだわけじゃないし、直木賞は直木三十五が選んだわけじゃない、もっというと創設したわけでもない。選考者が賞の趣旨に照らし合わせて選んでいるわけなのですよ。それをマスコミがおもしろおかしく(以下略)

ちなみに、本屋大賞の主管って知ってます?私は知らなかった。
主管はですね「特定非営利活動法人本屋大賞実行委員会」なんです。

んでね、調べてみたの「このビル怪しい」って。
で、調べてわかったのは、このビル「本の雑誌社」さんが入っているビルなんだよね。

1976年4月に椎名誠、目黒考二らの手で創刊した「本の雑誌」は従来の書評紙、新聞雑誌の書評ではほとんど取り上げられることのなかったエンターテインメント作品の書評を中心に、本や活字に関するありとあらゆる情報をオリジナルな切り口で提供することで、出版界に独自の地位を確立。当初の季刊から隔月、月刊へと刊行ペースも上げ、創刊40周年を迎えた2015年には「日本の出版文化における独自の存在感」が評価され、第63回菊池寛賞を受賞しました。

https://www.webdoku.jp/about/company.html

知ってる?「本の雑誌」。
今月の特集が「特集:国会図書館で調べものを」
すごくない?

読んでいると、「あー、この人たち、本が好きなんだなぁ」と字面では表せない感嘆を抱くところなんだよね…。

でね、改めて思うんだよね。その組織がだす「本屋大賞」がどうしてこんなに「ことしのおもしろエンタメ小説No.1決定戦」みたいになってしまったんだろうと。

過去の大賞作品見てみるとさ、読んでみるとさ、読みやすいんだよ、ほんとに読みやすい。小学生も読んじゃうんだもの「かがみの孤城」とか「蜜蜂と遠雷」とか。

だからさ、本屋大賞が対象にしている層は、おそらく、たぶん、
「あなたが、本に出会う一冊目はこれ」なんだよね。
そしたら、動きがあったほうがいいじゃん。それはエンタメ小説になるよ。

そうするとさ、読者側としては、そこでブックオフに売って終わりにせず
自分に問うことが必要なんだろうね。

やっぱり、「じゃあ、次何読むの?」って。
いや、違う。「じゃあ、次何読みたい?」って。
これを助けるのが本屋さんなんだろうなと。

「かがみの孤城」読んだ人に、「冷たい校舎の時は止まる」(←メフィスト賞受賞作)をすすめるか、「ツナグ」をすすめるか。それとも、「ナルニア国物語」をすすめるか。
「蜜蜂と遠雷」読んだ人に「夜のピクニック」すすめるか、「Q&A」すすめるか。それとも「のだめカンタービレ」をすすめ…はしないかもしれないけど、名作なのでぜひ読んでほしい。

今はThreadsとかインスタとかに本好きさんがいっぱいいる。すごい時代になったよね。自分で探したり、「ダ・ヴィンチ」に頼ったりしなくてもいい時代なのだもの。(ちなみにインスタとかで得意げに「どんでん返しが強烈な作品10選」とか言っている人は、一度「どんでん返し」の意味と「叙述トリック」の意味を辞書で引くと良いと思う)

でも、たぶん本屋さんには敵わないのよ。だって、毎日それを愛でているんだから。そして、2冊目って人によって違う。(そんなわたしは凪良ゆうさんの2冊目に悩んでいる…笑)
だから、本屋大賞受賞作を読んだ後は、本屋に行こう。そこにはその作家さんの特集棚が組まれているから。手にとって探せるのはリアル本屋さんの良さ。なので、寺山修司さんの言葉をかりるとさ

「書を捨て、本屋へ行こう」

なんだと思う。今のところの結論は。

最初はさ、本屋大賞しっかりしろよ!と書き始めたんだけれど、結局は「読み手にできること」って話になったね。

本が好きな人が増えることって、世界が広がりやすくなることだと思っているの。
本の中には、自分の知っている世界とは違う世界がある。それが、2つ3つとたまっていく。
本好きが増えれば増えるほど、その世界の広がりは加速度をつけていく。別に「495ページの◯行目のカプのセリフってさ…」みたいな話しをしなくてもよくて、もっと感覚的な言葉で話してもいいと思う。いろんな世界を共有して、いまをもっと良くしていければ、読書ってもっと楽しいものになるのではないかなと。そんなことを思いました。

2500文字オーバー。
わたしの思考の断片を読んでくれてありがとう。

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