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母校のようなお店が閉店

「ライブハウスの経営について教えてください」と門を叩いた荻窪のライブバー・BUNGA。私は学生だった2011年の秋頃〜大学を卒業してからも2015年の8月まで働いていました。

2022年4月で、約16年の幕を降ろします。

閉店のお知らせを受け取った時は、正直動悸が。
訃報と同じような感覚。人ひとり、亡くなったような。

それくらい、BUNGAはわたしにとって大切な場所なんだなと改めて。感じてきたことは残したいし共有したいと思いますので、まだ閉店まで少しありますが、振り返ってみようと思います。

◆就活を放棄したのがはじまり

就活にもスーツにも飽きて、バンドを始めた大学4年生の夏頃。どこでライブしようか〜とネットでライブハウスを検索。BUNGAを見つけ、下見と打ち合わせに。どうやら人が足らないとかなんとか......という話を嗅ぎつけます。
そこで「ライブハウスの経営に興味があるんですけど...」と漏らしたら、チーフのminaさんとランチが決まり、あれよあれよという間にお手伝いすることになったのです。

◆インターン的なものがはじまる

大学4年の秋頃からは、学校帰りに終電(田舎なので22時代でした)までちょっと手伝ってまかない食べて帰る、というのを週に数日。今でも秋に外掃除をしていると、その時の感覚が蘇ってきます。
冬を越え、卒業間近になってもときめく就職先が見つからず、そのままお世話になることに。
そこからはさらに当たって砕けまくり、たくさんのことを学ぶことになります。

◆やることたくさん

まずは接客から。
今より暗かったので(笑)、声色に気をつけて電話の応対練習なんかもさせてもらいました。

調理も簡単なものから、少しずつ。
のちに自分でレシピを作ったりするように。

音響は自分の耳を信じながらも、勉強しながら手探りで。
店の事情も知らず、客席後方にあることが多い卓(音響機材)がステージ横にあることをどうしてですか?と突っ込んだりもして。

簡単な事務……領収書の整理やチケット制作なども。

メール対応や企画も、全くしたことがなかったのに、とにかくやらせてもらいました。

そして今となっては当たり前ですが、出演者・お客様にもさまざまな性格・スタンスの方がいて、それぞれに対応していきました。

例えば
○貸切してもらってとにかく楽しんでもらう日
○店と出演者で企画して一緒に集客して歩合制でやる日
○基礎もないのに、いわゆるビジネスメール度合いに迷ったあの頃
(店としてはいつだって仕事だけど、貸切の方は娯楽という場合が多いので、ある程度ラフな方も。一方、仕事として出演する方なのに砕けた感じで話が進んでいったり。)
○お客様の声と店の実情の、落とし所を見つけるのに頭を抱えた日々

などなど......他にも仕事の進め方物の管理の大変さ、基本的な考え方や軸など、数えきれないほどチーフのminaさんに都度フィードバックしていただき、オーナーのプーさんにも、あたたかく、時に厳しくたくさんのことを教えていただきました。

◆振り返ってみると総合力がついた

この規模のライブハウスは

○飲食店だけど純粋な飲食店の経営・オペレーションとは違う
○音響、ブッキング、接客、厨房、事務など、業務が多岐にわたる

ってのがスタンダードかと思います。
でもこれって、あまりない世界というか、人に説明するのに苦労するというか。
ただこうしてスキルを棚卸しすると、簡単には得られない総合力・俯瞰する力がついたのかな、と感じています。
これらの経験は、今働いているライブハウスではもちろん、外部でイベント運営する時などにも活かされています。

◆今もなお厳しいライブハウス

コロナ禍の初期、ライブハウスでクラスターが出たことから、「ライブハウスは危ない」というレッテルを貼られてしまうようになりました。
人に集まってもらって、飲食していただいて...が生業なのに。
もうどうしようかと。

ルースターでのことですが、時系列で綴っている記事はコチラ

当時は全てが手探りだったのと、じわじわとメンタルをむしばんだのが自粛警察に怯えての生活。だいぶ回復してきましたが、まだ諸々気をつけての営業。色々クリアしていれば100%の動員も可能ですが、今いるルースターは念のため約50%キャパでの営業。

同時に、なかなかお客さんが戻ってこないのです。

BUNGAについてはクラファンでも応援しておりましたが、やはりこの状況だと閉店はやむなしなのか...というところ。

◆場所はなくなってしまうけれども

今回BUNGAは閉店してしまいますが、そこで得たのは先述したスキルや経験だけではありません。
人ととのつながりも、たっっっくさんできました。
今わたしは同じ荻窪にあるライブハウス・ルースターにいるわけですが、BUNGA時代から知るミュージシャンがルースターに出たり、他の場所で繋がったりと、関係が続いている方もいます。
BUNGAで会っていたから、「○○のライブだったよね〜」「もう○年前か〜!?」なんてワンクッションを置きながら、会話の続きができる。尊いことだなぁ、と感じます。

今回、BUNGA閉店に伴い、ちょっとばかしルースターで備品を引き取らせていただきました。
先日は台車をゴロゴロ転がして、丸イスを運搬...!

そしてBUNGAの方々、BUNGAで出会った方ともまたどこかで、、、なんて思っております!

ご縁をありがとうございました!
永遠にさようなら、なんて言わずに。
また、どこかで。

◯荻窪BUNGA営業案内
・4/17(日)まで通常営業(ライブやBAR営業。詳しくはこちら。)
・4/20(水)チーフminaさんのアンコールライブ
・4/23(土)オーナー プーさんのBUNGA永遠にさようならコンサート



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