わがままって何だろう?
こんばんは。
突然ですが、『わがまま』って何だと思いますか?
どんなことが『わがまま』になると思いますか?
他人や周囲などの都合や事情を考えずに、自分勝手に振舞ったり発言したりすること。
ネットで簡単に検索をかけると、こういった定義が出てきました。
なるほど。社会生活を送る上で……と想像してみると、確かにこういうのってわがままだよなぁと、納得できますよね。
では、子どもにとっての『わがまま』として考えると、どうでしょう?
先程の定義を元にして考えてみたいと思います。
他人や周囲などの都合、事情を考えずに
まず前半部分。
他人や周囲の都合、事情……
大人同士で考えれば、一般常識と呼ばれる前提条件がありますし、ある程度都合や事情を察することができますよね。
では、子どもは一般常識を知っているのか?
どうでしょうか。
それなりの年齢になれば、ある程度の一般常識は知っているものとして扱われます。
それは、その年齢に至るまでに受けた教育を予想できるからです。
よほどの事情がない限り、日本では義務教育を受けられますから、そこまでの教育はほぼ共通していると考えることができます。
もちろん、全員が同じことを理解していると決めつけることはできませんから、あくまで目安くらいにした方が無難でしょう。
それでも、ある程度の予想は立てられるわけです。
では、義務教育前の子どもはどうしたらいいでしょう。
保育園に行っているか、幼稚園に行っているかで判断できますか?
兄妹の人数で予想できますか?
家庭環境で予想できますか?
どうでしょう?
私はできないと思っていますし、してはいけないとも思っています。
ある子どもがいて、その子が何を知っているのか、何を理解しているのかを判断するのは、あくまでその子の言動からしか知ることができないと考えています。
何故なら、幼い子どもほど自分の周囲から受ける影響が大きく、それでいて言葉の理解が進んでいないので、大人と同じものを体験しても、同じように理解しているとは限らないからです。
電車で騒いではいけない、というのは一般常識だと思います。
大人は子どもに、電車で騒いではいけないよ、と伝えます。
電車に乗った子どもは、大きな声で会話をする学生や、別の大人の姿を目にします。
あの人たちがやってることは、きっといけないことじゃないよね。
じゃあ、自分も大きな声で話してもいいんだ。
騒いでるってそういうことじゃないんだ。
こんなふうに認識していくかは分かりませんが、このような流れで認識した子どもが大きな声で話したとして、それはわがままだと思いますか?
自分勝手に振る舞ったり、発言したり
さきほどの問いは、後半部分にも掛ってきます。
周りの姿を見て、自分なりに認識して行動する子どもは、自分勝手でしょうか?
赤ちゃんが生まれて、お兄ちゃんになった3歳の男の子がいます。
お母さんは赤ちゃんの夜泣きで疲れています。
男の子は、いつものようにお母さんに遊んでほしいと思いました。
お母さんは「後でね」と言って、遊んでくれません。
男の子は「あそんでよ!」と泣き出しました。
男の子は、わがままで泣いているのでしょうか?
疲れているのに、お母さんを気遣わないのはわがままでしょうか?
お母さんが疲れていること、男の子は分かると思いますか?
遊んでくれない理由が分かると思いますか?
どんな形で理解しているのかを知る
子どもが何を考えているのか分からない、とおっしゃる方がたまにいらっしゃるのですが、詳しく話を伺っていると、自分と同じ反応をしないから何を考えているのか分からないと感じているようです。
同じ日本人で、同じ日本語で話していて、同じ時代で生活している。
だから、自分と同じように感じて、反応するのが当然。
実は、全然、そんなことはないんですよね。
人種が同じだろうと、母国語が同じだろうと、他人の考えが分かるわけないんです。別々の人間なんですから。
会社の同僚、近所の人……思い浮かべてみてください。全員の考えていること、分かりますか?いつも同じ反応してますか?
してないですよね。
子どもの場合、「え、なんでそうするの!?」と思う場面が顕著だから、理解できない!という反応に繋がりやすいだけで。
日本人だから、と思うのが原因だと思うんですよね。
金髪に青い瞳の子どもが、全く自分と違う反応をしても、「まあ、生活習慣が違うからな」という反応になりませんか?
違っても当たり前、になりますよね。
子どもも同じです。
狭い世界のことしか知りません。
偏った情報と認識で世界を見ているので、大人と同じ理解をしていない場合も珍しくありません。
誰かが悪いわけではなく、そういうものなんです。
子どもが予想外の反応をすれば、「なんで!?」とびっくりすると思います。
でも、子どもに悪気があるとか、わがままだとか、そういうわけではないこともあるんです。
子どもの反応に「なんで!?」と思ったら、そこにあるのはズレです。
ズレているだけなので、理由を探って、すり合わせればいいだけです。
すぐには変わらないかもしれませんが、その都度、ズレているところを伝えていけばそのうち変わります。
やってはいけないのは、「なんで!?」と思った勢いのままに怒ること。
本当に止めてあげてください。
子どもには何が起こったか理解できません。
どうして相手が急に怒り出したのか分からないので、自分が怒られていると感じることもあります。自分がいけないんだ、この人は自分に怒っているんだ、と。
どうなるか。
自己肯定感が下がります。
自分は怒られる子なんだ、と思い込んでしまいます。
ズレを伝えてあげれば、その子が悪いのではなくて、大人が考えていることと、その子が考えていることがズレているだけ、その子が悪いわけではないと分かります。
だから、自己肯定感は下がりません。
子どもと生活していると、『わがまま』として片づけてしまった方が楽なことって、あると思うんですよね。
時間が限られている中で、あれもこれもしなければ、と思うと、特に簡単に片づく方を選びたくなる。
でも、簡単に『わがまま』だと片づけられてしまった子どもは、自己肯定感が下がり、成長しても自分に自信をもてないままかもしれません。
わがままなのか。
ズレているのか。
一瞬でもいいので、思いを巡らせてみてほしいなと思います。