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AIが得意なこと苦手なことを改めてざっくりと解説

"AIは人間の仕事を奪うのか?" この問いに対する答えは、意外にも単純ではありません。

最近、AIの進化が目覚ましく、その能力について多くの人が興味を持ち始めています。
特に「AIが得意なこと」「AIが苦手なこと」という質問をよく耳にするようになりました。
この記事では、現代のAIの特徴を踏まえながら、その得意分野と苦手分野について詳しく解説していきます。

AIの基本的な特徴

まず、現在のAIの基本的な特徴について押さえておきましょう。

  1. データ駆動型: AIは大量のデータを学習することで能力を向上させます。

  2. パターン認識: データ内の規則性やパターンを見つけ出すのが得意です。

  3. 高速処理: 人間には不可能な速度で大量の情報を処理できます。

  4. 疲れ知らず: 24時間365日、休むことなく動作し続けることができます。

これらの特徴を踏まえて、AIの得意分野と苦手分野を見ていきましょう。

AIが得意なこと

1. 大量データの分析と処理

AIは膨大な量のデータを高速で処理し、そこから有用な情報やパターンを抽出することが得意です。例えば、以下のような分野で活躍しています:

  • 金融市場の分析と予測

  • 気象データの解析と天気予報

  • 医療画像の診断支援

皆さんは、日々の業務でどれくらいのデータを扱っていますか? AIはその何百倍、何千倍ものデータを瞬時に処理できるのです。

2. 反復的で複雑な計算

人間が時間をかけて慎重に行う複雑な計算や最適化問題を、AIは瞬時に解決することができます。例えば:

  • 複雑な数学の問題解決

  • 物流ルートの最適化

  • 製品設計のシミュレーション

3. パターン認識と分類

AIは画像、音声、テキストなどのデータから特徴を抽出し、高精度で分類することができます。

  • 顔認識システム

  • 音声認識と自動文字起こし

  • スパムメールの検出

4. 言語処理と生成

最近の大規模言語モデルは、人間のような自然な文章を生成したり、複数の言語間で翻訳を行ったりすることができます。

  • 自動翻訳

  • 文章の要約や生成

  • チャットボットでの対話

AIが苦手なこと

一方で、AIにはまだまだ苦手な分野も多く存在します。

1. 創造性と独創性

AIは既存のデータやパターンを基に処理を行うため、全く新しいアイデアや概念を生み出すことは苦手です。

  • 革新的な芸術作品の創造

  • 斬新なビジネスモデルの考案

  • 哲学的な新概念の提唱

人間の皆さんは、日常生活の中でどれだけ創造的な活動をしていますか?

料理のアレンジや問題解決の新しいアプローチなど、実は多くの場面で創造性を発揮しているのです。

2. 感情理解と共感

AIは感情を持たず、他者の感情を真に理解したり共感したりすることができません。

  • 深い人間関係の構築

  • 繊細な感情的サポート

  • 芸術作品の感情的解釈

3. 常識的判断と文脈理解

AIは与えられた情報を処理することはできますが、人間が持つような広範な常識や複雑な文脈を理解することは困難です。

  • 曖昧な状況での適切な判断

  • 冗談やアイロニーの理解

  • 社会的規範に基づく行動

実はこの『常識というのが問題です。自分の考える常識と他人の考える常識が違うことはよくあることです。これは『普通』という言葉にもあてはまります。
確かに「一般的な常識」や「社会通念上常識とされる行動」などは、誰しもが耳にしたことがあるような単語だと思いますが、その内容を箇条書きにして定義してみると人ぞれぞれ、それこそ人の数だけ『常識』が存在することがわかります。
以前、あるセミナーで講師をした際、上記のような質問を約50人の受講生に投げかけ、一人30個ずつ自分が思う『常識』をあげてくださいと言ったところ、実に半数以上の答えが一人しか記載していない内容でした。

それだけ異なるニュアンスを持つ『人の常識』。
『常識』『普通』というのは、その個人や団体が「当然」と思っていることにすぎないのです。
あ、『銀行業界の常識は、他業界の非常識』なんて言葉もありますね(笑)

AIに「わかれ」というのが簡単なことではないでしょう。


4. 柔軟な問題解決

予期せぬ状況や未知の問題に対して、柔軟に対応することはAIの苦手とするところです。

  • 災害時の臨機応変な対応

  • 前例のない問題への創造的解決

  • 複数の分野にまたがる総合的判断

AIと人間の能力の逆転現象

ここで興味深い点があります。現在のAIに関しては、

「人間が頑張って考えてやること」は超得意で、逆に「人間が何気なくやること」はとても苦手

という特徴があります。これにより、「今まで頑張って努力してスキルを身につけた人ほどAIの影響を受けやすい」という逆転現象が起きています。

例えば:

  • 数学の複雑な計算 → AIが得意

  • 日常会話の機微を理解する → 人間が得意

  • 大量のデータから法則性を見出す → AIが得意

  • 直感的に状況を判断する → 人間が得意

皆さんの仕事や日常生活を振り返ってみてください。

意識的に努力して身につけたスキルと、無意識のうちに自然と身についた能力、どちらがより多いでしょうか?

AIと共存する未来に向けて

AIの進化は止まることなく続いていきます。しかし、これはAIが人間の仕事を全て奪うということではありません。むしろ、AIと人間がそれぞれの得意分野を活かし、協力していくことで、より豊かな社会を築いていけると考えられます。

そのためには、以下のような取り組みが重要になってくるでしょう:

  1. AIリテラシーの向上:AIの特性を理解し、適切に活用する能力を身につける

  2. 人間ならではの能力の磨き:創造性、感情理解、柔軟な思考など、AIが苦手とする分野のスキルを伸ばす

  3. 新しい職業の創出:AIと人間の協働を前提とした、新たな職種や働き方を模索する

まとめ

AIは確かに多くの分野で人間の能力を超えつつあります。特に、データ処理や複雑な計算、パターン認識などの分野では、すでに人間を凌駕しています。

一方で、創造性、感情理解、柔軟な問題解決など、人間が無意識のうちに行っている多くの活動は、依然としてAIの苦手とするところです。

重要なのは、AIと人間の能力の違いを正しく理解し、それぞれの長所を活かしながら協働していく姿勢です。AIの進化に恐れるのではなく、AIを賢く活用しながら、人間ならではの能力を磨いていくことが、これからの時代を生き抜くカギとなるでしょう。

あなたは、AIとどのように付き合っていきたいですか?

技術の進化と共に、私たち一人一人の意識や行動も進化していく必要があるのかもしれません。

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