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RPAとAIOCRとはなんだったのか?たった3年で優位性を失った2つのツールとITの進展スピード

今回は、ちょっと懐かしい話をします。
5年前、私のクライアントの多くが「RPAを導入しないと取り残される!」「AIOCR使わないと効率化できない!」と焦っていました。
でも今、その状況はどうでしょうか?

技術の進歩は早いものです。
あれほど注目されて、業務効率化の旗印とされていたRPAとAIOCRが、世間でもてはやされていたのはわずか3年程度です。今回は、この2つの技術の変遷と、ITの進展スピードについて考えてみましょう。

Q1: RPAとAIOCRって何だったの?

RPA(Robotic Process Automation)は、人間が行うPC操作を自動化するソフトウェアロボットのことです。単純な繰り返し作業を機械に任せることで、業務効率を上げることができました。

一方、AIOCR(AI Optical Character Recognition)は、AIを活用した光学文字認識技術です。従来のOCRよりも高精度で、手書き文字も読み取れるようになりました。

覚えていますか?
この2つの技術が登場したとき、多くの企業が「これで業務が劇的に効率化される!」と期待に胸を膨らませていたのを。
なぜなら、これまでの業務行程を変えずに効率化できると思えたからです。

日本の企業の多くが、業務を効率化しようと考え最初に思うことは「これまでのやり方を変えずに手間だけ減らしたい」です。
いくら手間を減らしても、根本的な業務の流れや無駄な工程を減らさなければ、劇的な効率化にはつながりません。
ここに効率化するうえでの”歪さ”が発生していたのです。
その歪さを抱えたまま、RPAとAIOCRを導入することでさらに悪化した企業がたくさんあります。

Q2: なぜ3年で優位性を失ったの?

主な理由は2つあります。

  1. 技術の進歩が想像以上に速かった
    RPAやAIOCRが注目を集めていた頃、すでに次世代の技術が開発されていました。例えば、自然言語処理の進歩により、RPAのような硬直的なシステムではなく、より柔軟な自動化が可能になりました。

  2. 導入・運用コストが予想以上に高かった
    多くの企業が、RPAやAIOCRの導入には予想以上の初期投資と継続的なメンテナンスコストがかかることに気づきました。「効率化のためのツール」が新たな負担になってしまったのです。

例えば、5年前、国産をうたっていた、あるRPAの利用料は年間約90万(開発・運用ツール/PC1台分)。それだけで自動化がすめば安いものですが、実際には、自動化するためのシナリオを作成する開発コスト・人件費コスト、外注するのであれば多額の外注費。自動化する業務の棚卸やマニュアルの整備等、とにかくそれだけではすまない費用が多数発生していたわけです。

皆さんの会社でも、似たような経験はありませんか?

Q3: ITの進展スピードはどれくらい速いの?

IT業界の進歩の速さは、まさに目が回るほどです。ムーアの法則をご存知ですか?
半導体の集積度が18〜24ヶ月で2倍になるという法則です。
これは、コンピューターの処理能力が約2年で2倍になることを意味します。

しかし、最近ではAIの発展により、この速度すら追い抜かれつつあります。例えば、

  • 2020年:GPT-3の登場

  • 2022年:画像生成AI「DALL-E 2」「Midjourney」の台頭

  • 2023年:ChatGPTの爆発的普及

わずか3年で、私たちの「できること」の範囲が劇的に広がりました。RPAやAIOCRが注目を集めていた頃には、まだ夢物語だったことが、今では日常的に使われているのです。

Q4: これからの企業はどう対応すべき?

  1. 柔軟性を重視する
    特定の技術に固執せず、常に新しい可能性を探ることが大切です。

  2. コアビジネスに集中する
    技術はあくまでツール。本業の強化こそが最重要です。

  3. 継続的な学習を組織文化に
    技術の進歩に追いつくには、組織全体で学び続ける姿勢が必要です。

  4. パートナーシップを活用する
    すべてを自社で抱え込まず、専門家との協力関係を築きましょう。

  5. ROIを常に意識する
    新技術導入の際は、必ず投資対効果を検討しましょう。

まとめ:変化を恐れず、賢く適応しよう

RPAとAIOCRの例が教えてくれたのは、ITの世界では「永遠の解決策」はないということです。
しかし、これは悲観すべきことではありません。むしろ、常に新しい可能性が生まれているという証なのです。

大切なのは、変化を恐れず、しかし慎重に、新しい技術を評価し、自社のビジネスに本当に必要なものを見極める力です。
そして、どんな技術が登場しても、それを使いこなすのは「人」だということを忘れないでください。

皆さんの会社では、技術の変化にどう対応していますか?RPAやAIOCRの導入経験から学んだことはありますか?
コメント欄で、あなたの経験や考えを共有してください。一緒に、この急速に変化する世界での最適な戦略を考えていきましょう。

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