【コラム】個別対応

■今時情報はネットに山のようにある

　今の時代はネットに情報は無料でたくさん転がっています。

　わざわざ高い授業費を払って専門学校に通わなくても、絵の描き方も小説やシナリオの書き方も仕事のハウツーも無料で簡単に手に入れられます。

　YouTubeにも絵の描き方についての講座がたくさんありますし、pixivでもたくさん講座が開かれています。また、小説やシナリオの書き方についてもネットのあちこちにあります。

　小説やイラストを描くノウハウ本も山のように出版されています。

　ビジネス書も自己啓発本も星の数ほど出ています。

　そういう意味では勉強しやすい環境になったと思います。

■ネットや本だけでは学べないこともある

　ただ、一方で、そうしたネットの情報や本だけではなかなか学べないこともあります。

　ネットの情報や本というのは大勢に向けられたものなので、個別に対応していないのです。

　創作でも仕事でも伸び悩む人の問題はそれぞれです。

　どこが引っかかっているのか自覚していない人もいます。

　どこが問題かわかれば、自分で回答方法を見つけることができますが、自覚できていない人もたくさんいます。また、例えばゲームのシナリオライターのように業界や仕事についてあまり表に出ていないものにどうやってなるかなどといったことを知る機会もありません。

「本を読め」「今時ネットや動画でいくらでも情報を得られる」なんて意見もよくありますが、本やネットの記事や動画だけで全て理解できる人がいれば、その人はかなり頭がよいです。

■個別指導の塾で学んだこと

　私はずいぶん昔に個別指導の塾で講師をしていました。

　そこに通う子は千差万別で、頭のいい子は教えるのはとても楽でした。

　１を教えれば１０を理解してくれますから、放っておいても勝手に勉強をして常に成績は学年でもトップクラスですし、有名高校に入学しました。

　一方、勉強が苦手な子もたくさんいました。

　この子達はとにかく１つ１つ問題をクリアしていかなければいけません。ある時期に学校を休んでしまったり勉強がわからなかったりしてつまづいてしまった結果、今の勉強に追いついてこれていないということもよくあります。

　その子達に「教科書を見ればわかる」「学校の先生の話をちゃんと聞いていればわかる」と言って勉強させるのは酷です。

　特に親御さんがそうしたプレッシャーを与えるんですよね。

　だから、子供達は勉強ができない＝頭が悪いという思い込みができてしまっているので、どこでつまづいてしまったのか講師側が理解して、生徒と一緒に１つ１つ問題をクリアして自信をつけさせることが大切でした。

■自分の経験談

　私自身の話でいえば、「キャラを立たせる」ということが理解できませんでした。編集者やいろんな人に「キャラを立たせてください」と散々アドバイスされたものの、「キャラを立たせるとはどういうことなのか？」ということが全く理解できませんでした。

　変な口癖をつければキャラが立つのか？

　エキセントリックなことをすればキャラが立つのか？

　など散々悩みましたし、いろんな教本を読みました。

　教本に書かれているような履歴書みたいなものもいろいろつくったし、ワークもいろいろとやりましたが、理解できませんでした。

　本を相手にしていたので何が間違っているのかわからなかったんてすね。

　キャラを立たせる方法がわからずに執筆しているのだから、どれだけ執筆してもストーリーとしてうまくまとまっていたとしても、ラノベとして突き抜けた面白い話になりようがありません。

　とにかく試行錯誤してようやく自分なりに答えを見つけました。そうすることで、今いろんな作品のシナリオを担当していますが、そこまで叩かれることはありませんし、評価も安定しています。

　仕事のノウハウについても同じです。

　もっと以前から交流会に参加したり、営業をしっかりしていたり、あるいは副業などを展開したりしていれば、もっと前に進むことができていたでしょう。とっくに企業化することもできていたでしょうし、大きな仕事やアニメや舞台の仕事にも関われたかもしれません。

　でも、フリーランスがどうやって仕事を得ていくのかといったことがわからなかったんですね。

　昔は叩かれすぎて自信もなくして、何かに挑戦することも怖くなっていましたし。

■独学には限界がある＝指導者の必要性

　どんなに才能があるスポーツ選手でも指導者もつけずに独学で練習をしていれば、必ず壁にぶつかります。指導者がいれば、壁にぶつかっても抜け出す方法を教えてくれるかもしれません。

　芸術の分野もビジネスの分野も独学でなんとかできちゃう天才がいるから、指導者なんか必要ないように思われがちですが、全ての人に才能があるわけではありません。

　ネットの発達で簡単に得たい情報を手に入れることができましたし、古今東西様々な本が出版されていますが、こうした個々の問題を見つけて導いてくれる指導者の存在も必要だと思うわけです。

　そんなわけで、個別対応のシナリオ講座を始めたわけです。

　なので、動画や本だけで知ったつもりにならずに、わからないところがあれば、うまい人に質問しながらいろいろと学んでいった方がよいと思います。学校や塾、講座はそのためにあるわけですから、どんどん質問していきましょう。

　もちろん学校や塾、講座も質がありますから、全ての学校や塾がよいとは言いませんが、それでも独学で勉強して壁にぶつかっているよりは何か突破口が見つかるかもしれません。

　なぜこんな話をしたかというと、YouTube動画で「今時ネットに無料の動画がいくらでも転がっているんだからそれを見ればわかる」みたいなコメントを見て、ちょっとイラッとしました。

　もちろんYouTube動画や本は勉強する上で大いに役立ちますが、あくまでも教科書としてです。世の中には教科書を読んだだけで全て理解できるような天才ばかりではありません。

　どこで躓いてしまったのか、どうすれば抜け出せるかを個別に教えてくれる先生も必要です。

　ただ、世の中には中身のない内容に高額な料金を請求するようなたちの悪い業者もたくさんいるので、なかなか見抜くことは難しいですが、一方で真摯に取り組んでいる方も自分に限らずいらっしゃるので、本気で何かを達成したいのであれば、いろいろと動き続けていろんな人に会ってほしいと思います。

　きっと自分に合った指導者が見つかるかもしれません。

　交流会や勉強会にも自分が支払える範囲で、投資してみてください。人生で無駄な苦労はしなくてすむはずです。

（今は難しいですが）交流会の場合はオンラインではなく、できるかぎり直接会って、これという人に個別に会うことをオススメします。

　あとたまに見かける「才能がない奴がなっても仕方ないだろ」みたいな意見もイラッとします。ひとりで強くなるタイプもいれば、よい指導者やよい仲間と出会うことで才能を開花させる人もいるからです。

　それもまた別の機会でお話ししたいと思います。

　最後までご覧いただきましてありがとうございました。

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