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【発達支援】受援力ってなぁに?

 この記事では、ソーシャルサポートや特に『受援力』と、そのストレスの関係について書いています。簡単にまとめると次のようになります。

1.『助けて』の声が小さいお母さんは、ママ友など身近にある支援ではなく、公的機関の支援に、より重きを置いている。
2.受援力の低いお母さんは、高いお母さんよりもストレスを抱えている可能性が高い。
3.専門家は丁寧な関わりと、いつでも相談できる環境づくりが必要

ソーシャルサポートと受援力

 ソーシャルサポートは、子育てをしている親(主には母親)に、祖父母や園の先生、友人、療育関係者などが、その子の特性に合わせて行います。
 これまで3回に渡り、発達に特性をお持ちのお子さんには、ご家族を含めたソーシャルサポートが大切ですよと、記事を書いてきました。
 母親のストレス軽減に効果があり、育児に前向きになれるようにサポートすることが出来ます。

 しかし、いくらソーシャルサポートが有用であっても、課題に直面した時に、『助けて!』『困っているの!』と言えないお母さんもいらっしゃいます。もしかすると気づいていないのかもしれません。ここで出てくる言葉が『受援力』です。 

 「受援力(じゅえんりょく)」とは、聞き慣れない言葉ですが、ひと言でいうと、周りの人に「助けて」と言える力のことです。
 受援力は、2011年に起きた東日本大震災をきっかけに注目されるようになりました。被災地の復興を早めるためには、被災地側のほうから「自分たちの地域が今どのような状況なのか」をボランティアの人たちに積極的に伝え、助けを求め、支援を受ける力(=受援力)を高めることが必要。このことが広く知られるようになり、受援力という表現も徐々に広まりました。

 この受援力が高いと、周囲の方々に援助を求めやすく、ソーシャルサポートも受けやすくなることが分かっています。その結果、ストレスの軽減につながっています。

「助けて」の声が小さいお母さんの特徴

1.友人関係
 特性を持つ子どものお母さんは、子どもが育てにくいのは自分の責任だと、自分を責めていることが多いと言われています。そこでサポートを引き受けてくれる友人(ママ友など)に助けを求めると、『迷惑をかけてしまうのではないか』『友人関係が崩れてしまうのではないか』といった心配があるようです。更に『良くない噂を広められるのではないか』『非難されるのではないか』といったネガティブな感情や葛藤が強く起きている傾向があるとも言われています。

2.行動への抵抗感
 『1.友人関係』のような思いが積み重なることで、子育てに困難感を感じていても、相談するために行動したり、情報を得ようと出かけたりすることは、あまり望まないようになります。

3.公的機関への期待
 療育の専門家や公的機関への『援助への期待』が強く、母親のニーズに応えてくれるサポートを望んでいる可能性があります。また公的機関の利用には、『1.友人関係』で書いたママ友のような関係性が複雑にならないので、利用がしやすいと考えられる。 

まとめ

 子育てに対して困難感を感じている、または困難感に気づいていないお母さんは、実際は子育てするのに、とても孤独であることが多く、また傷ついている事が多いことが分かりました。
 困っているお母さん方、一方的に情報提供やソーシャルサポートを勧めるのではなく、お母さんが置かれている状況や友人関係にも気を配りながら、どのようにしたら、お母さんの受援力が拡大できるかが必要ですね。
また不十分かもしれないけれど、子育てに対して、身近に愚痴ることができる人がいるだけでも、サポートのきっかけや足がかりになると思います。

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