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【THE発達検査】新版K式発達検査
発達に困難さを抱えるお子さんの評価には様々な種類がありますが、その中でも最も知られている検査の1つに新版K式発達検査があります。
お子さんがどの程度発達しているのか確認するためや、課題を見つけるため、療育手帳のためなど様々な場面に用いられます。
さて、今回は新版K式発達検査について、その概要を記事にします。ただし、現在は2020年度版が最新のものとなっていますので、参考までに捉えてください。
基本的に検査は300以上の項目から作られており、京都国際社会福祉センターが主催する研修会を受講した人が実施が可能なようです。検査の知識や技術を十分に得た人が行うことが望ましいでしょう。
今回の記事は、新版K式発達検査研究会の書籍を参考にまとめています。詳しく知りたい方はそちらを読んでみてください。
検査の特徴
1.個人検査
検査は検査者と対象となるお子さんの2人で実施し、予め構造化された状態の部屋で行われるのが理想的です。保護者は同室できないわけではないですが、検査結果に影響を与えることがあるため、別室で待機してもらう方が良いでしょう。
2.3領域で算出(姿勢-運動、認知-適応、言語-社会)
検査の項目は、主として0歳児の検査項目と、1歳児以上の検査項目に分けられます。
主として0歳児の検査項目
①仰臥位の検査項目(U)
②座位の検査項目(I)
③立位の検査項目(T)
④腹臥位の検査項目(R)
⑤自由姿勢の検査項目(M)主として1歳児以上の検査項目
⑥非言語性の検査項目(P)
⑦言語性の検査項目(V)
検査の結果は姿勢・運動領域(P-S)、認知・適応領域(C-A)、言語・社会領域(L-S)の3つの領域で表されます。表し方は年齢尺度を用いており、『発達年齢』と『発達指数』で表記します。
更に3つの領域の合計を算出し、全体として発達の状況を数値します。
<発達指数(DQ)の求め方>
発達年齢(DA)/生活年齢(CA)×100 ※小数点以下は四捨五入
③年齢尺度を用いる
発達検査の結果の表し方には、WISCやWAISなどのような『偏差値知能指数』を用いるものと、新版K式発達検査のような『年齢尺度』を用いるものに分かれます。
標準偏差を用いる『偏差値知能指数』では、統計学上、両端に位置するデータには歪みが生じることがあります。
発達に困難さを抱えるお子さんは、この両端に位置することが多く、お子さんの機能を正しく評価することが難しいといった特徴があるので、年齢尺度を用いることで、可能な限り正確にお子さんを評価します。
検査上の注意
ここで挙げた注意点は、どれも検査を行う人には極々当たり前のことかもしれません。しかし、状況によっては難しいことも出てきます。
特に、信頼関係を築くには、いくらかの時間がかかりますし、そもそも注意のコントロールが難しいお子さんの場合(例:自閉スペクトラム症やADHDなど)には、検査に影響が出てきます。その上で全体としてバランスを取りながら、検査を実施していかなければいけません。
子どもとの信頼関係う十分に持つべきである。
検査に子どもの注意を持続させなければいけない。
検査中、子どもの安全には十分注意しなければいけない。
検査対象者に過度の緊張を与える課題を強要すべきでない。
聴取による判定はできるだけ避けるべきである。
検査は専門家が行うべきである。
検査の必要性を十分に考慮すべきである。
まとめ
今回は新版K式発達検査の概要についてまとめてみました。
お子さんの発達について、様々な面から細かく評価でき、専門性の高い検査です。
その反面、検査の解釈や保護者への説明がとても難しくなります。
発達年齢や発達指数だけを保護者に伝えてしまうと、他者との比較やつまづいたところだけを練習してしまう危険性があります。
検査するにあたっても、『とりあえず、検査しましょう』ではなく、お子さんの日常生活を十分に理解した上で、何に困っていて、どのような解決手段があるのか、解決の1つの手段として用いられるべきでしょう。