おざき 優杏

ウキョウ、と読みます、恋とことばとすきなこと。

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すきなもののこと

「アイスクリームの誘惑」 わたしの恋人は、根っからの甘党。 そんなにたくさん食べるというわけでもないのに、食後のデザートは嬉しそうに食べるし、あまいカフェオレやミルクティが好き。お酒をのんでいるのにチョコレートケーキのような甘ったるいお菓子を平気で食べているときもあるのだから、ついつい、わたしは驚いてしまう。 わたしはあまり、甘いものは食べない。これは常々思っているのだけれど、甘いものを食べない女のひとは、どうしたって我慢弱くて、少し怒りっぽい。(わたしだけだとしたら、本

    • わたしの赤ちゃんはもうここにはいないけれど、わたしは確かに「お母さん」になった②

      胞状奇胎になったはなし。 絶望は、本当に突然にわたしを襲ってきた。 「妊娠している」と告げられたその日から、たった数日がたったときだった。わたしはお手洗いで、自分から出血をしているのを知った。 目の前が真っ暗になる、というのは多分ああいう感じ。暗闇がズンズンと襲ってくる感じ。本当に、目の前が真っ暗に、なった。 お手洗いから戻ると、すぐに検索をかける。 「妊娠6週 出血」「妊娠初期 出血」 目に入るのは不安を煽るような記事ばかりで、なんとか数少ない安心をくれる記事を必

      • わたしの赤ちゃんはもうここにはいないけれど、わたしは確かに「お母さん」になった ①

        胞状奇胎になったはなし。  わたしの赤ちゃんは、もうお腹の中にいない。  今年のバレンタインデー、わたしは自分のお腹に新しい命が宿っていることを知った。しかし、女のひとというのはおもしろいもので、わたしはそのことをもうずっと前から確信していたように思う。もちろんくるはずの生理が来なかったり、なんだか体調がすぐれないように思ったりもしたのだけれどそんなことよりも、あ、いのち。と、はたと思った瞬間があったのだ。 「多分わたし、赤ちゃんがいる、ここにひとつ、いのちが。」 そんな

        • すきな人のすきな人はわたし。

          初めて一緒に、目のくらむような美しい夜景を見に行った日。 ”気品のある人でいて” と恋人は言った。 「上品」じゃなく「気品」。 恋人は、自分を飾らないと生きていかれなかったわたしに、いつもありのままでいさせてくれるひと。 女性らしく、しおらしく、上品に。誰かに愛される術を知らずそんな思いに溺れていたわたしに。 上品でなんて、いなくていいから、って。 似たことばなんだけどね、きっと気品って、自信のある人にしか出せない魅力なんだと思う。 誰よりもあなたの隣が似合うように、気高く

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        すきなもののこと

          忘れたいこと、忘れたくないこと

          恋人が浮気をした。 いったいわたしは、浮気、という言葉がきらいだ。 気持ちが浮つく、ってどういうことなのだろう、と思う。 浮ついたからなんの気無しによその女のひとのところへいってしまったのだとしたら、わたしはそれを許せない。よその女のところにいく理由なんて、明確になくてはこわいではないか、と思う。 そもそも、わたしといるときは地に足がついている、みたいな言い方なのも不思議でならない。わたしは、恋人がわたしといるとき、地に足をつけていてほしいなんてこれっぽっちも思っていない

          忘れたいこと、忘れたくないこと

          神様からのプレゼント

          わたしは神様、ってあんまりすきじゃないし、ほんとうのところあんまり信じていないのだけれど、こればっかりは感謝したいと思うことがある。 それは、つらかったことを思い出すのを難しくしてくれた、ということ。 痛みも同じ。 もちろん記憶があるから、事実としては思い出せるのだけれど、どんなふうにつらかったか、とか、どんなふうに痛かったかという痛みそのものを思い出してもう一度苦しむことって、全然できない。 それなのに、幸せな気持ちは逆。 例えば、おいしいご飯を食べたとか、だいすきな

          神様からのプレゼント

          センセイ

          「萩元朋也といいます。」 わたしが先生に出逢ったのは、高校1年生の春だ。 少し足早に教室に入ってきた先生は早口に自己紹介をした。どちらかといえば高い、しかし落ち着いた声だった。先生を一目見たとき、私の中の何かが大きく震えた気がした。ああ、私はこの人に惹かれるのだろう、と無意識に思った。先生は黒板に大きな字で『萩元朋也』『B型』『大阪府』『餃子』『一人旅』と書いた。几帳面な字だった。『萩元』のもとは、『本』じゃなくて『元』と書くのだな、と瑣末なことを考えた。彼がこれらの単語

          『隣人の愛を知れ』に学ぶ、「人の愛を知る」ということ

          「まったく、結婚というのは残酷なことだと思う。結婚するということがどういうことなのかというと、いちばんなりたくない女に、いちばん好きな人の前でなってしまうということなのだ。いやになる。」そう綴っていたのは、わたしの大好きな江國香織さんだ。(『泣かない子供』) 夫の浮気に苦しみ、ハンガーストライキを起こしてしまう、ひかり。 「一体なんなんだ。泣きたいのはこっちだ。直人に嫌われたくないのに、こんなに恐ろしい自分を晒したくないのに、責めずにはいられない。」心の底から愛している夫を、

          『隣人の愛を知れ』に学ぶ、「人の愛を知る」ということ