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【踊りは、体全体で図形を描き、美しい空間芸術を創り出す素晴らしい芸術だと思います】

こんにちは、アキです。
京都でフラメンコを教えています。

今回は、体全体の動きについてお伝えしていこうと思います。

フラメンコに限らず、どのジャンルの踊りでも「踊りが上手い人」とは、いったいどのような体の使い方をしているのでしょうか。

今から約10年ぐらい前、私はビオラカメラで自分の踊りを撮影したことがあります。
撮影する前、私は自分の踊りに自信満々でした。
自分が一番得意な曲「ティエント」を選び、振付も自分が得意で大好きな振りをありったけ詰め込みました。
私は、自信満々で撮影に挑みました。
撮影が終わった後、ワクワクしながら自分の踊りを確認しました。
しかし、私は自分の踊りを見て愕然としました。
〈なんだっっ!!この踊りはっっっ!!!〉
いつも鏡で見ている自分の踊りではない。
自分が思い描いていた踊り方とは、まったく違う踊り方をしていました。
私は心の底からショックを受け、自信をなくしました。

自分が思い描いていた踊りと、現実の自分の踊りが、なぜこんなに違うのか?!
撮影時、私は踊りながら「これ以上、体が動かないぞ!」「これ以上、力が出ないぞ!」「これ以上、早く動けないだぞ!」と思う、限界ギリギリまで体を動かしているつもりでした。
しかし、何かが違う・・・。
何をどうすれば良くなるのか、まったく解らなくなってしまいました。
そして、答えが出せないまま、私はフラメンコを一時期辞めてしまいました。

そして、仕事に復帰した今、ようやく自分なりに答えが出せるようになりました。

それは『体の軸から発動する動きの延長線上に、体の部位を繋ぎあわせ、一瞬一瞬の動きを綺麗な図形のように型にしながら、体全体のシルエットを意識する』
つまり〈動作の全体的な身体のバランス〉を整えれば、踊りが良くなっていくのではないかと思うようになりました。

人それぞれ、体の特徴が違います。
身長、体重、頭の大きさ、手の長さ、足の長さ、筋力、柔軟性、スタンスなど。
まずは、自分自身の体の特徴をしっかりと把握します。
(例:私の場合、身長が低くて中肉中背で、顔は面長の特徴です)
次に、自分の動きの特徴を把握します。
この時、自分の動きの「クセ」もしっかりと把握します。
例えば、肩が上がりやすとか、肘が曲がりやすとか、内股になりやすなど。
自分の体の特徴と動きの特徴やクセを把握したら、体の中心から各関節部分を線で繋げて、体全体で図形を描くようにバランスの良い型を整えていく作業をしていきます。

●頭
●顔
●首
●溝打ち
●両肩
●両肘
●両手首
●腰
●おへそ
●両膝
●両足首
●つま先
振付の内容にもよりますが、振付をゆっくり踊り確認しながら、これらの体の位置がどの方向に向き、どれぐらいの高低差があり、どれぐらいの角度を保っているのかを確認し、微調整しながら体全体のトータルバランスを整えます。

腕が曲がりすぎていたら、長く見え所まで伸ばしたり、肩が上がり首が短く見えるなら、肩を下げて首を長くするように意識する、など。

自分の体の特徴と動きの特徴やクセを活かしながら、自分が一番きれいに見える体のポジションや動きのポジションを探して見つけて、体の中に落とし込む作業を繰り返します。
そうすると、踊りの見栄えも良くなっていき、美しく綺麗な踊りが踊れるようになる思います。

先日、ある生徒さんからお悩みを受けました。
その生徒さんは、フラメンコ歴が15年以上で、ズバ抜けたリズム感を持っている方です。
彼女は凄く体が細くて、やせ型体型で、手足が長い方です。
彼女の悩みは「マルカールがあまり上手く踊れない」とおっしゃってました。
早速、チェックさせてもらうと、明らかに体のトータルバランスが崩れていました。
ステップを踏み出した途端に、腕を曲げすぎていました。
足の運び方も、歩幅にバラつきがあるため体が上下に揺れすぎて足を引きずっているように見えました。
彼女の良さである長い手足が、まったく活かされていませんでした。

早速、体全体のポジションを考えながら、各部分を微調整するようにアドバイスをしました。
「手は常に上へ上へと意識してください」
「体の向きが斜め後ろに下がり過ぎているので、体を真っ直ぐにしてください」
「溝打ちを意識して前後に少しだけ動かしてください」
これだけ、アドバイスしました。
すると、さっきまでアンバランスで小さい踊りだったのに、別人に変身したかのように綺麗なバランスのとれた美しい踊りになりました。
本人も、鏡越しに自分の姿を見ながら、その変化に驚き感動していました。

私は、彼女に対して高度なテクニックを教えた訳でもなく、難しい技を教えた訳でもありません。
ただ、数センチ腕を上げて、数センチだけ体の向きを変えただけです。

彼女の体のバランスを考え、数センチだけ動きを整えただけで劇的に踊り方が変わりました。

一人一人が必ず持っている〈ゴールデンポジション〉を探し求めて、常にそのポジションを通過しながら踊る意識を高めていく。
そして、自分にしか出来ない美しい空間芸術を創っていって欲しいと願います。

次回は【自分の踊りを、更に個性的に魅力的にしてくれるファッションの力】です。
次回も、どうぞよろしくお願い致します。




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