10月貿易統計・通関収支差は微妙だが4カ月連続の赤字に。10月全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は9月から上昇率が0.2ポイント程度低下の見込み。―日本の主要経済指標予測(2024年11月8日)―
10月貿易統計・通関収支差は▲160億円程度と小幅だが4カ月連続の赤字か。輸出の前年同月比は僅かだが2カ月ぶり増加を予測。(11月20日発表)
10月30日に発表された9月貿易統計確報によると、輸出金額は9兆379億円、前年同月比▲1.7%で10カ月ぶりの減少、輸入金額は9兆3,320億円、前年同月比+2.1%で6カ月連続の増加となりました。輸出と輸入の差引額は▲2,941億円と3カ月連続の赤字になりました。前年9月の605億円の黒字から赤字に転じました。
前年同月比でみて、輸出では、半導体等製造装置が大きく増加しました。大きく減少した品目は自動車、鉱物性燃料、建設用・鉱山用機械でした。一方、輸入では、電算機類(含周辺機器)、半導体等電子部品、医薬品が大きく増加し、大きく減少した品目は原粗油でした。
10月の貿易統計で、輸出額から輸入額を差し引いた通関収支差は▲160億円程度と僅かですが4カ月連続の赤字になると予測します。前年同月の▲6,682億円から赤字額が▲97.6%程度縮小すると予測しました。なお、10月上中旬の通関収支差は▲3,927億円で、前年同旬の▲9,270億円から赤字額が▲57.6%程度縮小しています。
10月の輸出額は9兆1,562億円程度、前年同月比は+0.1%程度と僅かですが2カ月ぶりの増加になると予測します。10月上中旬で輸出額は前年同旬比▲0.4%の減少でした。下旬の営業日数が昨年より多いことから微増と予測しました。輸出が大きく増加した品目は半導体等製造装置でした。大きく減少した品目は自動車、鉱物性燃料、鉄鋼でした。
10月の輸入額は9兆1,722億円程度、前年同月比は▲6.5%程度と7カ月ぶりの減少になると予測します。10月上中旬で輸入額は前年同旬比▲8.3%の減少でした。輸入で大きく増加した品目は特にありませんでした。大きく減少した品目は原粗油、半導体等電子部品、通信機でした。
10月上中旬の原粗油の単価、数量、輸入金額の前年同旬比をみると、単価は72,918円/㎘で前年同旬比▲15.2%程度の下落でした。数量は前年同旬比▲1.5%程度の減少、金額は前年同旬比▲16.5%程度の減少でした。
10月全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+2.2%程度と、9月の+2.4%からエネルギー価格鈍化により上昇率鈍化を予測。(11月22日発表)
9月の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+2.5%と8月の+3.0%から伸び率が鈍化しましたが、37カ月連続上昇しました。生鮮食品が前年同月比は+5.5%と8月の+7.8%から上昇、前年同月比寄与度差は▲0.08%の低下要因になりました。
「酷暑乗り切り緊急支援」により、電気代と都市ガス代が押し下げられました。9月のエネルギーの前年同月比は+6.0%で8月の+12.0%から鈍化しました。電気代の前年同月比は+15.2%で8月の+26.2%から鈍化、都市ガス代は+8.3%で8月の+15.1%から鈍化しました。また、ガソリンの前年同月比は▲4.8%で8月の▲3.8%から下落率が拡大しました。
9月の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合は、前年同月比で+2.4%と8月の+2.8%から0.4ポイント伸び率が鈍化し、37カ月連続での前年同月比上昇になりました。生鮮食品を除く食料の前年同月比が9月は+3.1%で8月の+2.9%から上昇しました。
9月の全国消費者物価指数・生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数は前年同月比+2.1%上昇で、+2.0%だった8月から0.1ポイント伸び率が高まり、30カ月連続での前年同月比上昇になりました。
10月の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+2.2%程度と9月の+2.5%から0.3ポイント程度上昇率が鈍化するものの、38カ月連続の上昇になると予測します。前月比は+0.4%程度とみました。
10月の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+2.2%程度と9月の+2.4%から0.2ポイント程度上昇率が鈍化するものの、38カ月連続の上昇になると予測します。前月比は+0.2%程度とみました。10月の全国消費者物価指数・生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は+2.3%程度と9月の+2.1%から0.2ポイント程度上昇率が高まり、31カ月連続の上昇になるとみました。前月比は+0.4%程度と予測しました。
既に発表されている10月東京都区部消費者物価指数(中旬速報値)と10月大阪市消費者物価指数(中旬速報値)のデータなどを参考にして予測しました。
10月の東京都区部消費者物価指数・総合・前年同月比は9月の+2.1%から+1.8%に0.3ポイント伸び率が鈍化しました。なお、東京都では24年度から高校の授業料助成の所得制限を撤廃し実質無償化した影響で、東京都区部の前年同月比の方が、全国に比べ低い状況にあります。教育授業料等は前年同月比▲15.3%で、内訳の高等学校授業料(私立)は同▲61.7%となっています。
10月の生鮮食品は前年同月比+1.9%と9月の+5.9%から上昇率が4.0ポイント鈍化し、前年同月比寄与度差は▲0.17%の低下要因になりました。
10月のエネルギーの前年同月比は+2.5%と9月の+9.5%から上昇率が鈍化し、寄与度差は▲0.32%の低下要因になりました。なお、総務省によれば「酷暑乗り切り緊急支援」による押し下げ効果(寄与度)の影響は▲0.51%[試算値](内訳:電気代は▲0.35%[試算値]、都市ガス代は▲0.16%[試算値]ということで、9月と同じでした。
10月では、生鮮食品を除く食料の前年同月比+3.8%と9月の+2.8%から上昇率が高まり、寄与度差は+0.23%の上昇要因になりました。なお、「食品主要195社」価格改定動向調査によると10月に2,924品目が値上げされました。10月はうるち米(コシヒカリを除く)の前年同月比+65.9%上昇しました。10月の牛肉(輸入品)は同+14.1%、チョコレートは同+21.7%と2ケタの上昇率になりました。10月の宿泊料は前年同月比+7.7%、外国パック旅行費は前年同月比+75.6%でした。
10月生鮮食品を除く消費者物価指数・総合・前年同月比は+1.8%上昇と9月の+2.0%から0.2ポイント伸び率が鈍化しました。10月の生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価指数・総合・前年同月比は+1.8%上昇と9月の+1.6%から0.2ポイント伸び率が高まりました。
10月の大阪市消費者物価指数をみると、総合は・前年同月比は+3.0%で9月の+2.6%から0.4ポイント伸び率が高まりました。上下水道料の前年同月比が+69.0%で前年同月比寄与度が+0.59%だったという大阪市特有の要因が影響したようです。生鮮食品を除く総合・前年同月比は+2.9%で9月の+2.4%から0.5ポイント伸び率が高まりました。生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は+2.9%で9月の+1.8%から1.1ポイント伸び率が高まりました。
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