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日銀短観・9月調査・大企業・業況判断DIは、製造業は横ばい、非製造業は2期連続悪化と予測。設備投資計画は6月から改善か(類似データの法人企業景気予測調査でも改善)―日本の主要経済指標予測(2024年9月12日)―

10月1日発表の日銀短観9月調査、大企業・製造業・業況判断DI+13程度と、6月調査+13と同水準。大企業・非製造業・業況判断DI+28程度と、6月調査+33から鈍化か。

 日銀短観9月調査では、大企業・製造業の業況判断DIは+13程度と6月調査+13から横這いになると予測しました。トヨタ自動車の型式認証不正問題により、自動車はもたつくとみました。
 
 また、大企業・非製造業の業況判断DIは+28程度と、こちらは6月調査の+33から5ポイント程度低下し、2期連続悪化すると予測します。好調なインバウンドはプラスに寄与すると思われますが、宮崎県の地震や南海トラフ地震臨時情報の発表、猛暑や台風の上陸などの自然現象が、宿泊・飲食サービスなどの景況感にマイナスに働いたとみました。

※24年9月調査の日銀短観・業況判断DIは筆者予測値


大企業・製造業・業況判断DIと相関性がある7~9月期の鉱工業生産指数の前期比は概ね横這いの見通し。

 18年から24年上半期の26四半期のデータで、鉱工業生産指数と日銀短観・大企業・製造業・業況判断DIの相関係数を計算すると0.66とそれなりの相関があることがわかります。鉱工業生産指数は既に7月速報値が発表されているので、8月・9月を製造工業予測指数の前月比(+2.2%、▲3.3%)で延長するケースと、8月を経産省が試算した先行き補正値・最頻値の前月比(▲0.9%)、9月を製造工業予測指数前月比(▲3.3%)で延長するケースで、7~9月期の鉱工業生産指数の前期比を試算することができます。前者は+1.4%の上昇、後者は▲0.6%の低下で、概ね横ばい圏の見通しと言えるでしょう。これは9月調査日銀短観で、大企業・製造業の業況判断DIは+13程度と6月調査から横這いになると予測することと、整合的でしょう。


日銀短観DIと連動性が高いことが知られているQUICK短観(9月調査)やロイター短観(9月調査)の動向。

 9月10日に発表されたQUICK短観9月調査の調査期間は8月27日~9月5日です。9月の製造業の業況判断DIは6月の+21から横這いの+21となりました。また、9月の非製造業の業況判断DIは+24と、こちらは6月の+30から6ポイント悪化しました。

 9月11日に発表されたロイター短観6月調査の調査期間は8月28日~9月6日です。9月の400社ベースの製造業の業況判断DIは6月の+6から2ポイント悪化し+4になりました。また、9月の200社ベースの製造業の業況判断DIは6月調査の+19から横這いの+19になりました。
 
 9月のロイター短観400社ベースの非製造業の業況判断DIは6月調査の+31から8ポイント低下し+23になりました。一方、9月の200社ベース・非製造業の業況判断DIは6月調査の+26から2ポイント低下し+24になりました。

 QUICK短観9月調査の製造業の12月までの「先行き見通し」は+21で9月実績の+21と同水準の見込み、一方、非製造業の12月までの「先行き見通し」+27で9月実績の+24から3ポイント改善の見込み予想です。
 
 ロイター短観9月調査の12月までの「先行き見通し」は、製造業・400社ベースで+3と9月実績の+4から1ポイント悪化の見込み、製造業・200社ベースで+16と9月実績の+19から3ポイント悪化する見込みです。一方、非製造業・400社ベースの12月までの「先行き見通し」は+27と9月実績の+23から4ポイント改善の見込みです、非製造業・200社ベースで+18と9月実績の+24から6ポイント悪化の見込みです。
 
 日銀短観の大企業・業況判断DIの12月までの「先行き見通し」は、QUICK短観やロイター短観などを参考にして、製造業は9月実績比1ポイント悪化の+12程度になるとみました。一方、非製造業は9月実績比1ポイント改善の+29程度と予測しました。


 

9月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が0程度、非製造業が+12程度と予測。

 9月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が0程度と6月の▲1から1ポイント程度改善すると予測しました。非製造業は6月の+12から横這いの+12程度になるとみました。この予測値は、景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DIの動きや、大企業の業況判断DI予測などを参考にして総合的に判断し予測しました。
 
 参考データの景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DI・季節調整値の最近の推移は製造業が24年6月調査42.6、7月調査45.4、8月調査43.2と推移しています。
 
 一方、非製造業は24年6月調査47.0、7月調査50.2、8月調査51.4と改善傾向で推移しています。なお、日銀短観は水準の調査なので、景気ウォッチャー調査の方向性の現状判断DIではなく、参考データの現状水準判断DIの方を重視しました。
 
 日銀短観の中小企業・業況判断DIの12月までの「先行き見通し」は、製造業で9月実績比1ポイント悪化の▲1程度と予測しました。一方、非製造業は9月実績比4ポイント悪化の+8程度と予測しました。中小企業・非製造業では先行きをいつも慎重にみる傾向があるというクセを考慮しました。

 

24年度設備投資計画、9月調査は6月調査から上方修正を予測。

 9月日銀短観の設備投資計画の予測には、法人企業景気予測調査や過去の修正パターンを考慮しました。9月12日に発表された法人企業景気予測調査で7~9月期の全産業の設備投資計画は前年度比+12.5%と4~6月期の+12.1%から0.4ポイント増加しました。また、過去の修正パターンの平均では6月調査から9月調査にかけて、74年からのデータで大企業は0.2ポイント程度増加、83年からのデータで中小企業は5.4ポイント程度増加しています。
 
  9月日銀短観の、24年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比+11.3%程度と、6月調査の同+11.1%から僅かに上方修正されると予測しました。また、中小企業・全産業の設備投資計画は前年度比+4.6%程度と、6月調査の同▲0.8%から上方修正されると予測しました。中小企業の設備投資計画は期を追うごとに計画が固まり、上方修正される傾向を考慮しました。
 
 
<9月調査日銀短観・予測値>
(1)大企業
9月製造業DI   +13
9月非製造業DI  +28
12月製造業DI   +12
12月非製造業DI  +29
24年度設備投資計画(全産業)前年度比   +11.3%
 
(2)中小企業
9月製造業DI    0
9月非製造業DI  +12
12月製造業DI   ▲1
12月非製造業DI  +8
24年度設備投資計画(全産業)前年度比   +4.6%
 
※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。