3月の自殺者数・暫定値は前年同月比▲15.2%と5カ月連続で前年同月比減少。3月の完全失業率は2.5%程度を予測。3月有効求人倍率は2月から若干上昇を予測。―日本の主要経済指標予測(2024 年4月16日)―
3月有効求人倍率は1.27倍程度と2月の1.26倍からの若干上昇を予測。(4月30日発表)
3月29日に発表された2月の有効求人倍率は前月から0.01ポイント低下の1.26倍で、3カ月ぶりに低下しました。有効求人数は前月比+0.5%の増加、有効求職者数は同+1.0%の増加でした。正社員の有効求人倍率(季節調整値)は1.01倍で1月を0.01ポイント上回りました。
有効求人倍率などの指標は、厚生労働省からハローワークにおける求人・求職・就職の状況をとりまとめたものが毎月公表されています。有効求人倍率の 1.00 倍は有効求人数と有効求職者数が同じであることを意味し、1 を上回ると有効求人数が相対的に多いことを示唆します。
有効求人倍率は22年11月から23年1月にかけて3カ月連続1.35倍とピークに達した後、緩やかな低下傾向にあります。求人倍率の低下は人手不足感の緩和を意味しますが、日銀短観などのデータは厳しい人手不足を反映する内容です。雇用人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」の割合を引く雇用判断DI(「過剰」と答えた企業の割合から「不足」の割合を引く)は▲35となりました、マイナスの値が大きいほど人手不足感が強く、19年3月調査以来の数字です。こうした人手不足感が強いという結果が出ている日銀短観などとは異なる動きになっています。ハローワークでの職探しの減少が影響しているようです。
2月の新規求人(原数値)は前年同月比▲3.6%の減少となりました。新規求人数(原数値)を産業別に見ると、原材料費の高騰で雇用を控える動きがある製造業で前年同月比▲8.7%、前年同月に全国旅行支援で雇用環境が好調だった反動が出た宿泊・飲食サービス業が▲8.4%と、減少が目立ちます。
3月の有効求人倍率は 1.27倍程度を予測します。予測通りなら2月から0.01ポイント上昇することになります。
景気ウォッチャー調査の雇用関連の現状水準判断DI(季節調整値:50 が判断の分岐点)は23年7月に54.4と最近の極大値をつけた後、8月52.5、9月51.8、10月51.3、11月49.5と低下傾向で推移しましたが、12月51.7、24年1月51.1、2月52.3と変動を伴いつつみ上昇傾向に転じ、3月は52.3と横ばいでした。また、やや先行性があるとみられる新規求人倍率は2月2.26倍で、1月の2.28倍に比べて0.02ポイント低下しました。様々な関連データを総合的に考慮して予測しました。
3月完全失業率は 2.5%程度と2月の2.6%から低下か。(4 月30日発表)
3月29日に発表された2月の完全失業率(通常マスコミで報じられるものは小数点第 1 位までの季節調整値)は 2.6%で1月の2.4%から0.2ポイント上昇しました。2月は就業者数が6,728万人と前年同月比+0.9%で19カ月連続の増加になりました。完全失業者数は177万人。前年同月に比べ3万人の増加、3か月ぶりの増加になりました。求職理由別に前年同月と比べると、「勤め先や事業の都合による離職」が3万人の減少。「自発的な離職(自己都合)」が2万人の増加。「新たに求職」が2万人の増加となりました。
ちなみに、2月の完全失業率は小数点第2位までだと2.60%です。1月2.44%から0.16ポイントの上昇でした。2月の男性の失業率は2.65%で1月の2.53%から0.12ポイント上昇しました。一方、2月の男性の失業率は2.55%で1月の2.31%から0.24ポイント上昇しました。12月から1月にかけての失業率の動きは、男女で逆方向でしたが、1月から2月にかけての失業率の動きは、男女で同方向になりました。
3月の完全失業率(季節調整値)は 2.5%程度と 2月の 2.6%から低下すると予測します。季節調整値の完全失業率を小数点第 2 位(景気動向指数・遅行系列に採用)まででみると、23 年 1 月 2.46%、2 月2.59%、3 月 2.74%、4 月 2.59%、5 月 2.56%、6 月 2.51%、7月 2.63%、8月 2.63%、9月 2.55%、10月 2.54%、11月 2.54%、12月 2.47%、24年1月 2.44%、2月 2.60%と推移しています。
原数値の完全失業率を季節調整値にするための除数である 24 年3月の推計季節指数は1.022で 2月の0.982より大きいため、季節調整値の完全失業率が2月の 2.6%からさらに大きく上昇する可能性は小さいとみました。
自殺の原因には経済・生活問題も多く、78 年から 23年までの 46 年暦年の完全失業率と自殺者数(警察庁)の相関係数は 0.91 と完全一致の 1 に近い強い正の相関があります。自殺者数の前年同月比は 23 年 7 月▲0.5%、8 月+2.4%、9 月▲2.6%、10月+5.4%と減少と増加を繰り返した後、11月▲9.4%、12月▲0.6%、24年1月▲12.1%、2月▲11.7%、3月暫定値▲15.2%と5カ月連続して減少しています。2月から3月にかけて減少率は拡大しました。
3月新設住宅着工戸数の前年同月比は、10カ月連続減少か。(4月30日発表)
3 月29日に発表された2月の新設住宅着工戸数は、前年同月比▲8.2%の5万9,162戸で、9カ月連続で減少しました。物価高や資材価格高騰による物件価格の上昇で、購入意欲の低迷が続いています。季節調整済み年率換算79.5万戸で前月比▲0.9%の減少でした。
持ち家は前年同月比▲11.2%で27カ月連続の減少、貸家は前年同月比+1.0%と2カ月連続の増加になりました。分譲住宅は前年同月比▲17.7%と2カ月連続の減少になりました。分譲住宅のうちマンションも▲23.3%と2カ月連続の減少になりました。
3月の新設住宅着工戸数の前年同月比は▲7.1%程度で、10カ月連続の減少になると予測しました。3月の新設住宅着工戸数・年率換算・季節調整値は80.3万戸程度、前月比は+1.0%程度の増加になるとみました。
景気ウォッチャー調査の住宅関連の現状水準判断DI(季節調整値)は、23 年 1 月 41.3、2 月40.6、3 月 42.2、4月 42.4、5 月 42.7 、6月 42.7 、7月 42.8、8月 41.6、9月 43.9、10月39.5、11月39.0、12月41.1、24年1月45.1、2 月45.1、3 月46.3と 推移していることなどを参考に予測しました。
※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。