11月鉱工業生産指数は前月比▲2.3%程度と3カ月ぶりの低下か。11月商業販売額・小売業の前年同月比は11月景気ウォッチャー調査・小売り関連DIの持ち直しなどからみて改善を予測。―日本の主要経済指標予測(2024年12月18日)―
11月鉱工業生産指数の関連指標は、製造工業生産予測指数、経済産業省の予測指数補正値、景気ウォッチャー調査、ロイター短観、QUICK短観、内閣府輸出数量指数、日銀実質輸出などが前月比低下を示唆。(12月27日発表)
11月29日に発表された10月の鉱工業生産指数・速報値は、前月比+3.0%と2カ月連続で上昇しました。15業種中、生産用機械工業、自動車工業、金属製品工業など11業種が上昇し、、電子部品・デ バイス工業、輸送機械工業(除.自動車工業)、汎用・業務用機械工業など4業種が低下しました。
経済産業省の基調判断は23年7月~12月は「生産は一進一退で推移している」で6カ月連続同じ判断でしたが、24年1月の基調判断については、「一進一退ながら弱含み」に引き下げられ、2月~6月も同じ判断で据え置きでした。しかし、7月では「一進一退で推移している」に上方修正され、8月、9月、10月も同じ判断で据え置かれました。
12月13日に発表された鉱工業生産指数・10月確報値では前月比+2.8%と速報値から0.2ポイント伸び率が鈍化しました。新たに加わった食料品・たばこ工業は前月比+1.2%の上昇になりましたが、化学工業(除.無機・有機化学工業・医薬品)が前月比▲3.8%と速報値の前月比+0.6%の上昇から低下に転じたことが影響しました。全16業種中、、生産用機械工業、自動車工業、金属製品工業など11業種が上昇し、電子部 品・デバイス工業、輸送機械工業(除.自動車工業)、鉄鋼・非鉄金属工業など5業種が低下しました。
12月27日に発表される11月の鉱工業生産指数(速報値)前月比は▲2.4%程度と3カ月ぶりの低下になると予測しました。11月の前年同月比は▲2.8%程度と2カ月ぶりの低下になると予測しました。
鉱工業生産指数・10月速報値段階で発表された製造工業生産予測指数の11月は前月比▲2.2%の低下の見込みです。過去のパターン等で製造工業生産予測指数を修正した経済産業省の機械的な補正値でみると、11月の前月比は先行き試算値最頻値で▲4.1%の低下の見込みです。90%の確率に収まる範囲は▲5.3%~▲3.0%になっています。
一方、11月の輸出関連の様々なデータの前月比は減少になりました。11月の財務省貿易統計で名目データの輸出金額の季節調整済み前月比は+0.2%の増加になりましたが、11月の日銀・輸出物価指数は前月比+1.7%でした。実質では減少になります。11月の内閣府輸出数量指数は前月比▲2.8%の減少になりました。また、11月の日銀・実質輸出の前月比は▲2.3%の減少になりました。
景気ウォッチャー調査・製造業・現状水準判断DI(季節調整値)は、24年1月46.7、2月48.8、3月47.3、4月46.7、5月43.0、6月42.6、7月45.4、8月43.2、9月46.5、10月45.2、11月43.8と、11月は10月から1.4ポイント低下しました。また、方向性を示す現状判断DIは、10月49.3、11月48.2と、11月は10月から1.1ポイント低下しました。
ロイター短観(400社ベース)の製造業・業況判断DIは、10月の+7から11月は+5と2ポイント低下していました。なお、11月27日~12月6日の調査期間の12月は▲1に6ポイント低下しています。一方、QUICK短観の製造業・業況判断DIは、10月の+27から11月は+22に5ポイント低下しました。なお、11月22日~12月3日が調査期間の12月は+21に1ポイント低下しています。
このような関連データを、総合的に判断し予測しました。
11月商業販売額・小売業の前年同月比は+2.6%程度と10月の+1.3%から伸び率が高まると予測。(12月27日発表)
11月29日に発表された商業販売額・小売業・10月速報値の前年同月比は+1.6%と9月確報値の+0.7%から0.9ポイント増加率が高まりました。12月16日に発表された10月確報値では、商業販売額・小売業の前年同月比は+1.3%に、速報値から0.3ポイント下方修正されました。
12月27日に発表される11月速報値の商業販売額・小売業の前年同月比は+2.6%程度と10月確報値の+1.3%から増加率が高まり、22年3月にプラスに転じて以降33カ月連続増加になると予測します。
自動車小売業の11月前年同月比は10月の+2.9%から悪化するとみました。新車新規登録届出台数(乗用車)の11月前年同月比は▲3.9%で、10月の+1.0%の増加から減少に転じているからです。
一方、燃料小売業の11月の前年同月比は10月の+2.6%からは改善するとみました。レギュラーガソリン価格の前年比をみると、11月は+0.6%程度と10月の▲0.4%程度の低下から上昇に転じています。
また、11月の大手百貨店4社の売上高・前年同月比の単純平均は+8.1%で10月の+3.7%から4.3ポイント改善していることを参考にして、各種商品小売業・11月前年同月比は10月の▲3.8%からは改善するとみました。
景気ウォッチャー調査で10月から11月への小売関連の現状水準判断DI(季節調整値)の動きをみると、41.9から46.8へと4.9ポイント上昇しています。これらの関連データの動きを総合的に判断し予測しました。
※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。