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7月国内企業物価指数・前年同月比、6月から僅かに上昇率が高まると予測。6月機械受注(除船電民需)前月比は3カ月ぶりの増加を予測―日本の主要経済指標予測(2024年8月5日)―

電気・都市ガス価格激変緩和策一旦終了などの上昇要因と、非鉄金属などの鈍化要因の綱引き、7月国内企業物価指数・前年同月比は+3.0%程度と6月+2.9%から若干上昇率が高まると予測。(8月13日発表)

 6月の国内企業物価指数・前年同月比は+2.9%になりました。40カ月連続前年同月比プラスが続いています。+2.4%から+2.6%に上方修正された5月から0.3ポイント上昇率が高まりました。 

 国内企業物価の上昇を抑制してきた電気・都市ガス価格激変緩和策は5月使用分(6月請求分)で割引額が半減され、6月使用分(7月請求分)で措置が一旦終了しました(8月使用分から3カ月復活)。6月と7月で2カ月連続、この影響が国内企業物価・前年同月比の上昇要因になりました。 

 電気・都市ガス・水道は前年比+0.1%と、前月の▲7.2%下落から上昇に転じました。ガソリン補助金の減少で石油・石炭製品が+4.5%上昇しました。原材料価格や諸コストの価格転嫁が見られた金属製品が+3.6%の上昇となりました。 

 国内企業物価指数・前年同月比は22年12月の+10.6%をピークにして23年12月+0.3%・24年1月の+0.3%まで鈍化傾向でしたが、2月は+0.7%と14カ月ぶりに前月を上回りました。その後も3月以降6月まで前年同月比は前月を上回りました。 

 7月の国内企業物価指数の前年同月比は+3.0%程度と6月の+2.9%からやや上昇率を高めると予測します。前月比は+0.3%程度と見ました。夏季電力料金調整後では前月比は+0.1%程度を予測しました。国内企業物価の上昇を抑制してきた電気・都市ガス価格激変緩和策が6月使用分(7月請求分)で措置が一旦終了したことが、電力・都市ガス・水道の前年同月比の変動を通じて、国内企業物価・前年同月比の上昇要因になります。 

 一方、国内企業物価指数に対し先行性がある関連指標の日経商品指数42種は、7月は前月比▲2.1%と6月の同▲0.1%に続き2カ月連続で低下しました。7月の日経商品指数42種・非鉄金属が、中国景気への警戒感から前月比▲3.8%となり、低下に寄与しました。7月の日経商品指数42種・非鉄金属の前年同月比は+12.5%で、6月の+23.4%から10.9ポイント上昇率が鈍化しました。全体の日経商品指数42種の7月前年同月比は+4.3%で、6月の+7.4%から3.1ポイント上昇率が鈍化しました。こちらは国内企業物価指数の低下要因になるとみました。 

※国内企業物価指数24年7月前年同月比は筆者予測値

機械受注(除船電民需)4~6月期前期比は+0.9%程度で見通しの▲1.6%を上回るか。(8月19日発表)

 設備投資の先行指標である機械受注(船舶・電力除く民需、以下、除船電民需)の5月前月比は▲3.2%と2カ月連続の減少になりました。製造業は前月比+1.0%と2カ月ぶりの増加。17業種中、業務用機械、非鉄金属など7業種が増加で、造船業、 情報通信機械などの10業種は減少となりました。非製造業(除船電)は▲7.5%と2カ月ぶりの減少になりました。非製造業・全体では+27.9%と2カ月連続の増加でした。12業種中、電力業、リース業などの5業種で増加、不動産業、 鉱業・採石業・砂利採取業などの7業種は減少になりました。
 
 5月の機械受注(除船電民需)の前年同月比は+10.8%で3カ月連続増加になりました。
 
 5月の機械受注(除船電民需)の大型案件はありませんでした。4月の機械受注(除船電民需)の大型案件もゼロでした。

 5月の機械受注(除船電民需)の3カ月移動平均が前月比▲1.1%と4カ月ぶりの減少になり、内閣府の基調判断は「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に下方修正されました。
 
 6月機械受注(除船電民需)の前月比は+5.2%程度と3カ月ぶりの増加を予測します。機械受注(除船電民需)の3カ月移動平均は前月比▲0.4%程度と2カ月連続減少になるとみます。5月の前年同月比は+5.2%程度と、4月の+10.8%から増加率が鈍化するものの4カ月連続の増加になると予測します。
 
 予測通りだと、機械受注(除船電民需)の4~6月期前期比は+0.9%程度と見通しの▲1.6%を上回るとみられます。
 
 関連データである、日本工作機械工業会の工作機械の国内向け受注額をみると、24年6月の前年同月比は▲0.1%です。21年3月から22年8月まで18カ月連続増加となった後、19カ月ぶりの減少になった22年9月は▲8.9%でした。以降、10月▲11.4%、11月▲8.7%、12月▲17.4%、23年1月▲1.7%、2月▲20.2%、3月▲18.0%、4月▲21.5%、5月▲23.6%、6月▲30.4%、7月▲24.2%、8月▲31.0%、9月▲14.1%、10月▲24.5%、11月▲28.4%、12月▲9.5%のあと、24年に入って1月▲29.5%、2月▲16.4%、3月▲0.2%、4月▲12.8%、5月▲7.9%に続き、22カ月連続の減少になりましたが、6月はマイナス幅が大きく縮小しました。


※24年6月は筆者予測値


景気ウォッチャー調査の24年6月設備投資関連・現状判断DIは60.0、先行き判断DIは37.5。

 景気ウォッチャー調査の設備投資関連・現状判断DIは、23年6月52.1(回答したウォッチャー12人)、7月53.6(同7人)、8月50.0(同4人)、9月60.0(同10人)、10月50.0(同7人)、11月50.0(同7人)、12月59.4(同8人)、24年1月46.4(同7人)、2月48.1(同13人)、3月53.6(同7人)、4月58.3(同9人)、5月71.4(同7人)、6月60.0(同5人)と推移しています。4カ月連続で景況判断の分岐点50を上回っています。24年6月では、「DRAM製造の顧客を中心に、設備開発、設備投資に積極的な姿勢がみられる。(東北:電気機械器具製造業(企画担当))」というコメントがありました。
 
 また、設備投資関連・先行き判断DIは23年6月52.8(回答したウォッチャー9人)、7月60.7(同7人)、8月54.2(同6人)、9月62.5(同6人)、10月58.3(同6人)、11月50.0(同13人)、12月45.8(同6人)、24年1月60.0(同10人)、2月62.6(同11人)、3月50.0(同7人)、4月50.0(同8人)、5月52.8(同9人)、6月37.5(同4人)と推移しています。24年6月では、「踊り場状態であることは変わらない。賃金と生産性を高めるための設備投資の効果が少しずつ出てきてはいるものの、物価がそれ以上に上がり、追い付かない。下請法の運用変更に伴い、11月には支払いサイトを60日以内にしなければならないが、最大の取引先が変わらないとできないし、当社のキャッシュフローが悪くなる。(南関東:精密機械器具製造業(経営者))」というコメントがありました。

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。