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日銀短観・12月調査・大企業・業況判断DI、製造業は若干上昇、非製造業は若干低下と概ね横ばい圏の動きを暫定的に予測。12月の大企業の設備投資計画は9月と同程度、中小企業は改善か。―日本の主要経済指標予測(2024年12月6日)―

12月13日発表の日銀短観12月調査、大企業・製造業・業況判断DI+14程度と9月調査+13から若干上昇。大企業・非製造業・業況判断DI+33程度と9月調査+34から若干低下か。

 日銀短観12月調査では、大企業・製造業の業況判断DIは+14程度と9月調査+13から若干上昇すると、ロイター短観12月調査発表前に暫定的に予測しました。

 また、大企業・非製造業の業況判断DIは+33程度と、こちらは9月調査の+34から1ポイント程度低下すると暫定的に予測します。好調なインバウンドのプラス寄与度は鈍ってくると思われます。小売DIにとって、食料価格の高騰が長引いたことは低下要因ですが、11月中旬以降に気温が低下して秋冬衣料が活発に動いたことは上昇要因になると考えました。

※24年12月調査の日銀短観・業況判断DIは筆者予測値


大企業・製造業・業況判断DIと相関性がある鉱工業生産指数の10~12月期の前期比は僅かに上昇の見通し。

 18年1~3月期から24年7~9月期の27四半期のデータで、鉱工業生産指数と日銀短観・大企業・製造業・業況判断DIの相関係数を計算すると0.64とそれなりの相関があることがわかります。鉱工業生産指数は既に10月速報値が発表されているので、11月・12月を製造工業予測指数の前月比(▲2.2%、▲0.5%)で延長するケースと、11月を経産省が試算した先行き補正値・最頻値の前月比(▲4.1%)、12月を製造工業予測指数前月比(▲0.5%)で延長するケースで、10~12月期の鉱工業生産指数の前期比を試算することができます。前者は+1.2%の上昇、後者は▲0.1%の低下と別れますが、平均は+0.55%で、僅かに上昇の見通しと言えるでしょう。これは12月調査日銀短観で、大企業・製造業の業況判断DIは+14程度と9月調査の+13から1ポイント程度の上昇という予測と整合的でしょう。


日銀短観DIと連動性が高いことが知られているQUICK短観(11月調査・12月調査)やロイター短観(11月調査)の動向。

 12月6日に発表されたQUICK短観12月調査の調査期間は11月22日~12月3日です。12月の製造業の業況判断DIは9月の+21から横這いの+21となりました。また、12月の非製造業の業況判断DIは+26と、こちらは9月の+24から2ポイント上昇しました。12月は11月からの前月差は、製造業の業況判断DIは1ポイント低下、非製造業の業況判断DIは7ポイント上昇となりました。

 参考までに1か月前の11月7日に発表されたQUICK短観11月調査をみると、調査期間は10月23日~11月1日でした。11月の製造業の業況判断DIは9月の+21から1ポイント上昇の+22となりました。また、11月の非製造業の業況判断DIは+19と、こちらは9月の+24から5ポイント低下していました。


 ロイター短観の12月調査は、今年はなぜか12月11日と12月調査の日銀短観公表日の2日前にならないと発表されません。仕方がないのでロイター短観11月調査を予測に利用せざるを得ません。11月調査の調査期間は10月23日~11月1日です。11月の400社ベースの製造業の業況判断DIは9月の+4から1ポイント上昇し+5になりました。12月のQUICK短観の前月差▲1を加味すると、横這いの+4と置き換えられます。また、11月の200社ベースの製造業の業況判断DIは9月調査の+19から2ポイント上昇し+21になりました。12月のQUICK短観の前月差▲1を加味すると、1ポイント上昇の+20と置き換えられます。

 11月のロイター短観400社ベースの非製造業の業況判断DIは9月調査の+23から4ポイント低下し+19になりました。12月のQUICK短観の前月差+7を加味すると、3ポイント上昇の+26と置き換えられます。一方、11月の200社ベース・非製造業の業況判断DIは9月調査の+24から9ポイント低下し+15になりました。12月のQUICK短観の前月差+7を加味すると、2ポイント低下の+22と置き換えられます。

 QUICK短観12月調査の製造業の3月までの「先行き見通し」は+18で9月実績の+21から3ポイント低下の見込み、一方、非製造業の3月までの「先行き見通し」+22で12月実績の+26から4ポイント低下の見込みです。

 ロイター短観11月調査の2月までの「先行き見通し」は、製造業・400社ベースで+6と12月実績仮置き値の+4から2ポイント上昇の見込み、製造業・200社ベースで+18と12月実績仮置き値の+20から2ポイント低下する見込みです。一方、非製造業・400社ベースの2月までの「先行き見通し」は+25と12月実績仮置き値の+26から1ポイント低下の見込みです、非製造業・200社ベースで+15と12月実績仮置き値の+22から7ポイント低下の見込みです。

 日銀短観の大企業・業況判断DIの3月までの「先行き見通し」は、QUICK短観やロイター短観などを参考にして、製造業は12月実績比1ポイント程度低下の+13程度になるとみました。一方、非製造業は12月実績比1ポイント程度低下の+32程度と予測しました。

12月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が▲1程度、非製造業が+14程度と予測。

 12月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が▲1程度と9月の0から1ポイント程度低下すると予測しました。非製造業は9月の+14から横這いの+14程度になるとみました。この予測値は、景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DIの動きや、大企業の業況判断DI予測などを参考にして総合的に判断し予測しました。

 参考データの景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DI・季節調整値の最近の推移は製造業が24年9月調査46.5、10月調査45..2と推移しています。

 一方、非製造業は24年9月調査49.2、10月調査50.3と改善傾向で推移しています。なお、日銀短観は水準の調査なので、景気ウォッチャー調査の方向性の現状判断DIではなく、参考データの現状水準判断DIの方を重視しました。

 日銀短観の中小企業・業況判断DIの3月までの「先行き見通し」は、製造業で12月実績比1ポイント低下の▲2程度と予測しました。一方、非製造業は12月実績比4ポイント低下の+10程度と予測しました。中小企業・非製造業では先行きをいつも慎重にみる傾向があるというクセを考慮しました。

24年度設備投資計画、12月調査は9月調査からの変化は、大企業は横這い、中小企業は上方修正を予測。

 12月日銀短観の設備投資計画の予測には、過去の修正パターンなどを考慮しました。過去の修正パターンの平均では9月調査から12月調査にかけては、74年からのデータの平均で大企業は変わらず、83年からのデータの平均で中小企業は5.3ポイント程度増加しています。

 24年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比+10.6%程度と、9月調査の同+10.6%と同程度の増加率になると予測しました。中小企業・全産業の設備投資計画は前年度比+5.8%程度と、9月調査の同+2.6%から上方修正になると予測しました。中小企業の設備投資計画は期を追うごとに計画が固まり、上方修正される傾向を考慮しました。

<12月調査日銀短観・予測値>
(1)大企業
12月製造業DI   +14
12月非製造業DI  +33
3月製造業DI    +13
3月非製造業DI   +32
24年度設備投資計画(全産業)前年度比   +10.6%

(2)中小企業
12月製造業DI   ▲1
12月非製造業DI  +14
3月製造業DI    ▲2
3月非製造業DI   +10
24年度設備投資計画(全産業)前年度比   +5.8%

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。