1月貿易統計・出超額は2カ月ぶりの赤字を予測。1月の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+1%台に鈍化か、2%割れになれば、22年3月以来22カ月ぶり。―日本の主要経済指標予測(2024年2月13日)―
1月貿易統計・通関収支差は▲1兆2,100億円程度の赤字か(2月21日発表)
1月30日に発表された12月貿易統計確報によると、輸出金額は9兆6,434億円、前年同月比+9.7%で2カ月ぶりの増加、輸入金額は9兆5,745億円、前年同月比▲6.9%で9カ月連続の減少となりました。輸出と輸入の差引額は689億円と3カ月ぶりの黒字になりました、前年同月は▲1兆4,979億円の赤字でした。
輸出では、自動車、船舶、自動車の部分品などが増加しました。一方、輸入では、石炭、LNG、医薬品などが減少しました。
1月の貿易統計で、輸出額から輸入額を差し引いた通関収支差は▲1兆2,100億円程度と2カ月ぶりの赤字になると予測します。前年同月の▲3兆5,064億円の赤字から前年同月比▲65.5%赤字幅が縮小すると予測しました。なお、1月上中旬の通関収支差は▲1兆7,375億円で、前年同旬比▲44.9%の赤字幅縮小となっています。
1月の輸出額は7兆2,329億円程度、前年同月比は+10.4%程度と2カ月連続の増加になると予測します。1月上中旬で輸出額は前年比+9.1%でした。輸出が大きく増加した品目は自動車、自動車の部分品、半導体製造装置で、大きく減少した品目は鉱物性燃料、船舶でした。
1月の輸入額は8兆4,429億円程度、前年同月比は▲16.0%程度と10カ月連続の減少になると予測します。1月上中旬で輸入額は前年比▲15.9%の減少でした。輸入で大きく増加した品目は特になく、大きく減少した品目は石炭、LNG、通信機でした。
1月上中旬の原粗油の単価、数量、輸入金額の前年同旬比をみると、単価は77,730円/㎘で前年同旬比+4.8%程度の上昇でした。数量は前年同旬比▲16.6%程度の減少、金額は前年同旬比▲12.6%程度の減少でした。1月月間の単価(入着原油価格)の前年同月比は、2カ月連続の上昇になると思われます。
1月全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+1.8%程度と12月の+2.3%から鈍化を予測。(2月27日発表)
12月の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+2.6%と11月の+2.8%から伸び率が0.2ポイント鈍化しましたが、28か月連続上昇しました。生鮮食品の前年同月比12月は+9.7%で11月の+10.4%から上昇率が鈍化し▲0.04ポイント、総合の前年同月比の鈍化に寄与しました。生鮮食品を除く食料の前年同月比12月は+6.2%で11月の+6.7%から上昇率が鈍化し▲0.12ポイント総合・前年同月比の鈍化に寄与しました。
12月の生鮮食品を除く総合は、前年同月比で+2.3%と11月の+2.5%を0.2ポイント鈍化し、昨年6月+2.2%以来の低い伸び率となりました。なお、28か月連続で前年同月比上昇になりました。エネルギー価格の前年同月比12月は▲11.6%で11月の▲10.1%から下落率が拡大し▲0.15ポイント総合・前年同月比の鈍化に寄与しました。燃料価格の下落で電気代は▲20.5%下落、都市ガス代は▲20.6%下落と、ともに前月より下落率が大きくなりました。政府の電気・ガス価格激変緩和対策により、▲0.49ポイント総合・前年同月比の鈍化に寄与しました。一方、ガソリンは前年同月比+4.5%で、11月の+3.9%を上回り、+0.01ポイント総合・前年同月比の上昇に寄与しました。
また、宿泊料は政府の全国旅行支援による押し下げ効果が剥落、観光需要や人手不足も押し上げ、+62.9%上昇と71年1月以降で最高の伸び率だった12月分から、1月分は+59.0%と幾分頭打ちになり、▲0.02ポイント総合・前年同月比の鈍化に寄与しました。
生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数は前年同月比+3.7%上昇で、+3.8%と23年3月の+3.8%以来の3%台に下落した12月分に続き+3%台になりましたが、21か月連続で前年同月比上昇しました。
1月の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+1.8%程度と12月の+2.6%から伸び率が鈍化するものの、29カ月連続の上昇になると予測しました。12月の前月比は▲0.2%程度とみました。
1月の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+1.8%程度と12月の+2.3%から0.5ポイント程度上昇率が鈍化するものの、29カ月連続の上昇になると予測します。+1.8%と2%割れになれば22年3月の+1.2%以来22カ月ぶりです。前月比は▲0.2%程度とみました。1月の生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は+3.3%程度と11月の+3.7%から0.4ポイント程度上昇率が鈍化するものの、22カ月連続の上昇になるとみました。前月比は▲0.1%程度と予測しました。
既に発表されている1月東京都区部消費者物価指数(中旬速報値)と1月大阪市消費者物価指数(中旬速報値)のデータを参考にして予測しました。
関連データである1月東京都区部消費者物価指数(中旬速報値)では、総合の前年同月比は+1.6%と12月の+2.4%から0.8ポイント上昇率が鈍化しました。23年1月の前月比(季節調整済み)が+0.6%と高めだった反動も影響しています。また、1月の生鮮食品は前年同月比+2.6%と12月の+9.4%から上昇率が大幅に鈍化し、前年同月比寄与度差は▲0.26%の低下要因になりました。
1月のエネルギーの前年同月比は▲20.1%と12月の▲18.8%から下落率が拡大し、寄与度差は▲0.10%の下落要因になりました。うち、都市ガス代は前年同月比▲24.7%のマイナスで、減少率は遡ることができる71年1月以降で最大でした。都市ガス代だけで総合の前年同月比寄与度差が▲0.08ポイントの縮小となりました。
生鮮食品を除く食料の前年同月比寄与度差が▲0.07%の下落要因になりました。宿泊料は前年同月比+26.9%と2ケタの上昇率でしたが、23年12月の+59.0%から縮小したため、総合の前年同月比寄与度差が▲0.24ポイントの縮小となりました。通信料(固定電話)により総合の前年同月比寄与度差が▲0.05ポイントの縮小で、上昇率を下げる方向に働きました。
一方、大阪市消費者物価指数・総合・1月(中旬速報値)前年同月比は+1.7%で12月の+1.7%と同じ伸び率になりました。大阪市の前年同月比が高いのは、総合を10000として138のウエイトがある上下水道料の前年同月比が12月の▲40.9%から1月は0.0%になるという特殊事情がある面もあります。
※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。