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7~9月期実質GDP第2次速報値・前期比年率+0.9%と第1次速報値とほぼ変わらずと予測。法人企業統計は設備投資、民間在庫変動の修正に関し中立要因か。公共投資の僅かな下方修正も全体に影響せずか。―日本経済の主要経済指標予測(2024年12月2日)―

7~9月期法人企業統計・設備投資(除くソフトウェア)前年同期比+9.5%と、4~6月期の+9.1%から0.4ポイント改善、季節調整済み前期比+0.8%の増加。

 7~9月期の法人企業統計調査の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は+9.5%と、4~6月期の前年同期比+9.1%から0.4ポイント改善し、14四半期連続の増加になりました。4~6月期で前年同期比+2.7%の増加だった製造業は、7~9月期では同+9.7%へと7.0ポイント増加率が上昇しました。一方、非製造業は4~6月期で前年同期比+13.0%でしたが、7~9月期では同+9.4%へと3.6ポイント増加率が鈍化しました。

 7~9月期・全産業(金融業・保険業を除くベース)設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の季節調整済み前期比は+0.8%と2四半期連続の増加です。7~9月期GDP第1次速報値の名目設備投資の前期比+0.2%より高めの伸び率になりました。なお、製造業は+3.7%と3四半期ぶりの増加、非製造業は▲0.7%で5四半期ぶりの減少になりました。。

 供給サイドのデータに基づいて算出した7~9月期GDP第1次速報値では、名目設備投資の前期比は+0.2%で、5四半期連続の増加に、前年同期比は+5.4%と14四半期連続の増加になりました。4~6月期は+6.5%でした。

 法人企業統計では全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は4~6月期から7~9月期にかけ0.4ポイント増加率が高まりました。しかし、GDP第1次速報値の方は1.1ポイント増加率が鈍化していました。

7~9月期GDP第2次速報値の実質設備投資は前期比▲0.2%程度と、第1次速報値と同程度か。(12月9日)

 12月9日に発表される7~9月期四半期別GDP速報(第2 次速報値)では、法人企業統計などの基礎データを加えた改定値が発表されます。

 7~9月期GDP第1次速報値で、民間企業設備の推計過程にお いて、供給側基礎統計の情報に基づいて算出した供給側推計値は名目原系列前期比+4.1%、また、供給側推計値の情報を用いて仮置きした需要側推計値は名目原系列前期比+12.5%であると公表されています。7~9月期では需要側推計値が供給側推計値より強く、単純に法人企業統計と第1次GDP速報値の数字を比べると、法人企業統計の設備投資の数字が強いと思われます。

 原系列前期比+12.5%を法人企業統計調査に当てはめると、前年同期比は+9.5%になります。実際の7~9月期法人企業統計調査・全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の原数値ベースの前期比も+12.5%、前年同期比は+9.5%で仮置き値と同じ増加率になりました。法人企業統計調査は修正に関し、ほぼ中立要因と考えました。

 また、特定サービス産業動態統計でソフトウエア開発・プログラム作成の前年同月比は7月+10.3%、8月+6.9%でしたが、9月は+7.2%になりました。7~8月平均の前年同期比は+8.6%でしたが、7~9月期の前年同期比は+7.9%と増加率が鈍化し、やや下方修正要因になるとみました。一方、ゲームソフトの前年同月比は7月▲37.8%、8月▲27.7%、でしたが、9月は▲13.9%になりました。7~8月平均の前年同期比は▲32.6%でしたが、7~9月期の前年同期比は▲25.5%と減少率が縮小し、やや上方修正要因になるとみました。

 総合的に判断して、7~9月期GDP第2次速報値の実質設備投資は前期比▲0.2%程度と、第1次速報値の同▲0.2%と同程度の増加率になると予測しました。

 7~9月期のGDP第1次速報値の名目民間在庫変動・原数値は9,279億円で23年7~9月期の5,819億円からは4,149億円の増加でした。7~9月期GDP第1次速報値では民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は▲0.0%でした。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえませんが、4項目中マイナス寄与は仮置き値の原材料在庫1項目、プラス寄与は3項目で大きい順に、製品在庫、仮置き値の仕掛品在庫、流通在庫だということです。

 7~9月期の法人企業統計では、原材料・貯蔵品在庫は前年同期差▲3,668億円のマイナスで、仕掛品在庫の前年同期差は+9,080億円のプラスとどちらも仮置き値と同方向の動きになっています。GDP第2次速報値の民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は第1次速報値の▲0.0%からあまり変わらず▲0.0%程度になるとみました。

実質GDP第2次速報値は、前期比年率+0.9%程度と、第1次速報値とほぼ変わらずか。(12月9日)

 7~9月期第2次速報値では、実質設備投資は前期比▲0.2%程度で、第1次速報値の同▲0.2%とほぼ同じ、実質民間在庫変動・季節調整値・前期比寄与度は+0.1%程度と第1次速報値の+0.1%と同程度とみました。

 公共工事出来高の前年同月比は7月+3.9%、8月+3.2%でしたが、9月は+2.5%と伸び率が鈍化しました。このことから、9月が加味された第2次速報値の実質公共投資の前期比は第1次速報値の▲0.9%から▲1.2%程度に下方修正されると予測します。

 なお毎年、7~9月期GDP第2次速報値は、過去の数字が大きく変わる可能性があるので、予測値はある程度幅を持ってみることが必要だと思います。

 24年7~9月期GDP第2次速報値では法人企業統計による設備投資と民間在庫変動による修正はほとんどなく、公共投資の下方修正されるものの全体に及ぼす影響は小さく、実質GDPは前期比+0.2%程度、前期比年率+0.9%程度と予測します。第1次速報値の前期比+0.2%、前期比年率+0.9%とほぼ変わらないとみます。

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。