8月国内企業物価指数・前年同月比、6月の+3.0%から上昇率鈍化し再び+2%台か。7月機械受注(除船電民需)前月比は2カ月ぶりの減少を予測―日本の主要経済指標予測(2024年9月3日)―
8月国内企業物価指数は先行指標の日経商品指数42種の動向などから、前年同月比は鈍化に転じると予測。(9月12日発表)
7月の国内企業物価指数・前年同月比は+3.0%になりました。41カ月連続前年同月比プラスでした。前年同月比+2.9%だった6月から0.1ポイント上昇率が高まりました。
電力・都市ガス・水道は、政府の電気・都市ガス価格激変緩和策が終了したことで、前年比+6.7で6月の0.0%(+0.1%から下方修正)を上回り、13ヵ月ぶりのプラスに転じました。
6月の前年同月比が+4.6%に0.1ポイント上方修正された石油・石炭製品は7月に+1.1%と上昇率が鈍化しました。非鉄金属は7月も+18.5%と2ケタの高い上昇率になりましたが、0.1ポイント上方修正された6月の+19.5%からは鈍化しました。一方、業務用機器の前年同月比は、7月+2.7%で6月の+2.3%から0.4ポイント伸び率が高まりました。
国内企業物価指数・前年同月比は22年12月の+10.6%をピークにして23年12月+0.3%・24年1月の+0.3%まで鈍化傾向でしたが、2月は+0.7%と14カ月ぶりに前月を上回りました。その後も3月以降7月まで前年同月比は6カ月連続で前の月を上回りました。
8月の国内企業物価指数の前年同月比は+2.8%程度と7月の+3.0%からやや上昇率が鈍化すると予測します。前月比は+0.1%程度と見ました。
国内企業物価指数に対し先行性がある関連指標の日経商品指数42種は、8月は前月比▲0.2%と、7月同▲2.1%と6月同▲0.1%に続き3カ月連続で低下しました。8月では非鉄金属が前月比▲1.0%となり、低下に寄与しました。非鉄金属のうち、鉛は足元で自動車販売が伸び悩んでいるためバッテリー向けの需要減が懸念されて、低下したようです。全体の日経商品指数42種の8月前年同月比は+3.2%で、7月の+4.3%から1.1ポイント上昇率が鈍化しました。こちらは国内企業物価指数・前年同月比の鈍化要因になるとみました。
7月機械受注(除船電民需)の前月比は▲1.5%程度と2カ月ぶりの減少を予測。3カ月移動平均は3カ月連続減少か。前年同月比は6月の減少から増加に転じるか。(9月18日発表)
設備投資の先行指標である機械受注(船舶・電力除く民需、以下、除船電民需)の6月前月比は+2.1%と3カ月ぶりの増加になりました。
製造業は前月比▲0.3%と2カ月ぶりの減少。17業種中、造船業、業務用機械など9業種が増加で、非鉄金属、 パルプ・紙・紙加工品などの8業種が減少となりました。非製造業(除船電)は+2.4%と2カ月ぶりの増加になりました。非製造業・全体では▲27.9%と3カ月ぶりの減少でした。12業種中、不動産業、卸売業・小売業などの3業種で増加、電力業、金融業・保険業などの9業種は減少になりました。
6月の機械受注(除船電民需)の前年同月比は▲1.7%で4カ月ぶりの減少になりました。
6月の機械受注(除船電民需)の大型案件は製造業・造船業の内燃機関1件でした。5月の機械受注(除船電民需)の大型案件はゼロでした。
6月の機械受注(除船電民需)の3カ月移動平均が前月比▲1.4%と2カ月連続の減少になり、内閣府の基調判断は下方修正された5月に続いて、「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」になりました。
7月機械受注(除船電民需)の前月比は▲1.5%程度と2カ月ぶりの減少を予測します。機械受注(除船電民需)の3カ月移動平均は前月比▲0.9%程度と3カ月連続減少になるとみます。7月の前年同月比は+2.0%程度と、6月の▲1.7%の減少から増加に転じると予測します。
予測通りだと、機械受注(除船電民需)の7~9月期・見通し前期比は+0.2%を達成するためには、8月・9月の前月比が+1.4%以上になることが必要です。
関連データである、日本工作機械工業会の工作機械の国内向け受注額をみると、24年6月の前年同月比は▲9.3%です。21年3月から22年8月まで18カ月連続増加となった後、19カ月ぶりの減少になった22年9月は▲8.9%でした。以降、10月▲11.4%、11月▲8.7%、12月▲17.4%、23年1月▲1.7%、2月▲20.2%、3月▲18.0%、4月▲21.5%、5月▲23.6%、6月▲30.4%、7月▲24.2%、8月▲31.0%、9月▲14.1%、10月▲24.5%、11月▲28.4%、12月▲9.5%のあと、24年に入って1月▲29.5%、2月▲16.4%、3月▲0.2%、4月▲12.8%、5月▲7.9%、6月▲0.1%に続き、23カ月連続の減少になりましたが、7月はマイナス幅が拡大しました。
景気ウォッチャー調査の24年7月設備投資関連・現状判断DIは57.1、先行き判断DIは44.4。
景気ウォッチャー調査の設備投資関連・現状判断DIは、24年1月46.4(回答したウォッチャー7人)、2月48.1(同13人)、3月53.6(同7人)、4月58.3(同9人)、5月71.4(同7人)、6月60.0(同5人)、7月57.1(同7人)と推移しています。5カ月連続で景況判断の分岐点50を上回っています。24年7月では、「企業の採用意欲、設備投資、個人消費の動きは横ばいである。また、減税、賃上げ効果が現れている様子はみられない。(中国:新聞社[求人広告](担当者))」というコメントがありました。
また、設備投資関連・先行き判断DIは24年1月60.0(回答したウォッチャー10人)、2月62.6(同11人)、3月50.0(同7人)、4月50.0(同8人)、5月52.8(同9人)、6月37.5(同4人)、7月44.4(同4人)と推移しています。24年7月では、「自社の資材調達や設備投資等を抑制している雰囲気ではない。(中国:非鉄金属製造業(業務担当))」というコメントがありました。
※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。