7月貿易統計・通関収支差は2カ月ぶりの赤字に。7月全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は「電気・ガス価格激変緩和対策事業」による押し下げ効果消滅で6月から上昇率がやや拡大の見込み。―日本の主要経済指標予測(2024年8月13日)―
7月貿易統計・通関収支差は▲4,200億円程度と2カ月ぶりの赤字か。輸出の前年同月比は8カ月連続・前年同月比増加を予測。(8月21日発表)
7月27日に発表された6月貿易統計確報によると、輸出金額は9兆2,091億円、前年同月比+5.4%で7カ月連続の増加、輸入金額は8兆9,851億円、前年同月比+3.2%で3カ月連続の増加となりました。輸出と輸入の差引額は+2,240億円と2カ月ぶりに黒字になりました。前年⒍月に比べ黒字幅は+513.3%拡大しました。
前年同月比でみて、輸出では、半導体等製造装置、非鉄金属、プラスチックなどが増加しました。大きく減少した品目はありませんでした。一方、輸入では、電算機類(含周辺機器)、原動機、通信機などが増加し、石炭などが減少しました。
7月の貿易統計で、輸出額から輸入額を差し引いた通関収支差は▲4,200億円程度と2カ月ぶりの赤字になると予測します。前年同月の▲613億円から赤字額が+584.9%程度増加すると予測しました。なお、7月上中旬の通関収支差は▲4,745億円で、前年同旬の▲2,232億円から赤字額が+112.6%拡大しています。
7月の輸出額は9兆8,8608億円程度、前年同月比は+13.3%程度と8カ月連続の増加になると予測します。7月上中旬で輸出額は前年比+13.5%の増加でした。輸出が大きく増加した品目は自動車、半導体等電子部品、半導体等製造装置などでした。大きく減少した品目はありませんでした。
7月の輸入額は10兆3,060億円程度、前年同月比は+17.3%程度と4カ月連続増加になると予測します。7月上中旬で輸入額は前年比+17.4%の増加でした。輸入で大きく増加した品目は原粗油、医薬品、電算機類(含む周辺機器)などでした。大きく減少した品目はありませんでした。
7月上中旬の原粗油の単価、数量、輸入金額の前年同旬比をみると、単価は88,555円/㎘で前年同旬比+22.0%程度の上昇でした。数量は前年同旬比+3.9%程度の増加、金額は前年同旬比+26.7%程度の増加でした。
7月全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+2.7%程度と、6月の+2.6%から上昇率拡大を予測。(8月23日発表)
6月の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+2.8%と5月の+2.8%と同じ伸び率で、34か月連続上昇しました。6月の「電気・ガス価格激変緩和対策事業」による押し下げ効果の消費者物価指数・前年同月比寄与度は▲0.25%となりました。5月では同▲0.48%でした。政府補助は5月使用分で半減となり、6月の「電気・ガス価格激変緩和対策事業」による押し下げ効果が縮小しました。
エネルギーの前年同月比は+7.7%と5月の+7.2%から拡大しました。電気代の前年同月比は+13.4%、都市ガス代は同+3.7%上昇しました。
生鮮食品の前年同月比6月は+8.0%で5月の+8.8%から上昇率がやや鈍化し、▲0.04ポイントと、総合の前年同月比の鈍化に寄与しました。また、生鮮食品を除く食料の前年同月比6月は+2.8%で5月の+3.1%から上昇率が鈍化し▲0.07ポイント総合・前年同月比の鈍化に寄与しました。
6月の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合は、前年同月比で+2.6%と5月の+2.5%から0.1ポイント伸び率が高まり、34か月連続での前年同月比上昇でした。
6月の全国消費者物価指数・生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数は前年同月比+2.2%上昇で、+2.1%だった5月分から0.1ポイント伸び率が高まり、27カ月連続での前年同月比上昇になりました。
7月の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+2.7%程度と6月の+2.8%から0.1ポイント程度上昇率が鈍化するものの、35カ月連続の上昇になると予測しました。前月比は+0.2%程度とみました。「電気・ガス価格激変緩和対策事業」による押し下げ効果がなくなることで、総合の前年同月比を+0.25%押し上げることになります。一方、生鮮食品が、総合の前年同月比を▲0.2%程度押し下げると見ます。宿泊料や通信料(携帯電話)も下落要因になるとみました。
7月の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+2.7%程度と6月の+2.6%から0.1ポイント程度上昇率が高まり、35カ月連続の上昇になると予測します。前月比は+0.4%程度とみました。7月の全国消費者物価指数・生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は+1.9%程度と6月の+2.2%から0.3ポイント程度上昇率が鈍化するものの、28カ月連続の上昇になるとみました。前月比は0.0%程度と予測しました。
既に発表されている7月東京都区部消費者物価指数(中旬速報値)と7月大阪市消費者物価指数(中旬速報値)のデータなどを参考にして予測しました。
7月の東京都区部消費者物価指数・総合・前年同月比は6月の+2.3%から+2.2%に0.1ポイント伸び率が鈍化しました。なお、全国に比べ東京都区部の前年同月比が低いのは、東京都では24年度から高校の授業料助成の所得制限を撤廃し実質無償化した影響のためです。
7月の生鮮食品は前年同月比+2.7%と6月の+7.9%から上昇率が5.2ポイントと大幅に鈍化し、前年同月比寄与度差は▲0.21%の低下要因になりました。
7月生鮮食品を除く総合・前年同月比は+2.2%上昇と5月の+2.1%から0.1ポイント伸び率が高まりました。
7月のエネルギーの前年同月比は+14.5%と6月の+7.5%から上昇率が大幅に拡大し、寄与度差は+0.33%の上昇要因になりました。このうち、+0.23ポイント分は「電気・ガス価格激変緩和対策事業」による押し下げ効果がなくなった影響です。東京都区部消費者物価指数の5月・6月公表資料によると、「押し下げ効果・寄与度は▲0.45[試算値]、6月分押し下げ効果・寄与度は▲0.23[試算値]となっていましたが、7月分ではその記載がなくなりました。
生鮮食品を除く食料の前年同月比寄与度差が▲0.10%の下落要因になりました。宿泊料は総合の前年同月比寄与度差が▲0.09%の下落要因となりました。また、通信料(携帯電話) は総合の前年同月比寄与度差が▲0.08%の下落要因となりました。
7月の東京都区部の生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価指数・総合・前年同月比は6月の+1.8%から+1.5%に0.3ポイント伸び率が鈍化しました。
7月の大阪市消費者物価指数をみると、総合は・前年同月比は+2.9%で6月の+3.0%から0.1ポイント伸び率が鈍化しました。生鮮食品を除く総合・前年同月比は+2.8%で6月の+2.7%から0.1ポイント伸び率が高まりました。生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は+1.6%と6月の+1.9%から0.3ポイント上昇率が低下しました。
※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。