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7月鉱工業生産指数は2カ月ぶりに前月比上昇か。 7月商業販売額・小売業の前年同月比は6月から伸び率の鈍化を予測。―日本の主要経済指標予測(2024年8月21日)―

7月鉱工業生産指数の関連指標のうち、QUICK短観は前月比低下を示唆しているが、ロイター短観、製造工業生産予測指数、実質輸出、輸出数量指数、景気ウォッチャー調査など多くは前月比上昇を示唆。(8月30日発表)

 7月31日に発表された6月の鉱工業生産指数・速報値は、15業種中、自動車工業、生産用機械工業、汎用・業務用機械工業など全ての業種が 低下しました。全体として前月比▲3.6%と2カ月ぶりに低下しました。
 
 経済産業省の基調判断は23年7月~12月は「生産は一進一退で推移している」で6カ月連続同じ判断でしたが、24年1月の基調判断については、「一進一退ながら弱含み」に引き下げられ、2月~6月も同じ判断で据え置きとなりました。
 
 8月15日に発表された鉱業生産指数・6月確報値では前月比▲4.2%と速報値の同▲3.6%から0.6ポイント伸び率が低下と下方修正されました。生産の下方修正は、医薬品、スピリッツなどによるものです。新たに加わった食料品・たばこ工業は前月比低下になりました。全16業種中、全ての業種が低下しました。
 
 8月30日に発表される7月の鉱工業生産指数(速報値)前月比は+2.0%程度と2カ月ぶりの上昇になると予測しました。7月の前年同月比は+1.8%程度と2カ月ぶりの上昇になると予測しました。
 
 鉱工業生産指数・6月速報値段階で発表された製造工業生産予測指数の7月は前月比+6.5%の上昇の見込みです。過去のパターン等で製造工業生産予測指数を修正した経済産業省の機械的な補正値でみると、7月の前月比は先行き試算値最頻値で+4.0%の上昇の見込みです。90%の確率に収まる範囲は+2.7%~+5.4%になっています。
 
 製造工業生産予測指数で輸送機械工業の7月前月比は▲ 0.2%の見通しです。なお、一部報道によると、トヨタ自動車が型式不正認証問題で生産を停止しているのは、トヨタ自動車東日本の宮城大衡工場(宮城県大衡村)で生産する「カローラアクシオ/同フィールダー」と、同工場と岩手工場(岩手県金ケ崎町)第2ラインで生産する「ヤリクロス」の3車種。両ラインは混流生産を行っているため、不正対象外の「ヤリス」や「シエンタ」などの生産は継続しているということです。
 
 7月の財務省貿易統計で輸出金額の季節調整済み前月比は+1.7%の増加になりました。7月の日銀・輸出物価指数の前月比+0.2%      でした。なお、輸出の前年同月比で増加寄与度が大きかった品目は、第1位が半導体等電子部品、第2位が自動車でした。 7月の内閣府輸出数量指数は前月比+1.2%になりました。また、7月の日銀の実質輸出の前月比は+1.0%の増加になりました。
 
 景気ウォッチャー調査・製造業・現状水準判断DI(季節調整値)は、23年10月44.5、11月44.2、12月45.5、24年1月46.7、2月48.8、3月47.3、4月46.7、5月43.0、6月42.6、7月45.4と、7月は6月から2.8ポイント上昇しました。
 
 ロイター短観(400社ベース)の製造業・業況判断DIは、6月の+6から7月は+11と5ポイント上昇しました。なお、7月31日~8月9日の調査期間の8月は+10になっています。一方、QUICK短観の製造業・業況判断DIは、6月の+21から7月は+20に1ポイント低下しました。なお、7月29日~8月7日の調査期間の8月は+23に上昇しています。
 
 このような関連データを、総合的に判断し予測しました。

※2024年7月は筆者予測値


7月商業販売額・小売業の前年同月比は+3.4%程度と6月+3.8%から伸び率が鈍化するものの、29カ月連続増加か。(8月30日発表)

 7月31日に発表された商業販売額・小売業・6月速報値の前年同月比は+3.7%と5月確報値の+2.8%から0.9ポイント増加率が高まりました。8月16日に発表された6月確報値では、商業販売額・小売業の前年同月比は+3.8%に速報値から0.1ポイント上方修正されました。
 
 8月30日に発表される7月速報値の商業販売額・小売業の前年同月比は+3.4%程度と6月確報値の+3.8%から増加率は鈍化するものの、29カ月連続増加になると予測します。
 
 自動車小売業の7月前年同月比は6月の▲1.7%から減少から増加に転じるとみました。新車新規登録届出台数(乗用車)の7月前年同月比は+5.5%程度と7カ月ぶりの増加で、6月の▲6.1%の減少から転じているからです。
 
 景気ウォッチャー調査で「家電量販店」の現状判断DIは5月48.8と景気判断の分岐点の50割れだったものが、猛暑効果でエアコンなどが売れて、6月53.9に続き、7月は63.4まで上昇しています。
 
 一方、7月の大手百貨店4社の売上高・前年同月比の単純平均は+10.9%で6月の+23.2%から12.3ポイント鈍化していることを参考にして、各種商品小売業・7月前年同月比は6月の+7.7%から増加率が鈍化するとみました。
 
 また、燃料小売業の7月の前年同月比は6月の+4.8%から伸び率が低下するとみました。レギュラーガソリン価格の前年比をみると、7月は+0.8%程度と6月の+2.9%程度から上昇率が鈍化しています。
 
 景気ウォッチャー調査で6月から7月への小売関連の現状水準判断DI(季節調整値)の動きをみると、45.6から45.2へと0.4ポイント低下しています。これらの関連データの動きを総合的に判断し予測しました。

※2024年7月は筆者予測値

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。