9月国内企業物価指数・前年同月比は8月から上昇率が若干高まるか。8月機械受注(除船電民需)前月比は2カ月連続減少だが、3カ月移動平均は4カ月ぶり増加を予測―日本の主要経済指標予測(2024年10月3日)―
9月国内企業物価指数・前年同月比は、先行指標の日経商品指数42種など上昇要因が、「酷暑乗り切り緊急支援」などの低下要因を上回ると予測。(10月10日発表)
8月の国内企業物価指数・前年同月比は+2.5%になりました。42カ月連続前年同月比プラスでした。前年同月比+3.0%だった7月から0.5ポイント上昇率が鈍化しました。
原油価格の下落により、石油・石炭製品の前年同月比は、8月は▲4.0%と7月の+0.4%の上昇から下落に転じました。また、中国経済の減速を背景に、銅やアルミが下落し、非鉄金属は7月の+18.9%から8月は+11.4%へ大幅に鈍化しました。
一方、業務用機器の前年同月比は、8月+3.3%で7月の+2.7%から0.6ポイント伸び率が高まりました。また、コメの高騰の影響などで、農林水産物の前年同月比は、8月+5.3%と7月の+4.0%から1.3ポイント伸び率が高まりました。電力・都市のガス・水道の前年同月比は、8月+10.6%と7月+6.5から伸び率が高まりました。
国内企業物価指数・前年同月比は22年12月の+10.6%をピークにして23年12月+0.3%・24年1月の+0.3%まで鈍化傾向でしたが、2月は+0.7%と14カ月ぶりに前月を上回りました。その後も3月以降7月まで前年同月比は上昇傾向でしたが、8月は8カ月ぶりに鈍化しました。
9月の国内企業物価指数の前年同月比は+2.7%程度と8月の+2.5%からやや上昇率が高まると予測します。9月の前月比は0.0%程度と見ました。前年9月の前月比が▲0.2%だったため、前年同月比にはその反動が出ます。関連指標の日経商品指数42種は上昇要因、一方、電気・都市ガスを使用している事業者に対しても行われ「酷暑乗り切り緊急支援」が低下要因になるとみました。
国内企業物価指数に対し先行性がある関連指標の日経商品指数42種は、9月は前月比+0.5%と4カ月ぶりに上昇しました。9月では化学が前月比+0.4%と、塩化ビニール樹脂の価格の約2年ぶり値上げなどで、上昇しました。
石油製品は前月比+1.0%と上昇しました。原油価格がやや下落したことで政府支給の補助金が減少。石油元売りの卸値が前月末比で値上がりしたことが、上昇につながったようです。米国産大豆の生産量が予測から下振れたことや、ブラジルでの干ばつの影響で、穀物の国際商品価格が上昇し国内価格に波及、食品は前月比+2.3%上昇しました。
一方、非鉄金属が前月比▲0.7%となりました。品目ごとの動きはまちまちで、銅は米経済の軟着陸期待の高まりや、中国の追加の景気刺激策での需要増への期待から上昇です。それに反して自動車のバッテリーなどに使う鉛は低下しました。
日経商品指数42種全体の9月前年同月比は+4.0%で、8月+3.2%から0.8ポイント上昇率が高まりました。前月比は+0.5%です。こちらは国内企業物価指数・前年同月比の上昇要因になるとみました。
一方、今年は政府の「酷暑乗り切り緊急支援」が8月から10月の使用分に関し、電気・都市ガスを使用している事業者に対しても行われます。支払い月の9月から国内企業物価指数・前年同月比に押し下げ効果が出ることになります。
8月機械受注(除船電民需)の前月比は▲0.3%程度と2カ月連続の減少を予測。3カ月移動平均は4カ月ぶり増加か。前年同月比は2カ月連続増加か。(10月16日発表)
設備投資の先行指標である機械受注(船舶・電力除く民需、以下、除船電民需)の7月前月比は▲0.1%と2カ月ぶりの減少になりました。
製造業は前月比▲5.7%と2カ月連続の減少。17業種中、非鉄金属、電気機械など10業種が増加で、造船業、化学 工業など7業種が減少となりました。非製造業(除船電)は+7.5%と2カ月連続の増加になりました。非製造業・全体では▲7.0%と2カ月連続の減少でした。12業種中、鉱業・採石 業・砂利採取業、運輸業・郵便業などの9業種で、電力業、通信業などの3業種は減少になりました。
7月の機械受注(除船電民需)の前年同月比は+8.7%で2カ月ぶりの増加になりました。
7月の機械受注(除船電民需)の大型案件は非製造業・運輸業・郵便業の通信機1件でした。6月の機械受注(除船電民需)の大型案件は製造業・造船業の内燃機関1件でした。
7月の機械受注(除船電民需)の3カ月移動平均が前月比▲0.4%と3カ月連続の減少になり、内閣府の基調判断は、4月までの「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」から下方修正された5月と、6月に続いて、3カ月連続「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」になりました。
8月機械受注(除船電民需)の前月比は▲0.3%程度と2カ月連続の減少を予測します。機械受注(除船電民需)の3カ月移動平均は比+0.6%程度と4カ月ぶりの増加に転じると予測します。8月の前年同月比は+8.1%程度と2か月連続増加になると予測します。
予測通りだと、機械受注(除船電民需)の7~9月期・見通し前期比は+0.2%を達成するためには、9月の前月比が+0.7%以上になることが必要になります。
関連データである、日本工作機械工業会の工作機械の国内向け受注額をみると、24年8月の前年同月比は▲9.9%です。21年3月から22年8月まで18カ月連続増加となった後、19カ月ぶりの減少になった22年9月は▲8.9%でした。以降、10月▲11.4%、11月▲8.7%、12月▲17.4%、23年1月▲1.7%、2月▲20.2%、3月▲18.0%、4月▲21.5%、5月▲23.6%、6月▲30.4%、7月▲24.2%、8月▲31.0%、9月▲14.1%、10月▲24.5%、11月▲28.4%、12月▲9.5%のあと、24年に入って1月▲29.5%、2月▲16.4%、3月▲0.2%、4月▲12.8%、5月▲7.9%、6月▲0.1%、7月▲9.3%に続き、24カ月連続の減少になりましたが、8月はマイナス幅が若干拡大しました。
景気ウォッチャー調査の24年8月設備投資関連・現状判断DIは54.2、先行き判断DIは62.5。
景気ウォッチャー調査の設備投資関連・現状判断DIは、24年1月46.4(回答したウォッチャー7人)、2月48.1(同13人)、3月53.6(同7人)、4月58.3(同9人)、5月71.4(同7人)、6月60.0(同5人)、7月57.1(同7人)、8月54.2(同6人)と推移しています。6カ月連続で景況判断の分岐点50を上回っています。24年8月では、「業態にもよるが、企業の業績は好業績、設備投資にも積極的、採用意欲も高いが、消費に関しては業績が賃金に反映し切れていないため、振るわない。(中国:新聞社[求人広告](担当者))」というコメントがありました。
また、設備投資関連・先行き判断DIは24年1月60.0(回答したウォッチャー10人)、2月62.6(同11人)、3月50.0(同7人)、4月50.0(同8人)、5月52.8(同9人)、6月37.5(同4人)、7月44.4(同4人)、8月62.5(同8人)と推移しています。24年8月では、「取引先の状況をみると、DRAMに関しては本格的な開発競争と設備投資の動きが出てきており、良い方向に進むとみている。(東北:電気機械器具製造業(企画担当))」というコメントがありました。
※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。