akiyori

詩であり歌詞でもある。そんな文章を書きたい。

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最近の記事

熱中症

のどの渇きも忘れて 深く熱中する 不思議だな 深い水の底に 溺れているくせに ときどき空気を吸おうとして 水面に浮いてくる どうやら酸素は ないとダメらしい 電解質はとうに 好き勝手暴走して散らばる シナプスではパーティーの準備が 着々と進む 司令塔は退勤しました あとはそれぞれ自由気ままに 連れて行ってください 中心の熱まで 圧力は無視していいよ 仕舞いには視界がぼやけて 電源が落ちるので

    • パラフレーズ

      防波堤とさざなみ 潮騒と鳥の声が 不規則に響いたら 汽笛で全て消える 木々のざわめき 枝葉が風に揺れて 獣道の手がかりと 土の匂いを運ぶ いにしえの造形美 その隙間を風が通り 嘶くような音が 石と砂を撫ぜる 陽光が遮られ 気温は少し下がる 遠くでは水流が 虫の声と共にせせらぐ

      • リベンジ

        やりたいことがあるのに タスクに追われてしまって 何もできなかった 毛布にくるまって 納得のいく策を練る 今日失った分の人生を 取り戻すための うかうかしていると 睡眠も敵に回る いつも以上のカフェインをきめて ここから1日をはじめる それくらいしてようやく 折り合いがつくってもんだ この策をやり遂げてはじめて 今日を生きたと言える

        • 塩胡椒

          これくらいかな 微妙な塩梅で調整して やりすぎてないか 足りなくはないか ちょっとだけ緊張しながら そっと見守っている 何回かもぐもぐとして 頬張りながらくれた言葉 そのひとことで 食べる前なのに お腹いっぱいだ

          リブラ

          その重さに見合うもの 用意できるかどうか その行いに報いるため どれくらいのことができるか 何を基準にして 優劣をつけるのか 優先順位を立てるのか 等しく見えたとしてもその実 目盛はどちらかに傾いている 繰り返したことで 研ぎ澄まされることもあれば 濁ることもある 全てが終わる時 どうか胸を張れるように 曇りなき心と眼で見て

          第七感

          めずらしく早起きが出来た いつもはできないことを片付けて シャワーを浴びてみたりする 手の込んだ朝食を作り コーディネート大会を開催 情報番組はいつも通り鳴る 1秒は1秒のまま 感覚とのズレに気付かないまま 優雅に時をむさぼる 犬の鳴き声が聞こえはじめ 突然帰ってくる感覚 帳尻を合わすかのように 駅まで走る羽目になる

          処方箋

          コンプラ違反しているようでは いつまでも治らないよ 正しいタイミングで 正しい量を摂らなければ 治るものも治らないから 大変申し訳ございません どこかに失くしたか 捨ててしまったようです もう一度書いてくれませんか 何をどうしたらいいのか わからなくなってしまいました 地図のようにこれからの道を 示してくれませんか

          乱反射

          風邪気味でもないのに もやに包まれた脳内 重い頭をなんとか支えて 玄関をこじ開ける 無理矢理街の喧騒を詰め込み 信号機の点滅を焼き付ける そこに深い意味がなくても 世界を摂取する 散らばった思考はまだ あらぬ方向へ反射している スクランブル交差点の人並み 行き交うランダムな流れを前に しっかりと踏み出して身を投じる時 様々な角度で折れ曲がった思いが 少しずつまとまり始める

          シャボン玉

          去年新しくなった公園の 芝生エリアの外周 木陰で遊ぶように舞う 虹色の透明 いつ弾けるかわからないから ハラハラしてしまうよ できるだけ大きく育って 飛んでいってほしい 割れることなく光って どこかへ届いてほしい

          シャボン玉

          他人事

          したり顔で遥か上から 見物を決め込むものたち 陰で力を振りかざし 時折民衆は憤る 大多数の人々は 蜂起することも忘れて その日を生き抜くことに 精一杯の日々 怒りの火が上がっても 次の日には収まって 日常の奥で燻る 埋もれてしまうから 当事者と化すと一転 いっそう強く燃え上がり 罪をいとわぬ者が現れ 手製の銃で反逆を始める

          新快速

          またすし詰めにされて 出荷されていく人々 近くにいる人の表情を 最近は怖くて見られない 車内アナウンスが流れて 停車駅が並べられる 降りたことのない駅 たとえば終点 たとえばそのひとつ前 いつも降りる駅なんて忘れて その風景を見に行ってやるとか 唐突に思う瞬間が 定期的にやってくる

          ゴースト

          つたない絵で描いた未来 ただ澱みなく流れた日々 お腹が空いたら食べた 眠気がきたら寝た 駐車場の車が少ないなら いつもより少しはしゃいでいる 手に入れた自由の大きさが わずかに広い気がした その瞬間それ自体が ただ生きる意味だった それなのに 余計なことばかりが増えて 頭が支配された その現象それ自体が 年をとることだった それならば 余計なものは放り投げて 頭をどうにか取り戻して あの日に向かった

          ゴースト

          昇降口

          川のように流れゆく 朝の昇降口 予鈴が鳴り響いても その声をキャッチする ほんの些細なことで 頑張れる単純さ いい気になるなよな 挨拶したくらいで 雪崩のように押し寄せる 放課後の昇降口 いつもよりやけに騒がしい テスト期間の週末 ほんの些細なことで 浮ついている単純さ いい気になるなよな 挨拶したくらいで

          逸る朝

          カーテンのすき間から 差し込んだ光が 瞼のすき間へと 差し込んできた 目覚ましより早く起きた朝 はやる気持ちで出発の支度 忘れ物はないかな 何度確認したって 刺さった棘のように ひっかかる感覚 結局忘れている でもそれでよかった そうやって日常のどこかに 置いて来た無力感 蓋をした無常感

          かえり道

          手を繋いだとき その温もりの向こう側に 隠れているものを探る うれしさと少しさみしさが 合わさってぐるぐると 崩れたラテアートみたいに 月が帰ってきても 同じ道を同じように 歩けていること 季節が戻ってきても 同じ絆のままで 隣にいられること 願いをかけるように強く 手を握り返してみる

          かえり道

          搾取

          呼吸をするように 食事をするように 睡眠をとるように それができる幸せ 呼吸を忘れるほどに 食事を忘れるほどに 睡眠を忘れるほどに それが出来る幸せ それだけで生きていけたらな それだけしていられたらな それができるなら文句ないね それができるなら明日もよろしくね まだまだやれる足りないくらい この上ない贅沢を噛み締めないと なんんかどいやら絶こう調da いつまでもこれが続けばいいや いつまでもこれが続けばいや ああもうなんて幸せな日々