豆ぼん
制作の経緯
何を思い立ったのか。
イギリスのTooting becあたりに滞在中、豆ぼんを作り出しました。
というのも、ミニ絵画を描き始めたのが発端です。
旅に出る前、先輩からおせんべつにミニスケッチブックと色鉛筆のセットをいただきました。
「荷物にならないものを」「なにか喜んでもらえるものを」と考えながら選んでくださったことに感動し、何かお礼ができないかな〜と思っていたところ「そうだこのスケッチブックに旅中の景色を描いてプレゼントしよう」と思いついたのです。
昨年11月に個展で一時帰国する時お会いできそうだったので、先輩が来廊されるまでオーナーの許可いただきギャラリーに飾らせてもらいました。
プレゼントだったので、来ていただいた方へはご覧いただくだけだったのですが、思いの外評判がよく、調子に乗った私は量産を考えた^^
個展後再びパリに戻り、ちまちま描き溜める。
どこを切り取っても絵になる場所ばかり。
街角や、高速列車に乗って見た景色、色々描きました。
それらをどうやって販売しようか。。リングのままだとちょっとチープすぎる。。
ということで思いついたのが豆ぼん。
製本の知識は全然ないですが、子どもの頃から自分で作ったり、集めたりすることは好きで、ある程度の構造は知っている。。
ここはいっちょ作ってみるか!ということでいざ挑戦。
いざ制作
とはいえ、ここは海外。
長期滞在とはいえ荷物は最小限。コストもかけられない。
当時フランスとイギリスを転々と滞在しており、制作していた時はロンドン市内。とはいえ中心街からは少し離れており、あまり品揃えは期待できない。
スマホのマップを頼りに、近隣のお店を探してみた。
運よく近くに手芸用品店が2件、画材や文具が置いていあるお店が1件。
徒歩20分圏内にあった。
さすがロンドン。テーラーの街。お店の隣にはミシン博物館みたいなのがあった。(入りづらかったので外から見ただけ)
中には目移りする生地や小物がいっぱい。
いやいや、私は本のカバーになるようなレザーを探しに来たのだ。
合皮と本革の切れ端を少量購入し、部屋に戻って早速試作。
本のカバーに皮を選んだのは、截金(きりかね)がしたかったから。
截金とは、日本の伝統工芸技法で、仏画とか木彫の仏の服の紋様に使われるようなもので、金箔を数枚焼き合わせ、竹刀(ちくとう)で細く截(き)り、膠とふのり(接着剤)で貼り合わせていく技法です。
金の絵具で塗るより、何倍も輝きが強く美しい。。
本に金が押されているものは通常箔押し(金箔を貼りたいところに糊をつけ、金箔を切らずに貼って、乾いたら金箔を刷毛ではらい落とす)が多いと思いますが、私は截金の技法を使って作りたかった。
なんてったって無駄がない。。
己を信じ、ガンガン試作。
朝起きて、ご飯食べて、試作して、ご飯食べて、昼寝して、試作して、買い物行って、試作して、ご飯食べて、試作して、寝る。
こんな生活を1週間ほどして作り上げたものがこちら。ドドーン!
爆誕しました。
結構時間がかかってます。
紙をカットする、表紙なしで一旦製本する、皮を切る、台紙をつける、製本された紙をカバーにつける、截金をする。
サイズのレシピがあるわけではないので、微調整を何度も繰り返し、出来上がったものが上の画像。
デザインはイラストレーターを使って、色々試行錯誤し決めました。
他にもデザインしたいな。
制作過程
工程の画像も公開^^
グルー(接着剤)も細かい用途までは読みきれず、翻訳アプリを使ってなんとか購入。
白い厚紙も小さいサイズがないので1m四方くらいのを購入。
大きな袋とかないから、雨降りそうな中、急いで帰る。
(イギリスは1日の天気の変化が激しい)
本革のピンク系はワゴンセールの中から発掘。絶妙な色でとってもお上品。
合皮は切り売りだったので、拙い英語で70cmくらいを購入。
日本だと100均に行けばコスパ悪くても少量でも買えてほとんどのものが揃うので、ありがたみを感じる。。
帰国して東急ハンズに行ったら、めっちゃ皮の品揃えが良くて驚く。
日本すごい。
お気に入りの水彩紙(ウォーターフォード中目)をサイズにカット。
見返しの紙は日本から持ってきていた和紙。
背表紙の花布は、金箔の間に挟まれているしなやかで丈夫な和紙(箔合紙)を使ってみた。
しおりのリボンもつけて、本の中身は完成。
ブックカバーの截金です。
随所のはみ出しなどは、あとで直してます。
絵と違って貼っているので、剥がせば元通り。(材質によっては膠のシミはできるけど)
金箔を同じ細さで切るって神技。
意外と太く切る時の方が難しい。
金箔を切る時は特殊な台を使うのですが、メモリなんてないので目で見てキル!
カンです。職人の皆さんは出来るようになるのでしょう。。
メモリがある箔台作ったら売れるかなとか思ったけど、多分職人レベルの人は邪魔なんだろうな。
量産。
1つずつ作るので、若干の違いはありますが、それもまたご愛嬌。
ハンドメイドとはそういうものです。
揃うと圧巻です。
試作も混ざってますが、うっとり眺めてしまう豆ぼんができました。
こんな美しい景色の中で制作できた喜びは計り知れません。。
ロンドン界隈の家はシェアハウスが多く、玄関1つに対して大きささまざまな5部屋くらいがあり、1部屋ずつに鍵がついてます。キッチンお風呂トイレは共同だったり、各部屋に全てついていたり、いろいろです。
トラブルとまではいかなかったですが、入れ替わりが激しい安いシェアハウスだとストレスを溜めることがあるかもしれません。
とはいえ、建物や食文化、生活習慣など、日本とは違う暮らしを体感しながら、制作できるのはとても刺激的。
またいつか長期旅をして、ミニスケッチを大量生産し豆ぼん作ろう。
豆ぼんはBASEで限定販売していました。
今は販売していませんが、気になる方がいらっしゃいましたらお尋ねください。
過去のチラシ掲載↓
ちなみに、絵が描いていない白紙の豆ぼんは「たぶん、日本一小さいギャラリー。」で販売中です。
こちらもご希望の方はお声がけください。
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