「軸」のあるビジュアルデザインの作り方
こんにちは!タイミーのコミュニケーションデザイナーのsaidoです。
Timee Product Advent Calendar 2024の15日目の記事を担当します。
はじめに
今年1月にタイミーにジョインし、1年を通して新卒採用ブランディングに関わってきました。採用ブランディングの目的は、学生の心を動かし、タイミーに入社したいと思ってもらうことです。
タイミーに入社したいと思ってもらう(=タイミーのファンになってもらう)ためには、インターンや内定式/入社式などのあらゆるイベント、タッチポイントで「この会社いいな、興味あるな」「タイミーが好きだな」と感情をポジティブに動かしていく必要があります。そして、感情を動かすには、ビジュアルデザインの力が大きく影響すると考えています。
ビジュアルデザインの重要性を感じながら、新卒採用に関わるクリエイティブを制作してきましたが「本当にこのビジュアルでいいのかな?」と自分の中で迷いが生じたり、「採用チームや学生の皆さんに良いと思ってもらえるかな」と自信をなくしてしまうことがよくありました。自分の中で、軸があるようで定まっていない…そんな状況が続いていました。
その状況を打破すべく、自分なりに模索して、たどり着いたビジュアルデザインの作り方をお話ししたいと思います。
そもそもなぜ迷うんだろう
採用チームの考えるコンセプトや想いに関するヒアリングが中途半端だった
イベントごとのゴールがざっくりとしていた
ターゲットである学生について細かくキャッチアップできていなかった
自分の中で明確なデザインのストーリーができていないまま手を動かしていた
挙げた理由はどれも基本的なことですが「自分が納得し、完全に理解できていたか?」と問われると、そうではなかったと思います。
そのため、なんとなく素敵なクリエイティブ・新卒っぽいデザイン、など表層的なビジュアルを作ってしまいがちで、細かなコンテキストの理解はできておらず、学生の心に響くものだと胸を張ることはできていませんでした。
改善後の制作フロー
今年の夏のインターンから、制作フローを模索し始めました。10月にあった新卒2期生の内定式で、ビジュアルデザインの作り方が自分の中で型として定まりました。
ビジュアルデザインの制作フロー
①他社の内定式クリエイティブのリファレンス集め
②現状と課題、ゴールの徹底的なヒアリング
③コンセプトキーワードやデザインモチーフの洗い出し
④コンセプトストーリーの作成
⑤④に紐づくリファレンス集め
⑥デザイン制作
既に取り組んでいるものもありましたが、今回は①〜⑤の内容を整理し、Figmaに記録を残すことを強く意識しました。
整理した記録を残すことで、度々振り返ることができ「現状作っているものと、軸がぶれていないか」を瞬時に判断できるようにしました。
また、この記録の積み重ねが、内定式プロジェクトで伴奏する採用チームと連携する上でも、意思決定の判断材料になるとも思いました。
①他社の内定式クリエイティブのリファレンス集め
内定式プロジェクトが発足してすぐに、他社の内定式クリエイティブについてリファレンス集めを行いました。
どの会社もその会社らしさのある素敵なクリエイティブでしたが、今回は集めたクリエイティブをリッチ←→カジュアル、具体←→抽象の2軸でマッピングをしていきました。
このリファレンス集めは、まずは世の中の内定式のデザイン自体をキャッチアップし、採用チームとのすり合わせ時の参考資料として使うことが目的でした。
②現状と課題、ゴールの徹底的なヒアリング
採用チームとのすり合わせの際に「内定者はタイミー社員との関わりは現在あるか」「内定者イベントではどんな様子か」「入社する上での不安やモヤモヤはあるか」「採用チームはこの内定式を通して内定者にどのような気持ちになってほしいか」など、今まで聞いたことがなかった細かな部分までヒアリングをしていきました。
また、ゴールとは真逆の「与えたくない印象や体験」についても質問し、ふんわりとしていた25卒の内定者の様子が、ここに明確になっていきました。
③コンセプトキーワードやデザインモチーフの洗い出し
次に、②でヒアリングした内容を整理し、ビジュアルデザインのコンセプトになりそうなキーワードを洗い出していきます。また、そのキーワードを洗い出した上で、連動するデザインのモチーフを候補を挙げていきます。次に、作成するコンセプトストーリーをうっすらと頭の中で描きつつ、洗い出したキーワードやモチーフの中で今回使うものを選定していきます。
④コンセプトストーリーの作成
③で洗い出したキーワードやモチーフ、ヒアリングした内定式前後での感情の変化なども踏まえて、コンセプトストーリーを作成します。
ストーリーはなるべく一文にまとめますが、キャッチコピーではないので綺麗な文章にならなくても私は気にせず進めています。
⑤④に紐づくリファレンス集め
作成したコンセプトストーリーや、デザインモチーフに紐づくリファレンスを幅広く集めていきます。集めたリファレンスの中で、特に参考になりそうなものには「なぜ良いと思うのか」を言語化していき、実際にビジュアルデザインを制作する際に活用できるものは落とし込んでいきます。
⑥デザイン制作
①〜⑤までを整理しFigma にまとめた後に、実際のビジュアルデザインを作っていきます。まずはモチーフやキーワード、リファレンスを見返して、ラフのチューニングから始めます。途中で迷った際はFigma を見返し、ビジュアルデザインの判断材料として活用します。
最後に
最後に、実際に制作した内定式のビジュアルデザインを紹介します。
メインモチーフを太陽の光にし、ポジティブさ・明るさを全面に出したビジュアルです。まだ緊張している内定者に対してあたたかく賑やかに迎えるタイミーと、内定者が今後のタイミーや社会を後押ししてほしいという将来への期待を表現しました。
今回は内定式後に、狙い通りの印象を与えられたのか、感情を動かせたのかを内定者の皆さんにアンケートを実施して確認しました。
デザインに関するアンケートを設計すること自体が初めての試みだったのですが、内定式前後では概ね想定した通りの感情の変化があり、ビジュアルデザインも与えたい印象が形成できていたとわかる結果でした。
もちろん細かな部分では、かいぜんの余地がまだまだあります。しかし、自分の中で「デザイナーとしてぶれない型」ができたことは、私にとって大きな収穫でした!
今後もブランド体験の向上に寄与するべく、様々なコミュニケーションデザイン施策にトライしていきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!