今月の1冊~2021.04
4月。若葉きれいなこの月。いろいろありました。そして悩みは深まる一方。そういう時には、もうとことんおちていく自分を静かに観察。あーあ、って感じでみています。発芽していくにはパワーがいるから、いまはこうタネをぴきっとやっていて、全然かっこよくないだけなんだと、もうすぐ若いきれいな緑のはっぱがでてくるんだと、そう言い聞かせてすごしています。
読む本は数あれ、ぐっとくる1冊にはそんなに簡単に出会えない。
そんな中でも毎月1冊もしあれば2冊、自分のなかでこれは・・と思ったものの感想を書いていこうと思います。
本の要約ではないと思うので気になる方は是非ご自身で読んでください!
今月は
現代手芸考 上羽陽子/山崎明子
この本読んで、霧が晴れました!と同時にいろいろ考えてしまいました。この本手芸というものをいろんな角度からどんなものなかを考えています。誰のためのものなのかというところからはじまって、手芸の歴史を紐解いていったり。プロとアマチュアのどこに属するものなのかとか、工芸との違いはなにかとか、何に役にたつのかとか、地域性のはなしとかいろんな見方で手芸の定義を試みてくれています。手芸、手仕事、ハンドメイド、出来上がったものはきっと同じものだと思いますが、どの言葉を使うかでそのモノのコンテクストは全然違うものになるんじゃないか、というような分析もあったり。個人の手でつくるということに対してこんなに色々洞察をかけているものもないんじゃないかなと思います。
私自身、つくることが大好きで、もちろん手芸も大好き。そしてたまに、どこからどこまでが手芸なのかなとちょっとおもっていた節があって、それゆえこの本は実におもしろかったです。売れたらプロなのか?とか、伝統的なものはどうなのか?とか自分の身に起きていることがどうしてそうなっているのかを、からまった糸をほどくようにときほぐしてみていて。でも糸をほぐしているので、必ずしもそれが良いわけでもないというのがこの手芸に与えられている運命なんだなと感じました。自分のために、家族のために、そして他人のためにと広がっていく過程で、決して仕事では生まれない価値や損失があって、それが手芸のなかに生きている、そんな感じです。
昔はこんなにネットワークのインフラが発達していたわけでもなかったから、自分の足で、せいぜい乗り物にのって1時間以内がコミュニティと生活のすべてをまかなえていた範囲で、それが今は広がったから、わかりやすくお金という価値で、手芸でつくられたモノたちが、いろんな人や場所にたどりつくようになったとみるのが自然かもしれない。手芸の価値をよくもわるくもお金という尺度ではかれるようになったのが現代なんでしょうね。生きるために、食べるために生み出されたわけではないところに発端がある、モノとしてはとても珍しいものなのだなと、改めて思いました。そしてアートのようになにかを提起していくというよりも、充実を伝えていくというような、ちょっとデザイン的側面をもっているそんな気もしています。
さて、つぎはなにをつくろうか、と。