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デザイナー脳で描くイラストレーション

どうもです。今回のnoteは、前回の更新「SNSアイコンに求めた条件」の続きを書きたいと思います。描くことになれていないデザイナーがイラストを描こうとするとどうなるのか、イラストレーターさんは笑いながらみてください。そして非デザイナーさんは、デザイナーがデスクに向かって黙々と作業しているとき、頭のなかにどんな思考が巡っているのか知ってください。


【CONTENTS】
・「条件」のおさらい
・実際の手順
 ①市場調査(差別化ポイントの把握)
 ②必ずおさえたいポイント決め(色/表現方法/ギミック)
 ③構図決め(ざっくりラフ)
 ④タッチ決め(資料探し/タッチに沿ったラフ)
 ⑤線画確定(表情のバランス)
 ⑥着彩(カラバリ出し)
 ⑦微調整(色味/線の太さ/背景面積とのバランスなど)


「条件」のおさらい

本題の前に、さらっと前回のおさらいです。前回は、制作の前段階としてアイコンに果たして欲しい役割を設定したというお話をしました。それがこちらです。

・条件1 目にとまること
・条件2 差別化できていること
・条件3 覚えてもらいやすいこと
・条件4 検索性を持たせること
(詳細は前回のnote「SNSアイコンに求めた条件」をご覧ください。)

制作中、判断に迷うときはこの中のいずれかを満たしているかを気にかけながら手を動かしていました。


実際の手順
①市場調査

前段階の設定も済み、いよいよ制作に入ります。まずは市場調査です。
…というと大げさに聞こえますが、今回はツイッターアイコンを作るので、ツイッターのタイムラインとアカウント調査をしました。クリエイターの中でも特に、デザイナー(グラフィックデザイナー)のアカウントに絞ってアイコンの傾向をチェックしていきます。
そこでみえてきた傾向は、写真アイコンのひとが多いことと、オレンジ、黒・グレー、のひとが多いこと。
調査の結果、この2点は差別化のため避けるべきということがみえたので、このあとのデザインに活かしていきます。


②必ずおさえたいポイント決め
   (色/表現方法/ギミック)

まず色については、市場調査の結果から赤い印象にしようと思い至りました。
理由は、意外にも赤いアイコンをあまり見かけなかったためです。これはたまたまですが、私のとってはかなりラッキーでした。というのも、赤は“あるもの”の印象補強効果を持ってくれていたからです。
まずはこちらをご覧ください。

なんとなく、赤いアイコンのほうが「秋っぽいアイコンのひと」と覚えやすくないですか?

その理由はテーマの一貫性に起因します。これでいうと、名前(ツイッターネーム)に対する色の印象が合致しているか、という点です。アイコンの近くには、だいたい名前がセットで表示されますよね。
私の場合、字面が完全に秋。とくれば、無意識のうちに紅葉した山々や暖色を想像するはずです。そこへ秋色を思わせる色があれば「名前は忘れたけど、なんか秋っぽいアイコンだった気がする」と思われる、“秋”の印象補強効果を狙っているのでした。
一貫したテーマを持たせて、見るひとに浸透しやすくする。これを支えるためにも赤という色は名前との相性が良かったのです。「条件」のひとつ、覚えてもらいやすさは、こういったところにも左右されると考えました。

つぎに表現面ではイラストを選びました。写真以外にもタイポという手がありましたが、アイコンの表示サイズわかりやすさ親しみやすさ印象の強さでいうと、初見のひとにはスッと入りにくいのではと思いイラストに落ち着きました。

さいごにギミック。実はこの段階では、あの小さいアイコンの中に何をどう盛り込むことでギミックを表現できるのか、アイデアはありませんでした。ただ「ギミックづくりが得意なことを表現したい」というお題だけがあったのです。ここがいちばんのネックでしたが、次のステップでアイデアがでてきたので助かりました…笑


③構図決め
   (ざっくりラフ)

そもそも何のモチーフを描くのか?については、印象付けだけならば、葉っぱのマークでもよかったわけです。ただ、画面の向こうに私という人間がいることを示したいのと、のちのち名刺などのツールも統一させたかったため、似顔絵の方が都合が良いと判断しました。

ではその似顔絵の構図とは。正直ここで若干めげそうになります…笑
たくさんに選択肢に対して自問自答の繰り返し。イラストレーターさんってすごいな…と改めて感心しつつ、ひとつひとつ決めていきました。
たとえば…

覚えてもらいやすいのって、どんなだろう?
→私のいちばん特徴的なところを打ち出したらどうか?

何がいちばんの特徴だろう?
→変わった髪型をしているから、髪をわかりやすく描いたらどうか?

どんな構図だと髪型がわかりやすい?
→やや横向きで髪が長い方を奥側に、短い方を手前側にしたらどうか?

ギミックづくりが得意なことも盛り込みたいが、いい表現がないか?
→アイコンの規格から飛び出して見えるような作りならどうか?

どのパーツをどれくらい飛び出させたらフックになるだろう?
→実寸で確認しながら、わかりやすいところを探ったらどうか?


なんてことを考えて、辿り着いたのがこの4択状態です。
※note用にきれいなラフを掲載していますが、実際にはこれを描く前に鉛筆ラフで構図を探っています。

特徴の髪型プッシュ×ギミックの体現×目をとめてもらうフック、という3点掛け合わせ。これが実寸だとどう見えるかを検証しながら絞った結果、Dになりました。ちなみに他が落選した理由は以下。

A:目線が顔より下にいく、ごちゃついて飛び出しているのがわかりにくい
B:実寸になると手が細かくて、結局よくわからない
C:髪と襟が近いだけに、髪の印象が薄まる


④タッチ決め
   (資料探し/タッチに沿ったラフ)

本来はタッチも先に決めてから③のざっくりラフを描くところだと思いますが、順番が前後しています。なぜならイラストレーターでない私に、自分のタッチもなにもないからです。なので、構図が決まったらそれに応じたタッチを決めようとしていました。
しかしこのタッチ選び、とても迷いました…そんなときこそ原点回帰。仕上がりをイメージしながら「条件」に沿って選択肢を狭めます。
実寸サイズが小さくなるので細かい表現・ニュアンスは潰れること、覚えやすさ重視で要素を少なくすること、トレンド感あるタッチにすること…
これらをおさえたタッチのイラストレーターさん候補を何名か探しました。そして最終的にこの方だ!となったのが、長場雄さん。だいすきなイラストレーターさんです。(ここで白状する形になるのが恐れ多すぎる…けどかわいい…すき…みんなみて)

シンプルで潔い線、だけど愛嬌があって親しみやすい。この長場さんのエッセンスを頂戴し、作風が似すぎて権利侵害しないよう注意しながらラフを起こした結果、③のラフのようなタッチになりました。
そしてここからいよいよ、本番用に詰めていく作業に入ります。



…と、長くなってしまったので、きょうはここまでです。むしろここまで読んでくださったみなさん、ありがとうございます。全工程の後半、詰め作業はまた次週更新したいと思います。
よければまた次回もみてください〜

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