≡ はじめに
前回は、JSTQBのALTAシラバスの「4. ソフトウェア品質特性のテスト」の「4.2 ビジネスドメインテストの品質特性」について書きました。
ALTA連載の前回の復習は以下で模擬試験問題の確認を通して行います。
そして、今回はJSTQBのALTAシラバスの「4. ソフトウェア品質特性のテスト」の「4.2 ビジネスドメインテストの品質特性」の「4.2.1 機能正確性テスト」、「4.2.2 機能適切性テスト」、「4.2.3 機能完全性テスト」についてまとめて書きます。
≡ 前回の復習
以下は前回出題したJSTQB ALTAの模擬試験問題を𝕏にポストした結果です。
投票の結果、選択肢2の「複数のイテレーションを通して実装されるユーザーストーリー」が70.8%と最も多かったのですが、正解は1の「変更していないすべての機能に対するリグレッションテスト」です。
1が正解の理由は、シラバス通りだからです。シラバスの該当部分を以下に引用します。通常は自動テストを用意するのでしょう。
選択肢2の「複数のイテレーションを通して実装されるユーザーストーリー」が不正解な理由は、上記引用の一つ目の●にある「特定の」が「複数の」になっているからです。
選択肢の3と4は、機能適合性ではないので、不正解ということになります。
復習は以上として、今回のnoteのテーマに移ります。
≡ 機能適合性テスト
「機能適合性テスト」は、ISO 25010(JIS X 25010)の製品品質モデルの機能適合性のテストです。こちらがアクセスしやすいかな。
下図をみたことがあるのではないでしょうか。
品質モデルというのは、品質を製品やサービスが持つ様々な特徴と考えて、その特徴を分類したものです。ソフトウェアでは長らく9126という標準があったのですが、その後継として25000シリーズ(SQuaREとも言います)ができました。日本人がリーディングしているんですよ。昔は東先生で、今は込山さん。
9126のときには、内部品質モデルと外部品質モデルに分かれていたのですが、25000シリーズの25010では「製品品質モデル」に統合されました。
それから、25000シリーズの品質モデルには「製品品質モデル」のほかに「利用時の品質モデル」と「データ品質モデル」があります。
それでは、JIS X 25010の「製品の品質モデル」から今回の「機能適合性」を読んでみましょう。
規格を読むときには、「○○参照」が重要です。上だと「C.6参照」と書いてありますので参照してみましょう。
ISO 25010を使うときには「機能」と「機能性」の違いを理解する必要があるということです。
■ 機能正確性テスト
シラバスに戻ります。短いので全文引用します。
JISで「機能正確性」を調べてみます。
要は「ソフトウェアを動かして、正確な結果を出力することに対するニーズを満たすかどうかのテスト」です。ブラックボックステスト技法のところでやってきたことの多くは正確かどうかです。
■ 機能適切性テスト
こちらも短いので全文引用します。
JISで「機能適切性」を調べてみます。
要は「結果がでるだけじゃだめで、無駄な操作がなくニーズを満たすことを機能がどのくらい促進しているか」です。
■ 機能完全性テスト
こちらはちょっと長いのですが、ついでなので全文引用します。
JISで「機能完全性」を調べてみます。
要は「機能がニーズ(アジャイルならユーザーストーリーやフィーチャー)をどれほど満たしているか」です。
例えば、要求が100個あったとします。このときに実装した機能で、要求を50個しか満たせないときと99個満たせるときでは機能完全性が違います。
≡ JSTQB ALTA試験対策
いつものことですが、まずは、「学習の目的」を確認します。
章立てと学習目的がクロスしているので、注意しましょう。
上記の学習目的を整理すると下記のようになります。
(K2:理解、K3:適用、K4:分析)
まずは、「機能完全性、機能正確性、機能適切性の違いを説明できる」ようになればOK(あとは考えれば分かる)です。
シラバス記載の順番と違っているのですが、ISOの順番とあっているので、学習する順序は「機能正確性、機能適切性、機能完全性」が良いということかもしれません。
答えは次回に書きます。
≡ おわりに
今回は、「4.2 ビジネスドメインテストの品質特性」のうち、機能適合性テストの3兄弟である、「4.2.1 機能正確性テスト」、「4.2.2 機能適切性テスト」、「4.2.3 機能完全性テスト」がテーマでした。
「機能完全性、機能正確性、機能適切性」の違いを説明できるようになりましたでしょうか。
また、「機能」と「機能性」の違いは大丈夫ですか?
次回は、「4.2.4 相互運用性テスト」です。インターフェースは大切ですし、バグが多く見つかる個所でもあります。