≡ はじめに
前回は「テスト分析の手順」について書きました。
前回の復習は以下で模擬試験問題の確認を通して行います。
今回はJSTQBのALTAシラバスの「1.4 テスト設計」のうちの「テスト設計のプロセス」について書きます。
≡ 前回の復習
以下は前回出したJSTQB ALTAの模擬試験問題を𝕏にポストした結果です。
投票の結果は、ご覧の通り「1. プロジェクトリスクに対処するために必要なテスト条件を識別する」と「3. 大きなテスト条件を識別し段階的に詳細化する」に二分されました。
正解は「3. 大きなテスト条件を識別し段階的に詳細化する」です。
前回「画面✖機能性」のような大きなテスト条件を識別した後に、それを様々な詳細度合いで階層的に分析していく方法について学びました。ですから「3. 大きなテスト条件を識別し段階的に詳細化する」が正解です。
残りの選択肢についてどこが誤りなのか確認します。
「1. プロジェクトリスクに対処するために必要なテスト条件を識別する」ですが、正解と二分して選ばれました。(投票時間締め切り時刻のギリギリまで、ずっと均衡しつつ、むしろこちらの方が多く選ばれていたので『困ったな』と思っていました。)
合っていそうな答えなのですが、「プロジェクトリスク」のところが違います。「プロダクトリスクに対処するため」であれば正解なのですが……。
次は、「2. 実績があるテスト条件から選択する」です。こちらを選択したひとは一人もいませんでした。
ところが、テストの現場では「良いチェックシートがほしい」であるとか、「ベテランが持っているテスト条件(もしくは、テスト観点)のリストがほしい」と言われます。
テスト初心者でもそのリストを使えば良いテストができるんじゃないか?との思いからです。
最後は、「4. テスト技法を使用してはならない」です。
確かに、テスト技法は主にテスト設計で使用します。しかし例えば原因結果グラフのようなテスト技法はテストベースが「Requirments(要求・要件)」と抽象度が高いので、テスト条件のセットであるデシジョンテーブルを生成します。(原因結果グラフに限らず、どのテスト技法もテスト分析で使用することができます。)
今回の復習も長かったな。←説明が不足していたという証か……。急ぐ理由もないので、今後はもっと丁寧に書いていこう。
≡ テスト設計のプロセス
今回は、ALTAシラバスの以下の箇所を対象とします。(長文になってしまった関係で全てではありません。)
6つのプロセスにわかれています。それでは順番に見ていきます。
■ テストアナリストがテストケースを設計
箇条書きに入る前に、
との記述があります。
先日、辰巳さんから、ALTM、ALTA、ALTTAの役割について記載されている場所について、教えていただきました。旧資料なので、ウェブ上に見つからなかったのでいただいた画像をそのままコピペします。
上記には、「テストアナリストがテストケースを設計する」とは書いてありません。
役割設定には、それほどこだわらなくてもよいのかもしれません。
(試験に出たらいやですね。😅)
■ テストケースの抽象度の階層とテスト領域
1つ目の箇条書きでは、テストケースの抽象度の階層とテスト領域について述べているようなのですが、意味がわかりません。
原文を見てみます。
「テスト領域に合わせて、ローレベルテストケースまたはハイレベルテストケースのどちらが適切か判断する。」でしょうか?
「テスト領域(test areas)」が何かもよくわからないのですが、用語集にもないので、一般的な意味なのでしょうね。ALTAのシラバスにも2か所しかでてきませんし。
「テストに合わせて、テストケースの細かさを決める」という意味かなあと思いました。
■ カバレッジアイテムとテスト技法
2つ目の箇条書きは、カバレッジの確保のためのテスト技法の選定について書いてあります。
テスト分析のアウトプットはテスト条件ですから、「テストのための根拠となる、コンポーネントやシステムのテストが可能な一部分。」です。
ところが、ここでは、「必要なカバレッジを確保するテスト技法を決定する」とあります。いったいいつ「必要なカバレッジ」を検討したのでしょうか? そして「必要なカバレッジ」はどういう検討をしたら決めることができるのでしょうか?
以下の図は、山﨑 崇さんの記事からコピーしたものです。
上図のように、ソフトウェアテストの国際標準である、ISO/IEC/IEEE29119-2:2021では、「テストカバレッジアイテムの識別」がタスクの一つとして明確に位置づけられています。
と、このように考えますと、「必要なカバレッジ」を検討するのは、「テスト設計」のなかで、さらにその前にテストモデルを作成する必要があることがわかります。
テスト設計の6つのプロセスのうち、2つしか説明していないのですが、すでに長文になってしまったので、残りは次回に回します。
≡ JSTQB ALTA試験対策
試験対策です。「学習の目的」をシラバスで確認します。1.4の学習の目的は、以下の通りです。
K4がある点に注意です。K4は、「分析 (適用対象を分析して適切に活用できること)」ですので、「試験問題で提示されたシナリオを読んで、テストケースの適切な設計レベルを選択する」というような深い問題が出るということです。
今回は1.4.1の前なので、明確な「学習の目的」はありません。そこで、今回は記載した内容についての全体的な理解を問う問題とします。
問題文が偉そうで、ぞんざいなのは、140文字に抑えるためです。
答えは次回に書きます。
≡ おわりに
今回は、「テスト設計1(テスト設計の手順)」の途中まででした。
今回、テキストの追加ページはありません。「テスト設計の手順」で1ページにまとめたいからです。
次回も引き続き、「1.4 テスト設計」を書きます。