空き家予備軍から特定空き家までのフェーズとは。
今年のゴールデンウイーク、実家に帰ってゆっくり過ごしている方も多いのではないでしょうか。
せっかくの機会に、家族で実家について話し合ってみるのもいいかと思いますよ。
というのも今年度、国土交通省は、管理が不十分な物件を新たに「管理不全空き家」に指定して行政が指導を行うよう法律を改正する方針を固めました。
指導で改善されない場合は、空き家の固定資産税を減額する措置を解除し、適切な管理を促すということです。
この「管理不全空き家」については、放置すれば「特定空き家」になるおそれがあるものとしています。
それでは「住宅」が空き家になってどのようなフェーズを経て「特定空き家」になっていくのか考えてみましょう。(今回戸建て住宅を対象にしています)
こちら、2019年の住宅・宅地分科会の資料(明治大学 野澤千絵教授)が分かりやすかったです。
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001323213.pdf
空き家予備軍から特定空き家までフェーズ0からフェーズ5までに分類されています。
フェーズ0・・・空き家予備軍レベル
フェーズ1・・・空き家化初期レベル(とりあえず空き家のままの状態)
フェーズ2・・・利活用可能レベル(リフォーム等行えば使用できる状態)
フェーズ3・・・特定空き家未満レベル(地域に悪影響を与え始める状態)
フェーズ4・・・特定空き家レベル
フェーズ5・・・対応困難レベル(地域に残り続けさらに荒廃化した状態)
空き家管理士が管理する物件は1から2でありフェーズ3にならないようにすることが最大のミッションです。
そしてここでいうフェーズ3から4に進むところが特定空き家認定という部分です。
この判断基準は、そもそも「特定空き家」の定義として
①そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
② そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③ 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態 ④ その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
の4つがあります。
判定基準については、そのうえで対象物件の
①建築物そのものの不良度
②周辺に及ぼす影響度
③悪影響の程度と危険等の切迫性
を鑑みて判定されます。
この辺りそれぞれに結構細かく基準がありますが、結局所有者の理解がなければ対応困難なレベルまで進んでしまい、代執行で解体するものの費用が回収できないといったことになってしまいます。
今後、このフェーズ3については「管理不全空き家」と指定されるとともに、指導で改善されない場合は、空き家の固定資産税を減額する措置が解除されることになります。
現状の試算で、「管理不全空き家」は全国で50万戸に上る見込みでこれらについて解体するか、適正な管理(修繕)をするかの選択がせまられるところです。
そこで気になるのが、ここの判断基準がどのようなものになるのかというところです。
今出ている情報では、雑草の繁茂・窓が割れているなどですが、国土交通省によると今後定めていくとのことです。
個人的な見解として、品川区空き家等の適正管理等に関する条例が近いのではないかと考えています。
「空き家が管理不全状態にあると認める」判断基準
https://www.city.shinagawa.tokyo.jp/ct/other000077000/kanrihuzenzyoutai.pdf
●建物全体では
・1/20を超える著しい傾斜がある
・基礎・土台に大きな亀裂・ヒビ・変形・破損がある
・柱・はり等に破損・変形
・屋根・庇・軒の変形や屋根材の剥落・雨樋の垂れ下がり
・外壁に貫通する穴が開いている・仕上げ材の剥落・破損
・給湯設備などが破損
・バルコニーが破損
・落書きや窓ガラスが割れたまま放置
●敷地についても
・草や木が繁茂
・敷地内にゴミが散乱・放置
といったところでしょうか?
どれも外部からの目視で確認できるレベルの状態だと思います。
いずれにしても、実家を空き家状態にしている方々にとっては何らかの対応をとらないといけないことになるのは間違いなさそうです。
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