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【映画レビュー】あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。

戦争を知らない子供たちへ向けた、わかりやすい道徳映画。裏テーマは・・・

知人にお勧めされて、久しぶりに実写映画を見に行ってきました。
せっかくなので、これまた久しぶりにレビューを書いてみます。


1.直接的な愛の表現だけが愛ではない

映画の予告編を見て、現代の女子高生が戦時中にタイムスリップをして、神風特攻隊の青年と恋に落ちるお話なのかなと、ぼんやり意識して見に行きました。

正直、これだけの情報だったら見に行かないんですが、今回は知人からお勧めされて見に行くことにしました。

この映画を見ると「親の気持ちがわかる」かも、ということでした。
そして、親の気持ちを理解して”許す”ことが、自分を”許す”ことに繋がり、自己肯定感があがるとかあがらないとか・・・

そして、この意図で映画を振り返ると、
正直・・・
よくわからなかったというのが正直な気持ちです💦

ただ、
目に見えて優しくするとか、
目に見えて大事にすることだけが
”愛”ではないということ。

もっと大きな大義や、
目に見えない優しさや愛があるのだと
言いたかったのかもしれません。

現代の、直接的な愛の表現だけが愛ではないということは大いに伝わりました。

2.戦争を知らない子供たちへのメッセージ

この映画のテーマは『戦争を知らない子供たちへのメッセージ』のように思います。

あまりにわかりやすい展開が、映画好きを自負している人の目からすると、かなり稚拙なストーリーに見えるかもしれません。

でも、このメッセージだとしたら、どうでしょう?

とてもわかりやすく、戦時中の生きにくさや理不尽さや人間の弱さが程よく出ていたと思います。

では、戦争を知らない子供たちに、戦争のなにを伝えたかったのでしょうか?

ここまでも、ここからも、完全に私の個人的な感想です。
あしからず。


3.あらすじ

幼いころに父を亡くして、母と二人で貧しく暮らす女子高生が主人公。
彼女の父は、おぼれた子供を助けるために亡くなったようでした。

貧しい中、ダブルワークで必死にお金を貯めて彼女を大学に行かせたい母と、朝から晩まで働きづめの母に遠慮して大学進学を断念しようとする主人公。

彼女は、自分が大学に行けないことや、母に苦労を掛けさせているのも、他人の子供を助けるために命を落とした父が悪いと考えていました。
父に裏切られたような、棄てられたような感覚で受け止めており、母親が父のことをまるで英雄のように話すことに嫌悪感を感じていました。

わかりやすく反抗期で、わかりやすく自己中心な、THE.現代の若者、という設定です。

進路のことで母親とケンカして、家を飛び出した彼女は何かの力でいきなり戦争中にタイムスリップしてしまいます。

そこで最初に助けてくれた特攻隊員とゆるやかに惹かれあい、それでも明確な愛を語り合うこともなく、出会ってひと月近くたったある日、彼は飛び立ちます。

その瞬間、主人公は元の世界に強制的に戻ってしまい、タイムスリップしていたのはほんの一晩だったと知り、その経験そのものが夢かまぼろしかと不思議に思いながらも、また、いつもの生活に戻っていきます。

ある日、学校の課外学習でどこかの施設に行ったとき、展示品の中に特攻隊員の手紙を見つけます。
両親や大切な人に送った手紙です。
その中に、彼が主人公に書いた手紙もありました。

ついに打ち明けることがなかった彼の本心が、そこには記してあり、主人公はその愛の深さや大きさを知ることになるのです。


4.無力と無益

戦時中は、わかりやすく無力で、
戦争とは、わかりやすく無益です。

もちろん私自身も戦争を知っているわけではありませんが、そのころの様子や体験談を、直接聞けた最後の年代だと思います。

小学校には「はだしのゲン」という戦時中の生活を描いた漫画本が置いてありましたが、現在は子供たちに見せないようになったと数年前に聞いたことがあります。

現代の子供たちは、戦争の無力と無益を知る機会を失ってしまったんです。

この映画で、少しでもこれを感じ取ってくれたらと思ったのかなと思います。
脚本も映像も、凄惨になりすぎない、ちょうどいい道徳映画だなって思いました。


5.世界は理不尽で溢れている

作中で何度も映った「ぜいたくは敵だ」の看板。
花柄のシャツを誰にも見られないようにびくびくしながら着ている女学生。
戦争に反対することや、日本が負ける可能性を口にすることも許されない。
生きながらえることは”生き恥”と蔑まれる。

このころの国民は完全に洗脳され、戦争に勝つために、我慢することや、命を懸けることを、喜びとしていました。

そんな世界に突然とびこんだ主人公は、もちろんこの戦争の行く末を知っています。
”日本が敗ける”未来です。

敗けると分かっているのに、じっと息をひそめて理不尽に耐えている人々を見ていることが、命を賭して飛び立つ特攻隊員を送り出すことが、無益に映るのは当たり前です。

でも、彼女の言葉は、当時の人々の魂を揺さぶりこそすれ、受け入れられるものではありませんでした。

ただ、その方向性は間違っていますが、彼らが受けた教育、”お国のために”の思想は、現代を生きる私たちに欠落してる、不足している思想のような気がします。

それが”利他”の精神だと思います。


6.利己と利他

特攻隊員は、お国のために志願して集っていました。
決して、無理やり招集されたわけではないのです。

主人公には、自分の大事な人を残してお国のために自ら死地に飛び立つ彼らの気持ちが理解できません。

主人公の父が、他人の子供を助けるために亡くなったこととリンクして、なおさらもどかしかったことでしょう。

このもやもやを抱えたまま現代に戻り、彼の手紙を読んで、はじめて彼や父の愛の大きさや深さを知り、彼女は大学に行くことを決意します。

彼女も、もっと大きな視野で将来を考えることが出来るようになったんです。


では、主人公のなかで、どんな心境の変化があったのでしょう?

おそらく、
「自分だけがよければいい」と考える利己の心ではなく、
「自分を犠牲にしても他の人を助けよう」とする利他の心があることを知ったのです。



7.まとめ

この利他のこころは、自分さえよければいいと考えがちな現代人に著しく欠けていると思います。

この心をこの映画を通して、たくさんの子供たちや若い人たちに知ってもらいたいですね。
道徳の時間に見せてもいいくらいわかりやすいと思います。

そして、利他の精神で生きる方が、幸せを感じやすくなり、たしかに、自己肯定感が高まりそうな気もします。

おすすめしてくれた知人も、これを言いたかったのかなぁ。

「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」公式HPはコチラ


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