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空き家担当はつらいよ~

先日、ある市の空き家問題を扱う課の担当者の方と、意見交換会を開催いたしました。
昨年末に施行された「改正特措法特措法」について、それを実施する現場での生の声を聞きたいということで、今回の企画と相成りました。

参加メンバーは役所側がお二人、空き家問題に取り組む市議さんお二人、そして民間から私の計5人でした。(撮影者が5人目になります)

撮影者も参加者なので5人でした


本当はもう少し参加者がいたのですが、急遽の開催でしたので、この人数となってしまいました。


仕事量は?

空き家問題の直接の担当者は2名だとのことでした。(係長さんとその部下の方)
忙しい時は、その上席に当たる課長さんも出動されるとのことです。

昨年度だけで延べ500件の相談があり、これまでの10数年間の蓄積になりますが、延べ4000戸が空き家関連の物件としてデータに入っているのだそうです。

それを2人でこなすのは、事実上無理があります。
電話や直接訪問者などの相談対応、物件の現場調査、所有者との折衝や連絡、他の部署との連携、協力団体への取次など、やることは多岐に渡ります。

市によっては対応する職員を増やしたり、相談件数が元々少ないということもあるかもしれませんが、もうこれは限界に近い現状と言えます。

適性は?

その市は、空き家が街の景観を損なうとか、放火や治安の悪化につながるということから、防犯関係の部署が適切との判断で、今の課が担当することになったとのことです。

しかし、昨年の空き家特措法改正の背景を考えると、空き家問題解決のためには、建築都市計画の知識や経験がないと難しい、ということがはっきりしてきました。

さらに、「相続土地国庫帰属制度」等、これからはの関係部局(法務局など)との連携も求められます。
こうなると、地方公共団体単体としては、やや専門外の作業になる可能性もあるのかもしれません。

「相続土地国庫帰属制度」とは、令和5年4月から施行されているもので、相続した土地を国が引き取ってくれる制度です。
いくつかの条件がありますが、更地の宅地のように整っているものであれば、引き取ってくれる可能性があります。
ただ、申請窓口がその土地を管轄する法務局になるので、市役所とは原則無関係の制度となります。

法務省のホームページを参考に作成

解決策は?

空き家問題を行政が扱うことについては,市民からの信頼もありますし,一定の権威も持っていますので,今後も必要だと思います。

ただ,様々な知見が求められたり,いろんな方との折衝を行ったり,シビアな話ですが,「お金」の話をするのに、行政は馴染まないとも言えます。
空き家ばっかりに注力している訳にもいかないでしょうが,喫緊の課題になってもいる訳で,のんびりもしていられません。

それで,昨年末の改正空き家特措法のキモでもある「空家等管理活用支援法人」という制度が出てきたのだと思います。
これは,民間団体に空家問題の解決を委託して,やれることは民間にやってもらい,かつ行政の活動をサポートしてもらうというものです。

行政と民間のコラボによって,空家問題を処理していこうというのは、とても現実的な方策だと感じました。

ただ,私どもの事務所のある千葉県でも,この法人を立ち上げている市町村はまだないようです。
唯一,南房総市が「審査基準」の公表を市のホームページで行っているだけです。(審査基準とは,どういう団体が支援法人として申請申込ができるかを定めたものです)

今後は,この制度を十分に活用できるかどうかが,空家問題解決のスピードの加速に影響するのではと思います。