弛緩する会話
家の近くにある抜群にうまいカレー屋に、何かをお願いすると必ず「ありがとうございました〜」と言ってから動くインド人スタッフの方がいた。
それだけ聞くと某チェーン居酒屋の「はい、喜んで」感がでるが、全くそんなではない。日本語ネイティブではなく、語尾に「〜」がついているような感じで「ありがとうございました〜」と言うからなのか、その「ありがとうございました〜」が放つ安心感と心地よさがたまらなく好きだった。
オレ
「今から入れます?」
スタッフ
「ありがとうございました〜、ちょっと待って」
オレ
「すいません、お水もらえますか?」
スタッフ
「ありがとうございました〜、はいお水」
オレ
「すいません、メニューもらえますか?」
スタッフ
「ありがとうこざいました〜、はいメニュー」
ありがとうこざいました〜、以後は決して敬語を使うわけでもない日本語のバランスも気に入っていて、そのスタッフがいるととても楽しい気分になれた(実際仲よかった)。あいにく今は違う店舗に移ってしまい最近はお目にかかれないのが残念だ(カレー屋はうまいので相変わらず常連だが)。
ありがとうございました〜で始める会話は何か空気を弛緩させる。まずは感謝を伝える先制パンチで後からの言葉が敬語でなくともなんとなく優しく聞こえるのは新しい発見だった。ただその時の「ありがとうございました」には必ず「〜」がついていることが必須だ。
ちょっとだけ締まらない言葉のやり取りの方が、心地いいことってあると思うんだよね。
サポート頂いた浄財は、アートプロジェクトのリサーチ等に利用させていただきます。