荷物準備やら紛失やらで告知が前日になりましたが、明日7/28 サンポート高松シンボルタワーにて【か-18】『なみし亭』出店することになりました。 ぜひ遊びに来てください! 詩や短歌、短歌モチーフのアクリルキーホルダーを置いています。 委託フリーペーパーは現代詩仲間の高原紫夕さん、短歌仲間のひぞのゆうこさんの作品を置いておりますのでぜひ手に取ってください。
街灯の下 一本道を 僕達はジャケットを振り回して走った 憂鬱の浮輪から手を離せばゆれるゴミ箱の群れ まわる一時停止の標識 ぼやけるパンジーの花壇 北極星からラム酒が香り 笑い合う声は永遠の遠吠えだった この空席に今は何を置こう 汽笛と波が広がる水平線 爪先や目は面影に吸い込まれて 耳をすませても かき分けても 肋骨のすきまに しみるのは海風 飲みかけのボトルに 声も響かぬまま 夕闇にただ影を溶かして
広々とした水色に 雲がポツリたなびけば 不完全を許されたような気がした 今もミートソースがちらつくワイシャツは おひさまがにじんでいることにして なるべく日常へとろ過していく すくえなかった君の言葉が胸に絡んで 無邪気の底に潜む針を呪った 離れていくグラスに 孤独の広さが伝播して 行くあてを失ったポピーが 目にしみる午後のこと 結局なにも許せないまま 椅子に沈みゆくぬくもり 犬歯で縫い止める唇を誰も知らないまま 投げ出したローファーを句読点にして 今破きたい風があること 小指
おびただしい目を向けられても月はそこにあってほほえみも悲しみもしないことを知っているけれど影を重ねたくなってしまうわたしのために歌われていない歌がまだ耳に残ってる心臓まで旋律の味方悔し涙の粒も乱れた呼吸も知らない世界の照明はとってもきれいだ靴底と同じ心を携えて肺いっぱいに夜風を詰めこむ冬の匂いはもうすぐそこに
寂しいの『び』を 研いで研いで まるくする 分かりやすいかわいさを求めてしまう白々 さみしいの『み』は 椿の花びらからゆるやかに助走をつけて 磨硝子を曇らせていく やさしい場所を探して 減っていく飴玉 本音は砂になって鋭利 星屑にもなれず 読み進められない歌集に 頰を寄せて隕石の真似 ありとあらゆる涙ごと蒸発させたい時がある (2024年2月徳島新聞徳島詩壇入選作品)