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『スケッチー』

白状します。
この漫画を買ったとき、
タイトルの意味を勘違いしていました。

この漫画はスケボーをはじめる女性たちの物語なのですが、
横文字に弱いにもほどがある!
私は、スケッチに情熱を燃やす女性たちの話なのかと思って買いました。
作者さんに謝りたい、、、、

でも、たぶんスケボーを主題にしたお話だと知っていてら、
たぶん手には取りませんでした。
なので、結果オーライ、だったんだと思います。

(めっちゃちゃんと裏表紙にあらすじきちんと書いてくれているのに)

(そういえば、古着屋で働いていたときも、英語やらフランス語やらのメーカー名を散々読み間違い、発音がおかしいと笑われ、もうひとつの才能だと言い張ることにした私です)

さて、この『Sketchy』はマキヒロチさんの漫画です。
『それでも吉祥寺だけが住みたい街ですか?』
『いつかティファニーで朝食を』を描かれた漫画家さんです。
二回目のすみませんですが、私はこの上の漫画は読んでません。

なので、本当にただただスケッチの漫画と勘違いし、
そして表紙がとても好きだったので買いました。

読み始めてびっくり。
あ!これ、スケボー漫画だったのか!!

(本当にこんな読み始めの人他にいるだろうか、、、)
(裏表紙にスケボーしてるとこ描かれているのに、、、)

一巻の裏表紙。

私は自分が運動系が全くできません。
なのでスポーツ漫画をほとんど読んだことがありませんでした。
こんな人間がスケボー漫画を面白いと思うだろうか、、、
と心配しました。
でも、もう買っているんだからとりあえず読んでみようと、
ページを開いてみることに。

、、、

まず、勘違いをしていました。(またしても)
この漫画は、スケボーを中心にして関りを持つようになった女の子、女の人の群像劇です。(大きく物語を語られる子、さくっとしか描かれないけれど物語に常によりそってくれる子など、人によって分量は違いますが。)
そして、ここで描かれるスケボーはスポーツというよりも
«自己表現の手段»として描かれます。
スケボー自体に関心が薄かったので知らなかったのですが、
どちらかというとサッカーや野球よりも
バレエやスケートの選手の方向性に近いように思いました。

ひたすら自分の技を磨き、作品を作っていく。
その姿勢は芸術家のものでした。

主な登場人物は
川住憧子(かわすみ あこ)、31歳のレンタルビデオ店員。
おだやかで、人に合わせているというよりも、
彼女の決定の速度がまわりの友人たち(中高一貫の女子高の頃からの)と合わないために、いつでもへらりと受け流してくれる人に収められている、
と見えました。
でも自分のなかで高まった気持ちや、決意には敬意をもって動ける人です。
そんな彼女がある夜であった女子スケーター。
彼女が今は疎遠になっている友人に似ていたことがきっかけでスケボーが気になり始め、そこから彼女のスケボーとの生活が始まっていきます。

スケボーをはじめたあこちゃんに影響を受けてスケボーをいっしょにやりはじめる、職場の女の子しほちゃん。
二人が参加したはじめてのスケボー教室に参加していた、仕事を変えたばかりのクール系のいずみちゃん(猫好き)。
女子スケーターをもっと世の中に知ってほしいとビデオに撮り続けて作品をつくっているまりりん。
スケボーが好きで、好きで、ひたすら滑ってきたけれど、だからこそぶつかる壁があるかりんちゃん。
スケボーが好きで、好きで、家族に反対されても止められない桃ちゃん。

他にも何人もの生き方がスケボーとともに描かれていて、
読み始めると夢中で読んでいました。
みんなかわいい。
みんな、頑張ってる。
頑張っていることが評価されても、されなくても苦しいことが
何でもないふうに、でも誇張されることもなく描かれていて
夢中で読んだけれどしっかり彼女たちの足が蹴った道路の、
パークの感触が残りました。
彼女たちがしたことひとつひとつの事実が積みあがっていくのを見つめながら、ああこれから彼女たちはどんなふうに滑っていくのか、
それをいっしょに走って追いかけていきたいと思いました。

あと、スケボーをしているシーンがすごくカッコいいです。
スケボーをしている人をそんなに見たことはないのだけど、
駒が滑っていく音や、ボードを踏み込む音が頭に響きます。
テニスのラリーの音のように、メトロノームみたいにずっと聞いてたら集中できそうだなんて思いました。

6巻が秋ごろ発売だそうなので、すごく楽しみです。


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